ボルドー | ソムリエ試験教本まとめ
※本サイトには記事内にプロモーションが含まれています。視覚的に学習しやすくするよう商品名やワイン名にamazonリンクを貼っています。
このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
目次
ボルドー地方の概要
ボルドー地方はフランス南西部の大西洋沿いに広がる主要なワイン産地であり、カリフォルニアのナパ・バレーやイタリアのボルゲリに影響を与えています。ここで生産されるワインは多くの場合、シャトーと呼ばれるワイナリーで醸造されます。シャトーのワインには、「Ais en Bouteille au Château」というラベルが許可されています。主要な品種にはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロがあり、複数の品種を混ぜるアッサンブラージュが行われることが多いです。
ボルドー地方の主な産地
ボルドーには様々なワイン産地が存在し、その中には以下の地域が含まれます:
- サン・テミリオン (Saint-Émilion) - 屋根付きの村で、有名な赤ワインで知られる。
- ポムロール (Pomerol) - 状態が良好なメルロの産地。
- メドック (Médoc) & オー・メドック (Haut-Médoc) - 豊かな赤ワインが特徴。
- グラーヴ (Graves) & ペサック・レオニャン (Pessac-Léognan) - 赤白ともに質の高いワインが期待できる。
- ソーテルヌ (Sauternes) & バルサック (Barsac) - 高名な甘口ワインの産地。
ボルドーの歴史
ボルドー地方でのブドウ栽培は、古代ローマの1世紀頃から始まったとされます。中世にボルドーが繁栄を迎えると、特に1154年にアリエノール・ダキテーヌがイングランド王ヘンリー2世と結婚したことで、ボルドーのワインは英国に輸出されるようになりました。この貿易の衰退は1453年にフランスが百年戦争で勝利し、アキテーヌ地方を取り戻したことで起こりました。その後も交易関係は様々な変遷を経て、1789年のフランス革命で貴族のシャトーは国に没収されますが、その後ブルジョワによって買い取られます。
ボルドー地方の文化
ボルドーは18世紀に栄華を極め、2007年には「月の港ボルドー」としてユネスコの世界遺産に登録されました。また、産地としてのサン・テミリオンは1999年に「サン・テミリオン管轄区」として世界遺産となっています。ルネサンスの哲学者モンテーニュや啓蒙思想家といった巨星も生まれました。ボルドー大学にはワイン醸造学部があり、世界中から学生が集まります。
ボルドー地方の経済
ボルドー地方は、フランスの行政区分におけるジロンド県とほぼ一致します。弁当産業が盛んな中、2020年のボルドーワインの輸出量は173万hℓ(約2億3.067万本)、金額にして18億ユーロと言われています。ボルドーには5,000以上のシャトーがあり、約14,000の生産者が存在しています。
ボルドー地方の気候と土壌
ボルドー市は北緯45度に位置し、海洋性気候の恩恵を受けています。年間の降雨量は約900mmで、ブドウの生育に適した条件が整っています。ガロンヌ川やドルドーニュ川が交わる地域では、それぞれ特徴的な土壌を有し、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロの栽培に適しています。特に左岸(ガロンヌ川沿い)の砂質土壌と、右岸(ドルドーニュ川沿い)の粘土質土壌はそれぞれのブドウ品種に適しています。
ボルドーのワイン生産量
2020年度のボルドー地方のワイン生産量は以下でした:
- 総生産量:4,885,511hℓ
- A.O.C.ワイン生産量:4,456,600hℓ
- 白ワイン:11.2%
- 赤ワイン:84.3%
- ロゼワイン:4.596%
- I.G.P.ワイン生産量:62,782hℓ
- ブドウ栽培面積:114,868ha
ボルドーの料理
ボルドー地方は食文化も魅力的です。特に以下の料理が有名です:
- ガストロノミーはオーナヴァン (Entrecôte à la Bordelaise) - リブロースの炭火焼き。
- ラムプロイ (Lamproie à la Bordelaise) - ヤツメウナギの赤ワイン煮。
- アニョー・ド・ポイヤック (Agneau de Pauillac) - ジロンド県で育った仔羊。
ボルドー全域
