酒類飲料概論 – ビール・ウイスキー | ソムリエ試験教本まとめ
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目次
ビールの定義
日本では「ビール」は、麦芽、ホップ、水に加え、政令で定められた副原料を使用し、発酵させた飲料を指します。2018年以降、副原料として果実や香辛料、ハーブなども認められ、味や香りにバリエーションが生まれました。
- 麦芽重量の50%以上を使用していることが条件。
- 規定外の原料を使用すると「発泡酒」と分類されます。
ビールの歴史
ビールは紀元前4000年以上前に誕生したとされ、最初の文明シュメール文明でも飲まれていました。エジプトやメソポタミアではビールが日常的に消費され、法律「ハムラビ法典」にもビール関連の規定がありました。
- 1516年: ドイツで「ビール純粋令」が制定。麦芽、ホップ、水のみを原料とする規定。
- 近代化の3大発明: パスツールの低温殺菌法、ハンセンの酵母純粋培養法、リンデの冷却装置。
- 日本: 明治初期にビール生産開始。1994年の規制緩和でマイクロブルワリーが増加。
ビールの生産・消費
2021年の世界消費量は約1.86億klで、中国が19年連続1位。日本は8位に後退。1人当たりの消費量ではチェコが29年連続で1位。
- 日本独自の特徴: 酒税が高く、発泡酒や新ジャンルが普及。
- 2026年: ビール類の酒税が統一(54円/350ml)。
ビールの造り方
ビールの製造工程は主に麦芽、ホップ、水を使用し、以下の手順で行われます。
- 原料: 麦芽(主に二条大麦)、ホップ、副原料(米、コーンなど)。
- 工程: 麦芽の発芽 → 粉砕 → 糖化 → 濾過 → 煮沸(ホップ添加) → 発酵 → 熟成 → 濾過 → 詰め込み。
ビールの分類
ビールは製造方法や原料によって分類されます。
- 発酵方法: 下面発酵(酵母が沈降)、上面発酵(酵母が浮上)。
- 処理: 熱処理ビール、生ビール。
- 原料: 麦芽100%ビール、副原料使用ビール。
- 色: 淡色ビール、中濃色ビール、濃色ビール。
世界の主なビールの種類
- ピルスナー(Pilsner): チェコ発祥の淡色ビール。爽快な風味。アルコール度数4.0〜5.0%。下面発酵。
- ボック(Bock): ドイツ発祥の芳醇なビール。アルコール度数6.0〜6.5%。下面発酵。
- エール(Ale): イギリス発祥。ペールエールやマイルドエールなど種類が多い。アルコール度数2.5〜5.5%。上面発酵。
- ヴァイツェン(Weizen): ドイツ発祥。小麦麦芽を使用。アルコール度数5.0〜5.5%。上面発酵。
- トラピスト(Trappist): ベルギー修道院で製造。濃色でアルコール度数6.0〜10.0%。上面発酵。
- スタウト(Stout): アイルランド発祥の濃色ビール。アルコール度数4.0〜8.0%。上面発酵。
- ランビック(Lambic): ベルギーの伝統的な自然発酵ビール。酸味が特徴。アルコール度数5.0〜6.0%。
ウイスキーとは
ウイスキーは穀類を原料に糖化、発酵、蒸留、そして木製樽での熟成を経て作られる蒸留酒です。現在、世界で50ヵ国以上が生産しており、特にアイリッシュ、スコッチ、アメリカン、カナディアン、ジャパニーズは「世界5大ウイスキー」として知られています。
ウイスキーの製造工程(スコッチウイスキーの例)
- 原料: 主に二条大麦芽を使用。スモーキーフレーバーを出すためにピートを燃やして乾燥させる工程がある。
- 糖化・濾過: 粉砕した麦芽に温水を加えて糖化。麦汁を濾過して取得。
- 発酵: 酵母を添加し、アルコールと香味成分を生成。発酵液のアルコール度数は7〜9%。
- 蒸留: ポットスチルを使用して通常2回蒸留。前留、中留、後留に分けられ、本留液のみを樽詰め。
- 貯蔵: オーク樽で熟成。樽からの成分溶出、酸素の浸透、蒸散などによりウイスキーの香味が進化。
世界5大ウイスキーの特徴
- アイリッシュウイスキー: 原料の多様性が特徴。スムーズで穏やかな風味。発酵後に3回蒸留されることが多い。
- スコッチウイスキー: モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド。ピートの香りや複雑な香味が特徴。最短熟成期間は3年以上。
- アメリカンウイスキー(バーボン): トウモロコシを51%以上使用。チャーリングされた新オーク樽で熟成し、甘く滑らかな風味。
- カナディアンウイスキー: ライトでスムーズな味わい。クセが少なく、カクテルベースとしても人気。
- ジャパニーズウイスキー: スコッチを参考に製造技術を発展。独自の香味とブレンド技術で世界的な評価を得ている。
日本のウイスキーの歴史
日本のウイスキーはスコッチを模範としてスタートし、1923年に山崎蒸溜所が設立されました。鳥井信治郎が1929年に「サントリーウイスキー白札」を発売。その後、1937年に「角瓶」が成功を収めました。一方、竹鶴政孝は1936年にニッカウイスキーを創業し、スモーキーフレーバーにこだわった製品を生産しています。
ウイスキーの分類
- モルトウイスキー: 二条大麦芽を主原料とする。
- グレーンウイスキー: トウモロコシや小麦を使用。連続式蒸留機で蒸留。
- ブレンデッドウイスキー: モルトとグレーンをブレンドして作られる。
ウイスキーの貯蔵と天使の分け前
ウイスキーの熟成にはオーク樽が使用され、樽の種類やサイズによって香味が変化します。熟成中、毎年約2%のウイスキーが蒸散しますが、これは「天使の分け前(エンジェルズ・シェア)」と呼ばれます。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。