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チーズ | ソムリエ試験教本まとめ

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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。

チーズの定義

チーズとは、乳を原料として乳酸菌や酵素で凝固し、ホエイを取り除いたものや、微生物で発酵させた食品を指します。日本の食品衛生法に基づく乳等省令では、ナチュラルチーズ🔗プロセスチーズ🔗の二種類が定義されています。ナチュラルチーズは、酵素を用いて乳を固め、乳清を除去したものを指し、プロセスチーズはナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融して乳化したものです。

チーズの歴史

チーズの起源は古代メソポタミア文明にあり、最初は自然に発酵した発酵乳から作られていました。古代エジプトで家畜文化が広がり、古代ローマでは独自のチーズ文化が形成され、熟成チーズが登場しました。

  • 732年: トゥール・ポワチエ間の戦いがあり、敗戦したイスラム教徒が山羊を残し、シェーヴル(山羊乳チーズ)の名産地が誕生する。
  • 中世では修道院がチーズ造りの中心となり、ロックフォールなど上流階級に好まれたチーズが作られる。
  • 近代には、アメリカ合衆国がチーズの生産を大きく増加させ、2020年には年622万トンを生産。
シェーヴル 写真
シェーヴル : 山羊乳から作られるチーズ。 (参照元)
ロックフォール 写真
ロックフォール : フランスの青カビチーズの一種。 (参照元)

ナチュラルチーズの分類

ナチュラルチーズは様々なタイプがあります。それぞれの特徴を以下に示します。

  • フレッシュタイプ: 加熱せず、ホエイを排出した甘味のあるチーズ。
  • ソフトタイプ: 柔らかい食感のチーズで、白カビタイプやウォッシュタイプが含まれます。
  • 青カビタイプ: 青カビを使用し、内部に青カビを育てたチーズ。
  • 加熱圧搾タイプ: 高温でプレスし、長期熟成可能なチーズ。

チーズに関する法律

チーズに関する法律として、原産地呼称制度が重要です。1952年に結ばれたストレーザ協定🔗により、フランスのA.O.C.制度が強化され、その後EUの品質保証システムへと発展していきます。

  • A.O.C.: フランスの原産地呼称統制。
  • D.O.P.: イタリアの原産地呼称制度。
  • A.O.P.: EUの原産地名称保護。

日本における地理的表示🔗保護制度

日本では、「特定展林水産物等の名称の保護に関する法律」により、地理的表示(GI)を保護しています。2023年時点で132産品がGIに登録されています。その中で最初のチーズとして十勝ラクレットが登録されました。

十勝ラクレット 写真
十勝ラクレット : 日本初のG.I.(地理的表示)として登録されたチーズ。 (参照元)

チーズの保存法

チーズは冷蔵保存が基本です。タイプ別の保存方法は次の通りです。

  • フレッシュタイプ: 開封後は早めに使い切ります。
  • シェーヴルタイプ: 特に湿気に注意が必要です。
  • ソフトタイプ: 乾燥しないよう、切り口を保護します。
  • 青カビタイプ: 水分が出るため適宜包装を見直します。

フランスの主要A.O.P.チーズ

フランスには多くのA.O.P.(原産地呼称保護)チーズがあります。各地域の特色を持ったチーズは、その土地で生産された乳を使用しているため、風味や食感が異なります。

ノルマンディー地方

ノルマンディー地方は「緑の油田」と称されるほど牧草が豊富で、フランス国内の生乳生産量の40%を占めています。ここでは、以下のA.O.P.チーズが有名です。

  • カマンベール・ド・ノルマンディー(白カビ)- 牛乳製。ワインは白ワインのBourgogneや赤ワインのCru Beaujolais。
  • ヌーシャテル(白カビ)- 牛乳製。ワインはBourgogneやCru Beaujolais。
  • ポン-ルヴェック(ウォッシュ)- 牛乳製。赤ワインのHaut-Médocが合います。
  • リバロ(ウォッシュ)- 牛乳製。赤ワインのHaut-Médocやカラヴァドスと一緒に。
カマンベール・ド・ノルマンディー 写真
カマンベール・ド・ノルマンディー : ノルマンディー地方の白カビチーズ。牛乳製。 (参照元)
ヌーシャテル 写真
ヌーシャテル : ノルマンディー地方の白カビチーズ。牛乳製。 (参照元)

イル・ド・フランス地方

イル・ド・フランスは「フランスの鳥」の意で、紀元前に農業が盛んでした。ブリが王侯貴族に愛され、パリからの流通網が発展しました。

  • ブリ・ド・モー(白カビ)- 牛乳製。ワインは赤のCôte de BeauneやSt-Émilion。
  • ブリ・ド・メラン(白カビ)- 牛乳製。赤のSt-ÉmilionやPomerol。
ブリ・ド・モー 写真
ブリ・ド・モー : イル・ド・フランス地方の白カビチーズ。牛乳製。 (参照元)