ボルドー地方を包括するA.O.C.にはいくつかの種類があり、主にジロンド県の地域が該当します。ボルドー広域A.O.C.は、最も広範囲で規定が緩いものですが、地区名や村名のA.O.C.に属するシャトーが、ボルドーの対象として質の高いワインをリリースする場合もあります。たとえば、A.O.C.メドックでは赤ワインのみが認められており、その地域の特徴を反映させたワインが生産されます。もし辛口白ワインを生産した場合はA.O.C.ボルドーとして分類されるため、その表示にも注意が必要です。
ボルドーエリアのA.O.C.ワイン
- Bordeaux(赤、ロゼ、白)
- Bordeaux Supérieur(赤、甘口白)
- Bordeaux Clairet(色の濃いロゼ)
- Cremant de Bordeaux(発泡ロゼ、発泡白)
これらのワインは、ジロンド県の505の市町村で認められており、ボルドー・シュペリュールはボルドーよりも生産に関する規定が厳しく、特に収穫時の最低糖度やアルコール度数に関する基準が設けられています。赤ワインに認められる品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベック(コット)、プティ・ヴェルド、カルメネールであり、ロゼは上記6品種を主体としています。特に、ボルドー・シュペリュールの赤ワインは、よりこだわりを持った生産者による高品質のものが多く評価されています。
ボルドーの白ワインの品種
ボルドーの白ワインには、主要品種としてセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデルが使われており、補助品種としてコロンバールなどが最大30%まで加えられることが許可されています。ボルドーの白は辛口から甘口まで幅広く、最高60g/lの残糖が許可されていますが、特にボルドー・シュペリュールでは残糖が17g/lを超える甘口のワインが生産されることが多く、デザートワインとしての評価も高まっています。
補助品種の導入と温暖化対策
2019年にはA.O.C.ボルドーおよびボルドー・シュペリュール生産者組合によって新たな補助品種の導入が決定されました。具体的には、アルヴァリーニョ、フロレアル、リリオリラ、ソーヴィニャック、スーヴィニエ・グリなどが承認され、環境に配慮した生産が目指されています。これにより、ボルドー地域ならではの新しいスタイルのワインが登場することが期待されています。
メドック地区
メドック地区はボルドー市の北にあり、ジロンド川の左岸に広がっている地域です。この地域は、ピレネー山脈から流れてきた砂利が堆積した地形で、特にカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適した環境となっています。メドック地区は南のオー・メドックと北のメドックに分かれており、それぞれに村名A.O.C.が存在し、特有の風味を持つ高品質の赤ワインが生産されています。
メドックのA.O.C.ワイン
- Medoc(赤)
- Haut-Medoc(赤)
- Saint-Estèphe(赤)
- Pauillac(赤)
- Saint-Julien(赤)
- Moulis(赤)
- Listrac-Medoc(赤)
- Margaux(赤)
メドック地区では赤ワインのみが認められており、ロゼを造る場合はA.O.C.ボルドーに格下げされます。認められるブドウ品種にはカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロが中心となり、特にカベルネ・ソーヴィニヨンの力強い風味やフルボディが特徴的です。これらのワインは、長期熟成が可能なものが多いため、多くの愛好家たちに支持されています。
村名A.O.C.の特徴
サン・テステフは粘土質の土壌を特徴とし、骨太なワインを生み出します。一方、ポイヤックは砂利が豊富で、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く、力強いワインを造り出します。また、サン・ジュリアンは力強さとしなやかさを兼ね備えたワインが特徴で、マルゴーはエレガントなスタイルが多く、女性的な魅力を持つワインとして特に評価されています。
グラーヴ地区
ボルドー市の南側に位置するグラーヴ地区では、赤ワインだけでなく、白ワインの生産も認められています。ここはガロンヌ川によって運ばれた砂利が特徴的で、高品質のワインが生まれています。特に1970年に独立したペサック・レオニャンは、特に評価の高いエリアで、多くの著名なシャトーが集まっています。
グラーヴのA.O.C.ワイン
- Graves(赤、辛口白)
- Graves Supérieures(半甘口白、甘口白)
