酒類飲料概論 – スピリッツ・リキュール・中国酒・カクテル | ソムリエ試験教本まとめ
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スピリッツ
スピリッツは蒸留酒全般を指しますが、日本では酒税法により、ウイスキーやブランデー、焼酎を除いた蒸留酒がスピリッツとされています。ジン、ウォッカ、テキーラ、ラム、アクアヴィットなどがその代表です。
- 特徴:連続蒸留で高純度に精製され、一般的にエキス分が2度未満とされています。
- 市場規模:2022年にはウォッカが約3.9億ケース、ラムが1.7億ケース、ジンが1.0億ケース、テキーラが0.5億ケースと報告されています。
ジン
ジンは穀物を原料としたスピリッツにジュニパーベリーやコリアンダーなどのボタニカルを加え、再度蒸留して作られる蒸留酒です。
- 種類:
- 製造法:伝統的な「ワンショット蒸留」や、香りを移す「ベーパーインフュージョン」などがあります。
- 代表銘柄:ゴードン、タンカレー、ビフィーター、ボンベイなど。
- 日本のクラフトジン:ROKU、カフェジン、和美人など、地域特産のボタニカルを使用したユニークな製品が増加中。
ウォッカ
ウォッカは穀類や芋類を原料とし、連続蒸留後に白樺の炭で濾過した蒸留酒です。
- 特徴:無色透明で癖のない風味が特徴。果実フレーバーやズブロッカ草の香りをつけたものも存在します。
- 用途:世界中でカクテルベースとして親しまれ、スクリュードライバーやモスコミュールが有名。
- 代表銘柄:スミノフ、アブソルート(レギュラータイプ)、グレイグース、ティトーズ(プレミアムタイプ)。
テキーラ
テキーラはメキシコの特定地域で、ブルーアガベを原料に製造されるスピリッツで、C.R.T.(テキーラ規制委員会)による規制を受けています。
- 製造法:ブルーアガベを蒸焼して搾汁し、発酵後に単式蒸留を2回行います。
- 分類:
- ブランコ:未熟成または熟成2か月未満。
- レポサド:2か月以上1年未満熟成。
- アネホ:1年以上熟成。
- エキストラアネホ:3年以上熟成。
- 代表銘柄:クエルボ、サウザ、パトロン、ドンフリオなど。
ラム
ラムはサトウキビの搾汁や糖蜜を発酵・蒸留して作られるスピリッツです。
- 種類:ホワイトラム(無色)、ゴールドラム(中程度の色)、ダークラム(濃色)。
- 製造法:糖蜜を使用する「トラディショナルラム」とサトウキビ汁を使う「アグリコールラム」に分けられます。
- 代表銘柄:バカルディ(ライトタイプ)、マイヤーズ(ヘビータイプ)、キャプテンモーガン(スパイスドラム)。
アクアヴィット
アクアヴィットは北欧で製造されるスピリッツで、キャラウェイやフェンネルで香り付けされています。
- 特徴:ジンと似ていますが、ジュニパーベリーではなく甘い香味が特徴。
- 飲み方:冷やしてショットグラスで飲むのが一般的です。
リキュール
リキュールは、蒸留酒に果実、香草、花などの香味を加え、砂糖やシロップで甘みをつけた酒類です。その起源は13世紀のイタリア僧院や、17世紀以降のヨーロッパでの蒸留技術の発達にあります。
- 定義:日本の酒税法ではエキス分が2度以上あるものをリキュールと定義します。
- 歴史:古代ギリシャの薬酒や中世ヨーロッパの錬金術から発展しました。
- 分類:主にスピリッツベースですが、近年は醸造アルコールベースも登場しています。
リキュールの造り方
リキュールの主な原料は次の4つに分類されます:
- ベース酒類:スピリッツ、ブランデー、ラムなど。
- 芳香性原料:果実、薬草、花、ナッツなど。
- 甘味料:砂糖やシロップ。
- 着色料:色調を整えるために使用。
芳香性原料の香味を抽出する方法として、蒸留法、冷浸法、温浸法、パーコレーション法が用いられます。
リキュールの主な種類
1. 香草・薬草系
- アブサン(Absinthe):ニガヨモギを主原料とするフランス発祥のリキュール。20世紀初頭に規制されましたが、現在は合法的に生産されています。代表銘柄:Pernod Absinthe(アルコール68度)。
- シャルトリューズ(Chartreuse):フランスの修道院で生まれたリキュール。緑(Verte)はスパイシー、黄(Jaune)は蜂蜜風味。アルコール度数40~55度。
- ベネディクティン(Bénédictine):27種の薬草を使用し、まろやかな風味が特徴。アルコール度数40度。
