オーストリア | ソムリエ試験教本まとめ
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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
目次
- オーストリアのワイン産業の全体像
- ワインスタイルとホイリゲ
- 地理的分布と栽培状況
- オーストリアのワインの歴史
- 気候風土と土壌の特徴
- 主なブドウ品種
- オーストリアワインの品質分類
- KMW精度と糖度基準
- D.A.C.制度の導入
- 限定的生産地域と包括的生産地域
- 原産地呼称保護ワインについて
- 発泡ワインの品質区分
- 伝統的な名称と基準
- オーストリアのワイン産地概要
- ニーダーエステライヒ州
- ヴァッハウ D.A.C.
- ブルゲンラント州
- 流通と土壌、気候
- 地域料理とペアリング
- ウィーン州の概要
- 気候と土壌
- ワイン生産量とブドウ品種
- 地方料理と食材
- ヴィーナー・ゲミシュター・サッツD.A.C.
- シュタイヤーマルク州の概要
- 気候と土壌
- ワイン生産量とブドウ品種
- 地方料理と食材
- ヴルカンラント・シュタイヤーマルクD.A.C.
- ズュートシュタイヤーマルクD.A.C.
- ウェストシュタイヤーマルクD.A.C.
- オーガニックとバイオダイナミック栽培
オーストリアのワイン産業の全体像
オーストリアのブドウ栽培面積は2022年度に44,537haに達し、その70%が白ブドウの30,300haを占めています。ワイン生産量は2,527,439hl、平均収量は56.5hl/haでした。生産者数は10,763軒あり、一軒当たりの面積は4.16haとまだ小規模ですが、小国であるオーストリアは多様なワインを生み出しています。
オーストリアでは生産量の80%が国内消費される傾向にあり、2020年には家庭消費用ワインとしてオーストリアワインのみを購入する消費者の比率が47.3%に達しています。このことから、オーストリア人が自国のワインを熱烈に支持していることがわかります。
ワインスタイルとホイリゲ
オーストリアのワインスタイルは、白ワインは辛口でボリューム感があり、赤ワインはフルボディながらもタンニンが柔らかいのが特徴です。また、オーストリアの新酒を指す「ホイリゲ」は非常に有名で、フランスのヌーヴォーと並ぶものです。この傾向により、オーストリアではワインと食が密接に結びついています。
地理的分布と栽培状況
オーストリアのワイン産地は主に東側に集中し、ニーダーエステライヒ州とブルゲンラント州だけで栽培面積の約87%を占めています。2022年の天候はブドウ栽培者にとって厳しいものでしたが、降雨は8月末と9月にあり、これにより味わいのバランスが取れた地域もありました。
オーストリアのワインの歴史
オーストリアでのブドウ栽培の起源は紀元前700年頃のケルト人に遡り、ローマ時代に洗練された栽培方法が確立されました。1128年にはシトー派修道士がオーストリアにブドウを持ち込み、ワイン文化が根付くきっかけとなりました。1907年にはオーストリアの最初のワイン法が制定され、1985年には厳格なワイン法が施行され、オーストリアワインは国際的に高い評価を得ることになります。
気候風土と土壌の特徴
オーストリアの気候は温暖で、年間降水量は地域によって異なります。特にニーダーエステライヒやシュタイヤーマルクでは水はけの良い土壌が多く、ブドウ栽培に適しています。土壌は固結性と非固結性に分けられ、ブドウの風味に大きく影響を与えています。
主なブドウ品種
白ワイン用品種
- グリューナー・ヴェルトリーナー - オーストリアの基幹品種で、全体の約32.5%を占め、香り高く果実味が豊か。
- ヴェルシュリースリング - 青リンゴやレモンの香りを持ち、日常用ワインとして親しまれる。
- リースリング、シャルドネ、ムスカテラー - 異なるスタイルのワインを生み出す。
黒ワイン用品種
- ツヴァイゲルト - オーストリアで最も広く栽培されている赤ワイン用ブドウで、フルーティーな味わい。
- ブラウフレンキッシュ - 高い酸味と複雑な香りを持ち、長期熟成に向いている。
- ザンクト・ラウレント - ピノ・ノワールに類似した特徴を持ち、滋味深い味わい。
オーストリアワインの品質分類
オーストリアは1995年にEUに加盟し、EUのワイン法に基づいた品質区分を整備しています。オーストリアには以下の分類があり、品質の評価が行われています。
- クヴァリテーツヴァイン (Qualitätswein):基本的な品質ワイン。単一の生産地域内で収穫されたブドウから製造され、許可された品種のみ使用されます。
- プレディカーツヴァイン (Prädikatswein):特定の製法で製造された高品質ワインのカテゴリーに属し、高い糖度が求められます。
