WSET

WSETとは?ソムリエ・ワインエキスパートに変わる新たなワインの資格

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ワイン愛好家やワイン業界で働く人々にとって、資格を取得することは知識やスキルを深める大きな一歩です。その中でも、近年注目されているのがWSET(Wine & Spirit Education Trust)という資格です。本記事では、WSETの概要や特徴を詳しく解説します。

WSETとは何か?

WSETは、1969年にイギリスで設立されたワインとスピリッツの教育機関で、現在では世界的に最も権威ある資格の一つとされています。WSETの特徴は、初心者から専門家まで、段階的に学べるレベル制を採用していることです。

  • 世界の受験者数
    WSETは、これまでに50万人以上が受験している、世界最大のワイン資格です。直近でも年間14万人この数字は、ワイン資格としての世界的な認知度と人気の高さを示しています。
  • 受けられる言語
    WSETのコースは、英語を含む15以上の言語で受講可能です。後述しますが、Level 3までは日本語にも対応しているため、日本の受講者にも学びやすい環境が整っています。

WSETの特徴

WSETの特徴は、単なる知識の暗記にとどまらず、ワインの特徴を「なぜそうなるのか」という論理的背景から学べる点にあります。このアプローチにより、ワインをより深く理解し、応用力を高めることが可能になります。

なぜそのワインのスタイルになるのかを学べる!

WSETでは、ワインのスタイルや特徴がどのような要因によって生まれるのかを、科学的かつ論理的に掘り下げて学びます。たとえば、特定の地域の気候や土壌がワインの酸味や果実味に与える影響や、発酵温度や樽熟成が香りや味わいをどう変化させるのかといった知識を深く理解します。これにより、ただ産地やブドウ品種を暗記するだけではなく、なぜその地域や品種がそのような特徴を持つのかを論理的に説明できるようになります。

この点は、主に産地や品種の暗記を中心とするソムリエやワインエキスパート資格と対照的です。WSETでは背景にある要因を深く学ぶため、知識の応用範囲が広がります。

標準化されたテイスティングアプローチを学べる!

WSETのもう一つの大きな特徴は、テイスティングにおいてSAT(Systematic Approach to Tasting)という標準化されたアプローチを採用している点です。SATは、ワインの視覚・嗅覚・味覚の各要素を細かく分解して評価する体系的な方法であり、国際的に通用するテイスティングスキルを養うことができます。

たとえば、SATでは「香り」は第1、第2、第3アロマに分解することをメインとし、「味わい」では酸味やタンニン、甘味、ボディなどを5段階などの数値的に評価します。このように、論理的かつ客観的な評価が可能になるため、試験や実務において一貫性のあるテイスティングが求められる場面で非常に役立ちます。

一方、ソムリエやワインエキスパート試験では、評価者や試験官の主観が結果に影響を与える場合があります。同じワインを評価する際でも「熟した果実の香り」と表現するか「ドライフルーツのニュアンス」と表現するかが試験官によって異なることがありますが、WSETのSATではそのような曖昧さを排除するための標準化されたフレームワークが提供されています。

ただしWSETには過去問がない!

もう一つ知っておきたいポイントは、WSET試験には公式の過去問が存在しないことです。ソムリエ・ワインエキスパートも過去問は流出禁止になっていますが、問題集が多く提供されています。WSETの授業でもあまり試験対策になる勉強サポートはないため、最初はどのように試験対策をしたらよいか困惑する方も多くいらっしゃいます。

もしWSET Level 3を受験される場合には、ぜひ本サイトの練習問題をご活用ください。試験本番を想定した問題と、解答と、ポイントとなる要素を抑えた採点基準まで提供しています。本サイトはWSETの練習問題を提供する日本で最初の、そしてほぼ唯一のサイトになっています。

WSETの資格レベル

WSETは4つのレベルに分かれており、初心者から上級者まで段階的に学べます。

  1. Level 1 Award in Wines
    • 対象者:ワインの基礎を学びたい初心者や、ワイン業界への入門を考えている方
    • 学習内容:主要なワインの種類やスタイル、基本的なテイスティング技術、ワインと料理の組み合わせの基礎
    • 試験形式:30問の選択式試験
    • 受験資格:誰でも
    • 言語:日本語 / 英語
    • 合格率:90%以上
    • ソムリエ協会との比較:ワイン検定のブロンズクラスレベル
  2. Level 2 Award in Wines
    • 対象者:ワインの知識を深めたい愛好家や、業界でのキャリアを目指す方
    • 学習内容:主要なブドウ品種、世界の主要なワイン生産地域、ワインのスタイルと品質に影響を与える要因
    • 試験形式:50問の選択式試験
    • 受験資格:誰でも
    • 言語:日本語 / 英語
    • 合格率:85%以上
    • ソムリエ協会との比較:ワイン検定のシルバークラスレベル
  3. Level 3 Award in Wines
    • 対象者:ワインの専門的な知識を習得したい方や、業界での上級ポジションを目指す方
    • 学習内容:ブドウ栽培とワイン醸造の詳細、ワインのスタイルと品質に影響を与える要因、テイスティング評価の技術
    • 試験形式:理論試験(選択式と記述式)とテイスティング試験
    • 受験資格:誰でも
    • 言語:日本語 / 英語
    • 合格率:60%以上
    • ソムリエ協会との比較:ソムリエ・ワインエキスパートレベル
  4. Level 4 Diploma in Wines
    • 対象者:ワイン業界での専門的なキャリアを追求する方
    • 学習内容:ワインの生産、流通、マーケティング、ビジネス戦略など、幅広い分野の深い知識
    • 試験形式:6づのユニットに分かれており、それぞれ論述試験と一部テイスティング試験
    • 受験資格:WSET Level 3取得者のみ
    • 言語:英語のみ
    • ソムリエ協会との比較:ソムリエ・エクセレンス、ワインエキスパート・エクセレンスレベル

