ブラインドテイスティング

ブラインドテイスティングとは?最近流行りのワインの新しい飲み方に迫る

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まずはこの動画をご覧ください

いかがでしょう?これがブラインドテイスティングです。

ただ「飲む」だけではなく、ワインそのものに向き合い、味わいを深める新しい楽しみ方として注目されているブラインドテイスティング

その魅力や歴史、そして楽しみ方について、これから詳しくご紹介します。

ブラインドテイスティングとは?

ブラインドテイスティングとは、ワインのラベルや産地、ブランドなどの情報を隠した状態でワインをテイスティングする方法です。多くの場合は、ブラインドでワインをテイスティングして、そのワインのブドウ品種や生産国、生産地、ヴィンテージなどのワインについての情報を推測して当てるところまで含みます。ワインの価格や銘柄などといった先入観を排除して、純粋に「味」と「香り」だけでワインを楽しみ評価する手法です。

例えば、高級なワインを飲むとき、無意識に「これなら美味しいはず」と期待してしまうことはありませんか?
逆に、手頃な価格のワインだと「こんなものだろう」と考えてしまうことも。

ブラインドテイスティングでは、そのような固定観念を排除し、自分の味覚や嗅覚に全幅の信頼を置きます。「実は、これが一番美味しかった!」という新しい発見をすることで、ワインの世界がぐっと広がるのです。

ブラインドテイスティングの歴史

1. そもそもブラインドテイスティングはいつから行われていたのか?

ブラインドテイスティングが正確にいつ始まったのかについては、明確な記録は存在しません。しかし、その概念は古代ローマやエジプト時代まで遡る可能性があります。古代では、ワインは樽で保存されていたため、ラベルなどの情報がなく、純粋に香りや味覚を頼りに評価されていたと考えられています。

一方で、ワインテイスティングそのものが歴史的に確立されたのは19世紀とされています。この時期、フランスでテイスティングが食文化や農業食品のフレームワークを生み出すための重要な手段としての地位を確立しました。ワインを単なる嗜好品ではなく、食文化の一部として体系化し、その品質を評価する行動としての「テイスティング」の重要性が認識され始めた時期でもあります。

19世紀フランスにおけるワインテイスティングの地位向上

19世紀初頭、フランスでは醸造学の発展が進み、美食学との結びつきが強化されました。この時期にテイスティングに関する専門書が出版されるようになり、ワインに対する科学的かつ感覚的な評価方法が発展していきました。例えば、ボルドー大学で醸造学を学んだルイ・パスツールの弟子であるUlysse Gayan(1845-1929)は、ワインの科学的分析を基盤にした評価を提唱しました。これにより、テイスティングの重要性が学問的にも裏付けられました。

さらに20世紀に入ると、Emile Peynaud博士(1912-2004)がテイスティングを官能分析として体系化しました。Peynaud博士の研究は、テイスティングを「分析的行為」として確立し、科学的根拠に基づいたワイン評価の規範を打ち立てました。彼の影響により、テイスティングが単なる感覚的な行為から、専門的なスキルとして評価されるようになりました。

2. 最も有名なブラインドテイスティング「パリスの審判」

1976年に開催された「パリスの審判(Judgment of Paris)」は、ブラインドテイスティングに関する最も有名な出来事です。フランスで開催されたこのイベントでは、フランスの名だたる高級ワイン(ボルドーとブルゴーニュ)と、当時まだ無名だったカリフォルニアのワインがブラインドで提供され比較されました。

審査員はフランスのワイン評論家や専門家たちで、当然フランスワインが勝つと誰もが思っていましたが…結果は驚きの展開!アメリカ、カリフォルニアのワインである「スタッグス・リープ」と「シャトー・モンテレーナ」が、ブラインドでトップ評価を獲得したのです。

この結果は、ワイン業界に大きな衝撃を与えました。「フランスワインこそ至高」という既成概念を覆し、世界中で「新世界ワイン」への注目が高まるきっかけとなりました。ブラインドテイスティングは、ワインの世界情勢をも変えうるのです。