- ランドヴァイン (Landwein):地理的表示のないワインで、オーストリア国内で収穫されたブドウが使用されていることが条件です。
- 地理的表示なしワイン:オーストリアまたはオーストリアワインとうたうことができる、規定された最大収量以下のワインです。
KMW精度と糖度基準
オーストリアにおけるワインの品質は、KMW (Klosterneuburger Mostwaage)というブドウ果汁の糖度を測定する単位に基づいています。1869年にFreiherr Von Babo氏により開発され、オーストリア式の糖度測定法です。
- オーストリアのKMW17°はBrixで20.1に相当します。
- Brixの糖度17はKMW14.4に相当します。
D.A.C.制度の導入
2002年以降、オーストリアはD.A.C. (Districtus Austriae Controllatus)制度を導入し、地域ごとの特徴や品質を強調しています。これはフランスのA.O.C.やイタリアのD.O.C.と類似しています。
- D.A.C.ワインは、非D.A.C.ワインと格付けが異なるわけではありませんが、消費者にとって選びやすくなるメリットがあります。
- 2003年に開始されたD.A.C.制度は、全ての地域に広がりました。
限定的生産地域と包括的生産地域
オーストリアでは、18の限定的生産地域と9つの包括的生産地域が存在します。これには、ニーダーエステライヒ州やシュタイヤーマルク州などが含まれています。
地理的表示なしワイン
オーストリア国内で収穫されたブドウを原料とするワインです。最大収量は7,500 kg/haまたは10,000 kg/haで、熟度は最低10.7 KMWと定められています。
地理的表示保護ワイン
ランドヴァインと呼ばれるこのワインは、単一のブドウ栽培地方のみから造られ、使用ブドウは40種類の認可品種からなります。
原産地呼称保護ワインについて
原産地呼称保護ワインには、クヴァリテーツヴァインやカビネット、D.A.C.、プレディカーツヴァインなどが含まれ、国家機関による品質検査を通過する必要があります。
各種ワインの製法と基準
- クヴァリテーツヴァイン:基準としては、40種類の認可品種から15 KMW以上の糖度が求められます。
- プレディカーツヴァイン:6つのカテゴリーに分かれ、たとえばスパトレーゼは最低糖度19 KMWが必要です。
発泡ワインの品質区分
オーストリアの発泡ワインは、原産地呼称保護ワインとして、「オーストリアン・ゼクト」と呼ばれています。品質区分は3段階に分かれており、これには以下が含まれます。
- Sekt Austria:単一州で収穫されたブドウを使用。
- Sekt Austria Reserve:18ヶ月間熟成される。
- Sekt Austria Grosse Reserve:36ヶ月以上熟成される。
シュトゥルムとペアルヴァイン
シュトゥルムは部分的に発酵したブドウ果汁で、一般的に8月1日から12月31日まで販売されます。ペアルヴァインは最低7%のアルコールを含む発泡ワインです。
伝統的な名称と基準
オーストリアには、伝統的に認められている名称もあり、特に傾斜が26%を超える丘から収穫されたブドウを使ったワインは「Bergwein」と呼ばれます。
オーストリアのワイン産地概要
オーストリアは、3つの主要な栽培地域(Weinbauregion)と、9つの包括的生産地域、さらに18の限定的生産地域に細分化されています。この構造は、オーストリアのワインの品質と多様性を反映しています。
ニーダーエステライヒ州
この州はオーストリア東北部に位置し、全体の60%にあたる26,968haの栽培面積を誇ります。特に、グリューナー・ヴェルトリーナーが重要な品種で、49%を占めています。以下の8つの限定的生産地域があり、また、北部の冷涼な気候が特徴です。
- ヴァインフィアテル: 冷涼な気候で、典型的なグリューナー・ヴェルトリーナーを生産。
- カルヌントゥム: 赤ワインの生産が注目されている温暖な地域。
- テルメンレギオン: 高級な白ワインを生産する地域。
- Wachau D.A.C.: ユネスコ世界遺産に登録され、美しいブドウ畑が広がる地域。
- Kremstal D.A.C.: 繊細でバランスの取れたワインを生産。
- Kamptal D.A.C.: リッチな果実味のワインが特徴。
- Traisental D.A.C.: 涼しい気候が特徴的な小規模な産地。
- Wagram D.A.C.: フレッシュ感があり、ミネラリティが強いワイン。
- Weinviertel D.A.C.: 最初のD.A.C.、グリューナー・ヴェルトリーナーが主流。
ヴァッハウ D.A.C.