ロワール渓谷地方

南フランスで知られるシェーヴルの名産地です。732年に起こったトゥール・ポワチエ間の戦いの名残とされています。

  • サン・モール・ド・トゥーレーヌ(シェーヴル)- 山羊乳製。Montlouis-sur-LoireやChinonのワインと一緒に。
  • ヴァランセ(シェーヴル)- 山羊乳製。ValencayやTouraineのワインとのペアリングが可能です。
ヴァランセ 写真
ヴァランセ : ロワール渓谷地方のシェーヴルチーズ。山羊乳製。 (参照元)

ポリワトゥー・シャラント地方

ポリワトゥーはシェーヴルの名産地として知られ、A.O.P.を取得している製品があります。

  • シャビチュル・デュ・ポリトゥ(シェーヴル)- 山羊乳製。Haut-Poitouの赤ワインと合わせる。

北部ティエラッシュ地方

フランス最北部に位置し、ベルギーとの国境に近い地域です。

  • マロワール/マロル(ウォッシュ)- 牛乳製。赤のSt-ÉmilionやAlsace Pinot Noir。

アルザス地方及びロレーヌ地方

独特の風味を持つチーズが多く、地域に根ざした製法が特徴です。

  • マンステール(ウォッシュ)- 牛乳製。白ワインのGewurztraminerや赤のAlsace Pinot Noir。
マンステール 写真
マンステール : アルザス地方及びロレーヌ地方のウォッシュチーズ。牛乳製。 (参照元)

シャンパーニュ地方🔗

シャンパーニュ地方はチーズと泡ワインの名産地として知られています。

  • シャウルス(白カビ)- 牛乳製。ワインはChampagne、Bourgogne。
シャウルス 写真
シャウルス : シャンパーニュ地方の白カビチーズ。牛乳製。 (参照元)
シャンパーニュ地方 写真
シャンパーニュ地方🔗 発泡ワインが特徴の地域で、主要品種はシャルドネとピノ・ノワール。 (参照元)

ブルゴーニュ地方🔗

豊かな風味を持つチーズが集まり、地域生産が盛んです。

  • エポワス(ウォッシュ)- 牛乳製。白のMeursault、赤のCôte de Nuitsと共に。
エポワス 写真
エポワス : ブルゴーニュ地方のウォッシュチーズ。牛乳製。 (参照元)
ブルゴーニュ地方 写真
ブルゴーニュ地方🔗 ピノ・ノワールとシャルドネが主流のワイン産地で、品質の高いワインが生産される。 (参照元)

フランシュ・コンテ地方

チーズの多様性があり、特に加熱圧搾の製法が有名です。

  • コンテ(半加熱圧搾)- 牛乳製。Vin Jaune🔗とのペアリングが推奨されます。
Vin Jaune 写真
Vin Jaune🔗 サヴァニャンから長期熟成された黄色い白ワイン。 (参照元)
サヴァニャン 写真
サヴァニャン : ジュラ地方特有の白ぶどう品種で、Vin Jauneなどに使用される。 (参照元)

オーヴェルニュ地方

多様な乳種を使用したチーズを生産しており、地元ワインとの相性が良いです。

  • ブルー・ドーヴェルニュ(青カビ)- 牛乳製。白ワインのSauternesと組み合わせ。
ブルー・ドーヴェルニュ 写真
ブルー・ドーヴェルニュ : オーヴェルニュ地方の青カビチーズ。牛乳製。 (参照元)

ロックフォールとブルー・デ・コース

オクシタニー地方では、強い風味を持つチーズが流行しています。

  • ロックフォール(青カビ)- 半生乳製。赤ワインのCôtes du Rhône南部。

イタリアの主要D.O.P.チーズ

イタリアも多くのD.O.P.(原産地統制表示)チーズを持ち、各地の風土に根ざした製品が展開されています。

ヴァッレ・ダオスタ州

  • フォンティーナ(半加熱圧搾)- 牛乳製。白ワインのValle d'Aosta。
フォンティーナ 写真
フォンティーナ : ヴァッレ・ダオスタ州の半加熱圧搾チーズ。牛乳製。 (参照元)

ビエモンテ州

  • カステルマーニョ(非加熱圧搾)- 牛乳主体。赤ワインのBarolo。
カステルマーニョ 写真
カステルマーニョ : ビエモンテ州の非加熱圧搾チーズ。牛乳主体。 (参照元)

ロンバルディア州

  • ゴルゴンゾーラ(青カビ)- 生乳製。赤のBrachetto d'Acquiとの相性が良い。
ゴルゴンゾーラ 写真
ゴルゴンゾーラ : ロンバルディア州の青カビチーズ。生乳製。 (参照元)
ROKU 写真
ROKU🔗 日本のクラフトジンで、地域特産のボタニカルを使用。 (参照元)

エミリア・ロマーニャ州

  • パルミジャーノ・レッジャーノ(加熱圧搾)- 牛乳製。赤のLambrusco。
パルミジャーノ・レッジャーノ 写真
パルミジャーノ・レッジャーノ : エミリア・ロマーニャ州の加熱圧搾チーズ。牛乳製。 (参照元)