パリスの審判については、こちらのページで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

3. 日本のソムリエ試験でのブラインドテイスティングの導入と浸透

ブラインドテイスティングが日本で広く知られるきっかけとなったのは、1985年にソムリエ試験が始まったことが大きな要因の一つです。この試験では、ワインの知識やサービススキルだけでなく、ブラインドテイスティングが試験科目として導入されました。受験者は、ラベルや産地の情報が伏せられた状態で提供されるワインを味わい、その特徴や産地、品種を推測する力が求められます。

この試験を通じて、プロフェッショナルの間でブラインドテイスティングは徐々に認知され、重要なスキルとして位置づけられるようになりました。

田崎真也氏の世界大会優勝とブラインドテイスティングの注目度の高まり

さらに注目すべき出来事は、1995年に田崎真也氏が「世界最優秀ソムリエコンクール」で優勝を果たしたことです。この世界大会の中でも、ブラインドテイスティングは重要な審査項目の一つであり、田崎氏は圧倒的な知識と味覚の精度を示しました。

彼の優勝は、日本国内でのワイン文化全体を大きく変える契機となりましたが、ブラインドテイスティングの存在を広く知らしめることにもつながったと思われます。

「芸能人格付けチェック」が広めたブラインドテイスティング文化

2000年代後半頃から、テレビ番組「芸能人格付けチェック」において、ワインのブラインドテイスティングがたびたび企画されるようになりました。GACKTさんがワインを当てる姿があまりにも有名ですね。この番組では、芸能人たちがワインの味だけを頼りに高級ワインと低価格ワインを飲み比べて正解を当てる、という形でブラインドテイスティングが紹介されました。

「ワインの品質を見極める」というテーマが視聴者に分かりやすく伝わり、エンターテインメントとして広く知られるようになったため、少なからずブラインドテイスティングの普及に貢献したと考えられます。

4. ブラインドテイスティングの競技としての発展

近年、ブラインドテイスティングは競技としても大きく注目され、さらには試験やプロの技術という枠を超えて、多くの人が楽しめるイベントやエンターテインメントとしての側面が広がっています。

アカデミー・デュ・ヴァン杯の開催

ブラインドテイスティングの競技化の先駆けとなったのが、2014年から2015年頃に東京の老舗ワインスクールであるアカデミー・デュ・ヴァンで始まった「アカデミー・デュ・ヴァン杯」です。

この大会では、ソムリエ以外にもワイン愛好家たちがブラインドテイスティングでワインの産地や品種、ヴィンテージなどを当てて競い合います。プロだけでなく、一般の愛好家たちも気軽に参加できるこの大会は、ブラインドテイスティングをさらに大衆的で身近なものにしました。

ソムリエ協会でのブラインドテイスティング大会の開催

さらに、2017年には日本ソムリエ協会が主催するブラインドテイスティング大会(通称BTC)が初めて開催され、競技としてのブラインドテイスティングが業界全体に浸透しました。この大会では、全国のプロのソムリエやワイン愛好家が一堂に会し、純粋にブラインドテイスティングの技量のみを競い合います。

こうした動きは、日本におけるブラインドテイスティングの普及と文化的な発展に大きく貢献しました。また、大会をきっかけにワインへの関心が高まると同時に、ブラインドテイスティングが単なるプロのスキルを超え、一般の人々にとっても「ワインを楽しむ新しい方法」として親しまれるようになっています。

大会の増加とYouTubeでの発信

さらに近年、ブラインドテイスティングの大会は増加しており、様々なワインスクールで企画されています。また、各種ワインイベントでも簡単なブラインドテイスティングのゲームが開催されたり、個人主催のブラインドテイスティングイベントや大会など、その規模や形式は多岐にわたります。

また、ブラインドテイスティングを題材にしたYouTubeチャンネルのおかげで、競技として大衆にも認知されるようになりました。ブラインドテイスティングがエンターテイメントとして大衆に認知されるようになりました。