- カンパリ(Campari):ビターオレンジ果皮を使用したイタリア産。アルコール度数25度。
- その他:スーズ(ジェンシアン使用)、イエーガーマイスター(56種のハーブ)など。
2. 果実系
- キュラソー(Curacao):オレンジ果皮を用いたリキュール。代表銘柄:Cointreau(アルコール40度)、Grand Marnier。
- クレーム・ド・カシス(Crème de Cassis):カシスの実を用いたリキュール。ブルゴーニュ産が有名。
- サザン・カンフォート(Southern Comfort):ピーチなどをブレンドしたアメリカ産リキュール。
- 梅酒:日本で古くから親しまれるリキュール。主に中性スピリッツに青梅を漬け込み、砂糖を加えて作ります。
3. ナッツ・ビーン・カーネル系
4. 特殊系
- ベイリーズ(Baileys):アイリッシュウイスキーとクリームを使用したアイルランド産リキュール。
- アドヴォカート(Advocaat):卵黄を多く含むオランダ産エッグリキュール。
- 花系リキュール:スミレ、桜、エルダーフラワーなどを使用したリキュールが該当します。
中国の酒類文化と代表的な酒
中国では紀元前数千年から多種多様な酒が造られてきました。穀類や果実を原料とし、植物系・動物系の生薬を加えたものなど、極めて多様な製造方法が特徴です。代表的な酒類には、伝統的な発酵酒である黄酒や蒸留酒である白酒があります。
黄酒 (ホワンチュウ)
黄酒は主にもち米を原料とし、麹で発酵させた醸造酒です。製法は日本酒に似ていますが、加熱殺菌や長期貯蔵による熟成が特徴です。南方で生産が盛んであり、以下のような種類があります:
黄酒の特徴的な製法
白酒 (パイチュウ)
白酒は中国の伝統的な蒸留酒で、主に高粱(コウリャン)を原料に使用します。固体発酵と固体蒸留という独特な製法により、濃厚で複雑な香味を持つ酒が生まれます。
製法の特徴
- 固体発酵:地面に掘った槽(発酵槽)に蒸した原料と麹を混ぜ、水を加えずに発酵。複雑な微生物発酵が進行し、独特の風味を形成します。
- 固体蒸留:蒸気を固体表面に接触させる水蒸気蒸留法により、アルコール度数60%以上の留液を1回の蒸留で得ます。
白酒の主な種類
市場動向
2022年の統計によると、白酒は中国内の酒類市場の7割を占め、プレミアム化が進んでいます。他方で、輸入酒(特にコニャック)やウイスキーの消費も徐々に増加しています。
カクテルの定義と歴史
カクテルは「酒に何かを加えて新しい味を創作した飲み物」と定義されます。その起源は古代エジプトやローマ時代にまで遡り、ワインやビールにハーブや蜂蜜を加えて楽しむ飲み方が始まりました。現代的なカクテルの歴史は、19世紀後半の製氷機の登場とともに発展し、150年ほどの短い歴史を持ちます。
カクテルの4技法
カクテルの基本的な作り方には、以下の4つの技法があります:
- ビルド (Build):直接グラスに材料を注ぐシンプルな技法。例:ジン・トニック。
- ステア (Stir):ミキシンググラスで材料を混ぜ合わせる技法。例:マティーニ。
- シェーク (Shake):シェーカーで振り、混ざりにくい材料を合わせる技法。例:ジン・フィズ。
- ブレンド (Blend):ミキサーで材料を混ぜ合わせ、シャーベット状に仕上げる技法。例:フローズン・ダイキリ。
カクテルのタイプ
カクテルはT.P.O.(時間・場所・場合)に応じて以下の3つのタイプに分類されます:
1. アペリティフ (食前酒)
- 条件:甘みを抑えた酸味や苦味のあるカクテルが理想。
- 代表例:マティーニ、マンハッタン、アメリカーノ。
2. ディジェスティフ (食後酒)
- 条件:香りや味わいが濃厚で甘みの強いカクテル。
- 代表例:アレクサンダー、スティンガー。
3. オール・ディ・タイプ
- 条件:食事と関係なく楽しめるカジュアルなカクテル。
- 代表例:ソルティ・ドッグ、モスコー・ミュール、マルガリータ。
4. ノン・アルコール・カクテル
- アルコールを含まないカクテル。
- 代表例:シャーリー・テンプル、シンデレラ。
カクテルの進化
21世紀には、フレッシュフルーツや自家製シロップを用いたミクソロジー・カクテルや、分子ガストロノミーの影響を受けた新しいスタイルのカクテルが登場しています。また、健康志向の高まりにより、ノン・アルコール・カクテルも人気を集めています。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。