- Pessac-Léognan(赤、辛口白)
ペサック・レオニャンの赤ワインには、カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランが多く使用され、特に長期熟成に適しています。これに対して、グラーヴの赤ワインはメルロの比率が高く、一般的に柔らかな飲み口を持つことが多いです。これらのワインは、フルーティーさと複雑さを併せ持っており、そのバランスの良さから広く支持されています。
1855年の格付け
1855年に行われたパリ万国博覧会において、ナポレオン3世の要請で作成された格付けがあります。この格付けでは、赤ワインおよび白ワインが評価され、特にボルドーの著名なシャトーが初めに選ばれました。この格付けによって、ボルドーワインの国際的な評価がさらに向上し、貴族たちの人気となりました。
クリュ・アーティザンとクリュ・ブルジョワ
1855年の格付けに漏れたメドックのシャトーを対象とした「クリュ・ブルジョワ」の格付けは1932年に発表され、2000年には公式の規定が定められました。クリュ・ブルジョワの名称はメドックのA.O.C.に属するシャトーに加え、品質保証の観点から毎年更新されています。このカテゴリーには、高品質にもかかわらず格付けには含まれなかったシャトーが多く、特に優れたコストパフォーマンスを誇るワインが多いです。
サンテミリオンのワイン産地概要
サンテミリオンは、ドルドーニュ川右岸に位置する歴史的な町を拠点としたワイン産地です。この地域はサンテミリオン衛星地区として知られる4つのA.O.C.を含んでおり、これらのアペラシオンは赤ワインのみが認められ、ロゼや白を造るとA.O.C.ボルドーに格下げされます。特に、サンテミリオンはメルロ主体のワインが特徴で、豊かな風味とバランスの取れた酸味を持つものが多く、食事との相性も良いとされます。
地質と栽培品種
サンテミリオン地域の土壌は、主に石灰岩を母岩とする粘土石灰質土壌で構成されています。これにより、ブドウはしっかりとしたストラクチャーと芳香豊かなフレーバーを生み出します。主に栽培されているブドウ品種はメルロであり、この品種が持つしなやかさと深い味わいがサンテミリオンのワインの特徴です。これにカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンが適宜ブレンドされ、特に北西部の砂利質土壌からはカベルネ・フランが主体となる場合もあり、繊細ながら長期熟成にもしっかり耐えるワインが生み出されています。
重要なA.O.C.とその特徴
- A.O.C.サンテミリオン: 9市町村に認められ、1999年にはユネスコの世界遺産に登録されました。サンテミリオンのワインは、通常しっかりとしたボディと柔らかな口当たりを持っています。
- サンテミリオン・グラン・クリュ: 格付けとは無関係に、最大収量や最低アルコール度数の規定が厳しく、品質が高く保たれています。このアペラシオンのワインは、特に熟成に適していると評価されています。
- 衛星A.O.C.(例: モンターニュ、リュサック、ピュイスガン): これらの地域もメルロ主体のものが多く、全体的にしなやかな味わいのワインが生まれています。中でも、リュサック・サンテミリオンは特にフルーティーでアロマティックなスタイルのものが多く、食卓で楽しむのに適しています。
サンテミリオンの格付け制度
サンテミリオンのワインの格付けは、最初が1955年に実施され、その後何度か見直しが行われています。最近の更新は2022年に行われましたが、その際には特に有力なシャトーの構造の変化が注目されました。
格付けの階級
サンテミリオンの格付けは、第一特別級と特別級の2階級に分かれています。第一特別級はプルミエ・グラン・クリュ・クラッセ(Premier Grand Cru Classé)と呼ばれ、有名なシャトー・オーゾンヌやシャトー・シュヴァル・ブランが含まれます。これらのワインは特に高い評価を受けており、コンペティションやオークションにおいても高額で取引されることがあります。
2022年の格付け改訂
2022年には、シャトー・フィジャックが第一特別級A入りを果たしました。一方、シャトー・オーゾンヌやシャトー・シュヴァル・ブランは格付けから外れました。この変更は、テロワールの優位性だけでなく観光やパブリシティにまで影響を受けることに対する不満から生じたもので、ワイン業界における深い議論を呼び起こしています。
ポムロルとラランド・ド・ポムロール