Blind TastingのYoutubeチャンネルを運営しているVINOTERASも、ブラインドテイスティングコンテスト(通称ヴィノカップ)を開催しているので、ぜひ参加してみて下さい。

世界大会も開催されており、直近の大会で日本は世界4位に入賞しています(こちら)。

主要なブラインドテイスティング大会

ブラインドテイスティングは今や日本中で競技として楽しまれています。その中でも特に注目すべき大会をいくつかご紹介します。

1. ブラインドテイスティングコンテスト(通称BTC)

日本ソムリエ協会が主催するブラインドテイスティングコンテスト(通称BTC)は、全国のプロのソムリエやワイン愛好家が集う日本で一番大きな大会です。この大会は毎年1回、全国規模で開催され、2024年で第8回目を迎えるなど着実に歴史を積み重ねています。参加者は約500名以上にのぼり、全国から選りすぐりのワイン愛好家が集まります。開催時期は、夏頃に予選、秋ごろに決勝戦が行われます。

BTCは、ワイン以外の日本酒や焼酎も出題されることが特徴的です。

2. ヴィノテラスカップ ブラインドテイスティングコンテスト(通称ヴィノカップ)

VINOTERASが主催する「ヴィノカップ」は、近年注目を集める新しい形式のブラインドテイスティング大会です。予選はオンラインで開催され、決勝はホールを貸し切って大々的に行われるのが特徴です。BTCに続いて2番目に大きな大会になっています。

開催頻度は年1回で、オンラインで開催されるため、参加しやすさが魅力です。参加人数は200名程度と、近年大きく成長を見せています。

3. アカデミー・デュ・ヴァン杯(通称デュヴァン杯)

東京の老舗ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」が主催するブラインドテイスティング大会です。この大会は、2014年に始まり、現在ではワイン愛好家にとって登竜門的な存在となっています。

年に2回開催され、参加者は数十人規模ですが、毎年多くのブラインドテイスターが集まる熱気ある大会です。1日で予選から決勝まで行われます。

4. ワインプラスカレッジ ブラインドテイスティングNo.1グランプリ(通称B-1グランプリ)

Wine Plus Collegeが主催するブラインドテイスティングコンテスト(通称B-1グランプリ)も歴史ある大会です。Wine Plus Collegeが自由が丘にあったときから開催されており、今も年1回冬頃に開催されています。

参加者は100名程度の割と大きな大会で、予選と本選に分かれて開催されます。

おすすめ書籍

こちらは、ブラインドテイスティングについて詳細に書かれた唯一の書籍です。一緒にYoutubeに出演している鈴木明人先生の著書になっています。ブラインドテイスティングとはなにか、効率的な練習方法、科学的根拠に裏付けられたテイスティングアプローチ、そして品種ごとの特徴まで、ブラインドテイスティングの極意が詰まった一冊です。是非ご覧ください

科学的アプローチからワインを理解して品種を当てる

ブラインドテイスティングを体験してみませんか?

ブラインドテイスティングに興味が湧いたら、実際に体験してみるのが最善です。ワインの世界が一気に広がるこの楽しさを、ぜひ実感してみてください。

VINOTERASでは、初心者から上級者まで楽しめるブラインドテイスティング体験を開催しています。気軽なワークショップから大会形式まで幅広いイベントが用意されているので、ワイン好きの仲間を誘ってぜひ参加してみてください。

また、本サイトでは「ブラインドテイスティングができるワインバー」を特集した記事をご用意しています。東京でブラインドテイスティングを楽しめるワインバーを網羅していますので、お近くのお店を見つけてぜひ挑戦してみてください。

どちらも、ワインをもっと楽しむための素敵な体験ができるはずです。自分の感覚に向き合い、新しいお気に入りを見つけるワクワクを、ぜひ体験してみましょう!

参考:https://omu.repo.nii.ac.jp/records/2000782

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