ヴァッハウは、リースリングやグリューナー・ヴェルトリーナーの名産地であり、特にフローラルな香りとミネラル感が引き立つ優れたワインを生産しています。オーストリアのワイン文化においても重要な地域です。2020年にD.A.C.に認定され、その格付けには、Steinfeder、Federspiel、Smaragdの3つの等級があります。
ブルゲンラント州
オーストリア最南端に位置し、温暖な気候と豊かな土壌を持つブルゲンラント州は、赤ワインが主体です。この州は、ノイジードル湖に面し、多くの貴腐ワインが生産されます。
- ノイジードラーゼー D.A.C.: 主にツヴァイゲルトを使用した赤ワインの生産地域。
- Leithaberg D.A.C.: ブラウフレンキッシュ主体の地。
- Ruster Ausbruch D.A.C.: 貴腐ワインの生産に特化した地域。
- アイゼンベルク D.A.C.: ブラウフレンキッシュが主な品種。
流通と土壌、気候
オーストリアのワインは、各地で異なる土壌や気候により特性が異なります。特に、パノニア平原からの温風とアルプスからの冷風が、ワインの風味に影響を与えています。土壌は、非固結土壌、片麻岩、石灰岩など多様で、各地域のワインの個性を形成しています。
地域料理とペアリング
オーストリアワインは、各地域の特産品や料理とのペアリングが楽しめることで知られています。例えば、ヴァッハウではアプリコットを使った料理が多く、ブルゲンラントではハンガリー料理の影響を受けた料理が提供されます。
- Yarillenknödel: アプリコットを使った伝統的な料理。
- Wurstwaren: シャルキュトリーの一種。
- Fischgerichte: 湖で捕れた淡水魚の料理。
ウィーン州の概要
ウィーンは歴史的にハプスブルク帝国の中心地であり、第二次世界大戦後再建されたことで、現在では世界屈指の観光都市となっています。この都市は音楽の中心地でもあり、精力的な文化生活とともにオーストリアワインの魅力を体現しています。特にウィーンでは、グリューナー・ヴェルトリーナーやツヴァイゲルトが人気です。
気候と土壌
ウィーンは温暖な気候を享受しており、2022年の平均気温は12.7℃、降水量は466mm、日照時間は2,136時間です。北と西南から丘陵で守られた地形のため、冷たい風の影響が少ないことが特徴です。
ワイン生産量とブドウ品種
ウィーン州のワイン生産面積は582haで、生産量は白ワインが21,569hl、赤・ロゼワインは4,746hlです。主要なブドウ品種には以下が含まれます。
- グミシュター・サッツ(混植混醸)
- リースリング
- ピノ・ブラン
- シャルドネ
- グリューナー・ヴェルトリーナー
- ピノ・ノワール
地方料理と食材
ウィーンの料理はハプスブルク帝国時代からの影響を受け、多国籍な料理が発展しています。代表的な料理は以下です。
- Wiener Schnitzel:オリジナルは仔牛肉を用いた揚げ物で、ジャガイモと共に提供される。
- Tafelspitz:茹でた肉にホースラディッシュ入りのリンゴソースを付けて食べる。コンソメスープも楽しめる。
ヴィーナー・ゲミシュター・サッツD.A.C.
ウィーンには独自のワインスタイル、ヴィーナー・ゲミシュター・サッツD.A.C.があります。これは混植混醸によるもので、2013年に認定されました。認定条件には以下があります。
- 13以上の認定品種の混植・混醸
- アルコール度数は非クリュ名付きで最高12.5%、クリュ名付きは最低12.5%
- 品質等級は辛口であることが重要で、樽の風味が感じられないことが求められます。
シュタイヤーマルク州の概要
シュタイヤーマルク州はオーストリア南部に位置し、工業と農業の中心地として知られています。州都グラーツは歴史的町並みが保存されており、1999年にはユネスコの世界遺産に登録されました。
気候と土壌
この地域は急斜面の丘陵地帯であり、標高が高く、降水量が多い特徴があります。2022年のレイプニッツの年平均気温は10.2℃、降水量は906mm、日照時間は2,122時間でした。
ワイン生産量とブドウ品種
シュタイヤーマルク州のワイン生産面積は5,114haで、自ワイン生産量は181,741hl、ロゼワインは47,572hlです。主要なブドウ品種には以下が含まれます。
- ヴェルシュリースリング
- リースリング
- ソーヴィニヨン・ブラン
- モリヨン(シャルドネ)
- ゲルバー・ムスカテラー
- トラミーナー
地方料理と食材
シュタイヤーマルク州では、地元の特産物を使用した料理が多く存在します。代表的な料理は以下です。
- Brettljause:シャルキュトリーやスプレッドを木の板に盛り合わせた軽食。
- Kürbiscremesuppe:シュタイヤーマルク州原産のカボチャを使ったクリームスープ。
ヴルカンラント・シュタイヤーマルクD.A.C.
ヴルカンラント・シュタイヤーマルクD.A.C.は2016年に設立され、火山土壌で栽培される多くの品種が特徴です。主要品種は以下です。
- ヴェルシュリースリング
- トラミーナー
ズュートシュタイヤーマルクD.A.C.
ズュートシュタイヤーマルクD.A.C.では、自品種ワインとブレンドが重視され、特にソーヴィニヨン・ブランが成功しています。D.A.C.の規定も厳格であり、提供条件や品質に対して高い基準が設けられています。
ウェストシュタイヤーマルクD.A.C.
ウェストシュタイヤーマルクD.A.C.は、ブラウアー・ヴィルトバッハーを使用したロゼワインが有名であり、標高の高い農地で生産されています。この地域の氷冷と高酸が特徴のワインが評判です。この地域のD.A.C.の設立は2018年です。
オーガニックとバイオダイナミック栽培
オーストリアはオーガニック農業に真剣に取り組んでおり、2020年には全農地面積の26.5%がオーガニックとして認証されています。また、バイオダイナミック農法も広がりを見せ、ブドウ栽培の質が向上しています。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。