※ソムリエ協会との比較は、あくまで対応する試験を強いてあげるならどれか程度のものです

WSETの資格体系の中で最上位に位置するDiploma(Level 4)を受験するには、事前にLevel 3 Award in Winesを取得していることが必須条件です。この資格は、Master of Wine(MW)を目指すための登竜門として位置づけられており、ワイン業界でのキャリアを大きく広げる鍵となる資格です。

一方で、Level 3に挑戦するためには、Level 2を取得している必要はありません。WSETの資格は、段階的に進むことを推奨していますが、一定の知識や経験があれば、Level 3から直接スタートすることも可能です。そのため、ソムリエ・ワインエキスパートを取得している方は、Level 3からスタートされる方が多い印象です。ただ、ブドウ品種の基礎知識を改めてつけたいという方も一定数いらっしゃり、そのような方はLevel 2から受講されています。Level 1はかなり簡単な内容なので、不要かもしれません。

また、Diplomaは英語でのみ提供されており、英語での学習や試験が必須となります。ただし、Level 3については日本語で受講することが可能です。そのため、まずは日本語でLevel 3を修了し、その後に英語でDiplomaに挑戦することも可能です。

以前はソムリエやワインエキスパート試験に合格した方が、別の視点からワインを再び学ぶ目的でWSETを受講するケースが多く見られました。しかし、近年ではその流れが変わり、初めにWSET Level 3を取得し、その後ソムリエやワインエキスパート資格に挑戦する方も増えています

WSETを学ぶ方法

WSETの資格を取得するためには、公式に認定されたスクールでの受講が必須となります。これは、ソムリエ資格やワインエキスパート資格が独学でも挑戦可能であるのに対し、大きな特徴と言えます。WSETの学びは体系的なカリキュラムに基づいており、試験対策だけでなく、実践的なスキルや深い理解を養うためにスクールでの指導が重要視されています。

現在、日本国内では以下のスクールがWSETの認定教育機関として受講を提供しています。それぞれのスクールで受講可能なレベルが異なるため、自分の目標に合わせて選ぶ必要があります。

キャプラン・ワイン・アカデミー

キャプラン・ワイン・アカデミーは、日本で唯一Diploma(Level 4)まで受講可能なスクールです。初心者向けのLevel 2から最上位資格であるDiplomaまで学べます。オンラインスクールであることが特徴です。

キャプランは、WSET Level3 の英語のクラスの受講生でも日本語のクラスに振り替えができるため、英語で受けたい方はキャプランを選んでいる方が多い印象です。

アカデミー・デュ・ヴァン

東京の老舗ワインスクールのアカデミー・デュ・ヴァンでもWSET試験を受けることが出来ます。アカデミー・デュ・ヴァンはLevel 1からLevel 3まで受講可能です。ソムリエ・ワインエキスパート試験をアカデミー・デュ・ヴァンで勉強して、そのままWSETも、という方が多い印象です。

日本語のクラスがメインですが、週2回程度英語のクラスもあります。

レコール・デュ・ヴァン

レコール・デュ・ヴァンも最近WSETの講座が始まり、ここではLevel 3までの受講が可能です。こちらもソムリエ・ワインエキスパート試験をレコール・デュ・ヴァンで勉強して、そのままWSETも、という方が多い印象です。

まとめ

WSETは、ワインに対する知識を体系的に深め、実践的なスキルを養うことができる資格です。その特徴は、単なる暗記にとどまらない論理的なアプローチと、SAT(Systematic Approach to Tasting)による標準化されたテイスティングスキルの習得にあります。

また、WSETは初心者から上級者、さらにはワイン業界でのキャリアアップを目指す方まで、幅広い層に対応した資格体系を提供しています。その国際的な認知度の高さと実務で役立つスキルは、国内外問わず活躍の場を広げてくれるでしょう。

もしWSET Level 3の試験対策に役立つ問題集をお探しの場合、当サイトで提供している専用問題集もぜひご活用ください。WSETは過去問がなく、かつ参考になる問題集も少ない状態です。本サイトはWSETの練習問題を提供する日本で最初の、そしてほぼ唯一のサイトになっています。

どのような問題が出題されるのか気になる方は、ぜひ御覧ください。

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