ポムロールはサンテミリオンの北西に位置し、主要品種はメルロで、約80%を占めています。ポムロールはその土壌が粒が大きく、礫が多いことから、特に濃厚で力強いスタイルのワインが生まれることで知られています。ラランド・ド・ポムロールはその北に位置し、メルロとカベルネ・フランが主に栽培され、これもまた個性的なワインを提供しています。
フロンサック地域の特徴
フロンサックはドルドーニュ川右岸にあるワイン産地であり、主にメルロが主体の赤ワインを生産しています。この地域のA.O.C.にはフロンサックとカノン・フロンサックが含まれており、特にフロンサックはフルボディで豊かな果実味が特徴的です。
コート・ド・ボルドー地区
コート・ド・ボルドーは、ガロンヌ、ドルドーニュ、ジロンド川沿いの広範囲なワイン産地を指し、2007年には複数のA.O.C.が連合を組んで【コート・ド・ボルドー】を名乗ることが決定されました。これにより、地域全体のワインの品質向上や認知度アップが期待されています。
主要なA.O.C.ワイン
- Blaye Côtes de Bordeaux: 赤と辛口白が認められ、特に赤ワインは果実味豊かで飲みやすいスタイルが人気です。
- Cadillac Côtes de Bordeaux: 赤と甘口白が造られ、特に甘口白はデザートとぴったりの組み合わせとして高い評価を受けています。
- Castillon Côtes de Bordeaux: 主に赤ワインが生産されており、果実のフレッシュさとスパイシーさが特徴とされています。
アントル・ドゥー・メール地区の概要
アントル・ドゥー・メール地区は、ドルドーニュ川とガロンヌ川に挟まれた広大で特徴的な地域です。この地域では、様々な土壌(砂、粘土、小石、粘土石灰など)や微気候を活かしたワイン生産が行われています。2023年からは赤ワインもA.O.C.アントル・ドゥー・メールとして認められるようになり、特にこの地域ならではの魅力が一層高まっています。
アペラシオン名とワインの特徴
- アペラシオン名: Entre-Deux-Mers (赤、白)
- 辛口の白ワインと赤ワインが造られています。以前は白ワインがこの地区を代表するワインでしたが、2023年から赤ワインも新たにA.O.C.として認定され、これにより地域のワイン生産がさらに多様化しました。白ワインの主要品種はソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルで、作付け比率は70%以上を占めています。特徴的な白ワインは、爽やかでフルーティな風味が楽しめ、特にソーヴィニヨン・ブランとセミヨンのブレンドが人気です。赤ワインにはカベルネ・ソーヴィニョン、メルロが用いられ、こちらも高い作付け比率が求められています。
主要なA.O.C.ワイン
アントル・ドゥー・メール地区の主要なA.O.C.として、以下のワインが挙げられます。
- Entre-Deux-Mers
- Entre-Deux-Mers Haut-Benauge (辛口白)
- Bordeaux Haut-Benauge (白, 辛口・甘口)
- Premières Côtes de Bordeaux (甘口白)
ソーテルヌ&バルサック地区の概要
ソーテルヌ&バルサック地区は、ガロンヌ川左岸に位置し、特に貴腐ワインで名高い地域です。ここでは水温差による霧の発生が貴腐ブドウを促進し、貴腐ワイン特有の味わいを生み出します。この地域のワインは、特に甘口ワインとして非常に評価が高いです。
貴腐ワインのプロセス
- ブドウは樹上で熟成され、遅摘みまたは貴腐化されたものが使用されます。貴腐化とは、ブドウが貴腐菌によって乾燥し、糖分が凝縮されるプロセスを指します。
- 使用される主要品種にはセミヨン、ソーヴィニヨン・ブランがあり、貴腐ワインの特徴として、残糖は45g/リットル以上の甘さが求められます。
主要なA.O.C.ワイン
この地区の主要A.O.C.は以下の通りです。
- Sauternes (甘口白)
- Barsac (甘口白)
- Cérons (甘口白)
1855年の格付け
- 1855年のパリ万国博覧会で、シャトー・ディケムはプルミエ・クリュ・シュペリュールに選ばれ、地域特有の貴腐ワインの優越性が国際的に認識されました。
生産地と年号の重要事項
アントル・ドゥー・メール地区及びソーテルヌ&バルサック地区は、ボルドー地区における特徴的なワイン生産地であり、その品質や特性は法的に保護されています。特に、各地域での主要なワインの A.O.C. の指定は、2009年からの変化を反映しており、各ワインの売上や市場価値に大きな影響を与えています。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。