サルデーニャ州

  • ペコリーノ・サルド(半加熱圧搾)- 羊乳製。白ワインのVermentinoとともに。

スペインのチーズ生産概要

スペインでは、気候や風土に応じた家畜が飼育され、各地域で独自のチーズが生産されています。特に羊乳を用いたチーズが多く、意義ある生産地や種類があります。

主要なチーズ産地とアペラシオン名

  • ラ・マンチャ地方
  • バスク地方
  • エストレマドゥーラ州
    • チーズ名:Queso de la Serena - ソフトタイプの羊乳チーズ。
イディアサバル 写真
イディアサバル : 羊乳製の半固形チーズで、バスク地方の伝統的なチーズ。 (参照元)
Idiazabal 写真
Idiazabal : スペインのナバーラ州で作られる羊の乳から作られるチーズ。D.O.P.認証を受けている。 (参照元)
Queso de la Serena 写真
Queso de la Serena : ソフトタイプの羊乳チーズで、エストレマドゥーラ州が産地。 (参照元)
Txakoli de Getaria 写真
Txakoli de Getaria : バスク地方の白ワイン産地で、軽やかな風味が特徴。 (参照元)
ナバーラ 写真
ナバーラ🔗 スペイン北部の州で、ワイン産業が盛ん。 (参照元)
Navarra 写真
Navarra🔗 スペイン北部のワイン産地で、多様なワインが生産される。 (参照元)
La Mancha, Valdepeñas 写真
La Mancha, Valdepeñas : スペインのワイン産地で、白ワインと赤ワインが生産される。 (参照元)

飲料の産地の具体例

以下に、各地の代表的なワインやチーズの一部を示します。

  • ガリシア州のワイン:Rías Baixas🔗 の白、赤ワインが有名。
  • ムルシア州のワイン:Bullas の赤ワイン。
Bullas 写真
Bullas : ムルシア州産の赤ワイン。 (参照元)
Rías Baixas 写真
Rías Baixas : ガリシア州のD.O.ワインで、主にアルバリーニョから作られるフレッシュな白ワイン。 (参照元)

製法の特徴

チーズの製法には、動物由来や植物由来の酵素を使ったものなど、地域により異なる技術が用いられています。スペインでは、主に羊乳と山羊乳を使用したチーズが生産されています。

人名と歴史的背景

特定の生産者名は記載されていますが、地域ごとに伝統的な製法が守られています。1830年にオランダから独立したベルギーでは、修道院でチーズ造りが盛んだった歴史があります。

ベルギーのチーズ生産

ベルギーは、北部がオランダ式、南部がフランス式のチーズを生産しています。最も有名なA.O.P.チーズはフロマージュ・ド・エルヴです。

フロマージュ・ド・エルヴ 写真
フロマージュ・ド・エルヴ : ベルギーで有名なA.O.P.チーズ。 (参照元)

オランダとドイツのチーズ生産

  • オランダ
    • 代表的なチーズ:ゴーダエダム
    • 2020年の生産量:約131万t
  • ドイツ
    • 2020年の生産量:約317万t
    • 代表的なg.U.チーズ:アルゴイヤー・エメンタラー
エダム 写真
エダム : オランダの代表的なチーズで、柔らかい味わいが特徴。 (参照元)
ゴーダ 写真
ゴーダ : オランダの代表的な硬質チーズで、豊かな風味が特徴。 (参照元)

イギリスの伝統的チーズ

イギリスでは、特に南西部において伝統的なチェダーや、ブルー・スティルトン・チーズなどが生産されています。

スティルトン・チーズ 写真
スティルトン・チーズ : 牛乳を原料とする青カビチーズ。クリーミーで独特の風味が特徴。 (参照元)
チェダー 写真
チェダー : イギリスの伝統的な硬質チーズで、多様な風味と使い方がある。 (参照元)
ブルー・スティルトン・チーズ 写真
ブルー・スティルトン・チーズ : イギリスの青カビチーズで、濃厚な味わいが特徴。 (参照元)

ギリシャやポルトガルのチーズ文化

ギリシャの代表的なチーズは、古い時代から親しまれているフェタです。ポルトガルでは、ケイジョ・セモーラ・ダ・エストレーラという羊乳製のチーズが知られています。

フェタ 写真
フェタ : ギリシャの代表的な白チーズで、主に羊乳で作られる。 (参照元)

日本におけるチーズの現状

日本のチーズ消費量は減少傾向にありますが、2022年のナチュラルチーズ消費量は約20万tに達しました。また、国産ナチュラルチーズの生産量は過去10年で最高に達しました。

十勝ラクレットの地理的表示

国産チーズとしては、十勝ラクレットが2023年に認定されたGVITAチーズで、地域独特の風味と製法を生かした質の高いチーズです。

記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。

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