チリ | ソムリエ試験教本まとめ
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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
目次
チリワインの概要
チリは「3Wの国」と呼ばれ、素晴らしい天候(Weather)、美しい女性(Women)、おいしいワイン(Wine)の産地として知られています。2022年のチリワインの輸入量は518万8,163ケースであり、バルクで輸入したものを加えると526万ケースに達します。コロナ禍によるコンテナ不足が影響し、輸入が困難な状況にありましたが、フランスワインを上回り、日本のワイン輸入第一位に復帰しています。
チリワインの経済連携
チリワインの輸入増加は2007年9月3日に発効された日本とチリの経済連携協定に始まりました。2019年4月1日以降、関税はゼロになりましたが、同年2月には日欧EPAが結ばれ、EUワインも無関税となり、チリワインとの関税差がなくなっています。
ブドウ栽培と地理的特性
チリは南北に細長い国であり、ブドウ栽培地域は南緯27度から40度までのおよそ1,400kmに広がっています。特徴としては、アンデス山脈による冷涼な環境や豊富な鉱物資源(硝石や銅)が挙げられます。海岸の寒流のおかげで、果樹栽培が可能な場所も多く、特にアタカマ砂漠周辺では独特のブドウ栽培が行われています。
チリにおけるワインの歴史
チリのワイン用ブドウ栽培は16世紀半ば、スペインのカトリック伝道士によって始まったのが起源です。独立後の1818年には、鉱山富豪がワイン産業を支え、ボルドー品種が導入され、国のワイン制作は発展しました。特に、フランスから多くのブドウの苗木や技術が持ち込まれ、クロード・ゲイが1830年に重要な役割を果たしました。
重要なワイナリーと生産者の登場
- シルベストル・オチャガビア - 1852年にフランスから大量のブドウ苗木を持ち帰り、新しい品種を導入しました。
- カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなど、優れたボルドー種がチリでも高品質なワインを生み出す要因となりました。
20世紀とチリワインの復興
20世紀初頭にはイタリアから棚仕立て技術が導入され、ブドウ栽培面積も増加しましたが、1960年代後半から1980年代には生産過剰の問題を抱え、1994年には栽培面積が54,000haまで減少しました。それでも、1979年のミゲル・トーレスの活動を機に新しいワインづくりが始まりました。
気候と土壌の特徴
チリのブドウ栽培地は典型的な地中海性気候で、冬に集中して雨が降ります。セントラル・ヴァレーでは冬に雪解け水を利用し、乾燥した夏に備えています。また、アンデス山脈とフンボルト海流の影響で、昼夜の気温差が大きく、ブドウの成熟にも理想的な環境となっています。
果樹栽培と使用される技術
- 伝統的には、自然灌漑を利用し、雪解け水を耕作に活用します。
- 最近では、ドリップ・イリゲーションが導入され、水資源の効率的な利用が図られています。
チリワインの将来展望
21世紀に入ると、チリは新たなワイン造りの方向性を見出し、特にテロワールを意識した多様なワイン制作が進んでいます。涼しい栽培環境を求める動きがあり、カサブランカ・ヴァレーなどの冷涼地での栽培が活発化しています。ウアスコ・ヴァレーやチロエのような新しい地域でもブドウ栽培が開始されています。
主なブドウ品種
チリのブドウ栽培は、2021年に130,086haに達し、前年比4.5%の減少が見られました。赤ワイン用が96,033ha、白ワイン用が34,054haで共に微減しています。現在、チリでは100種のワイン用ブドウが栽培されています。
主要ブドウ品種とその栽培面積
- カベルネ・ソーヴィニョン: 37,754ha
- ソーヴィニヨン・ブラン: 14,316ha
- メルロ: 10,819ha
- シャルドネ: 10,345ha
- カルメネール: 10,319ha
- パイス: 10,465ha
- シラー: 6,755ha
- ピノ・ノワール: 3,910ha
- マルベック: 2,469ha
- カリニャン: 941ha
アペラシオンと購入地の詳細
カベルネ・ソーヴィニョンはチリ全体の30%を占め、特にマイポ・ヴァレーが主産地です。プエンテ・アルトなどのアンデス山脈の斜面で育ち、特にそこで生産される赤ワインが評価されています。
ソーヴィニヨン・ブランの特徴
チリでは、18世紀にボルドーから導入されたソーヴィニヨン・ブランよりも、ソーヴィニヨン・ブランが主流でした。近年、栽培方法の改善が進み、グレープフルーツの香りが感じられるソーヴィニヨン・ブランが主流になっています。
カルメネールの移り変わり
カルメネールは19世紀半ばにボルドーから持ち込まれた品種で、長年メルロと誤認されていました。1994年に初めてカルメネールの認識が強まり、その特徴には深紅色や、とても時間のかかる熟成が求められることが挙げられます。
ワイン法と品質分類
チリのワイン法は1985年に法律No.18455が制定され、1986年には農業省令No.78が定められました。この法律によって、ワインはヴィティス・ヴィニフェラのブドウ果汁を発酵させたものに限られています。
スパークリングワインの分類
スパークリングワインは、製品の残糖分で分類され、具体的には次のように分けられます。ブルット・ナトゥレやエクストラ・ブルットといったタイプが存在します。
原産地呼称D.O.
チリの原産地呼称は1994年に農業省令No.464によって規定され、SAGが品質を保証しています。D.O.ワインは品種特定や熟成期間に関する厳しい規制が設けられていません。
チリの食文化と料理
チリでは、伝統的にワインは家庭での食事にあまり用いられませんでした。しかし最近ではワインと料理の組み合わせを楽しむ文化が根付いてきました。特に、海の影響を受けた料理、Cevicheなどが人気で、魚介類中に使われています。
代表的なチリ料理
- エンパナーダ: 具の入ったパン
- Pastel de Choclo: トウモロコシのグラタン
- Chicha: ブドウ果汁から作った甘い飲み物
- Pisco Sour: ピスコを使ったカクテル
チリのブドウ栽培地域
チリのブドウ栽培地域は大きく分けると北部、中央部、南部の3つに分かれ、その全長は約1,400kmにも及びます。この長大な地域は、気候条件や土壌に大きな違いが見られ、ケッペンの気候区分で以下のように分類されています。この南北にわたるブドウ栽培地は多様な環境を持ち、それぞれ特有のワインの風味やキャラクターを生み出しています。
気候区分と特徴
- 砂漠気候: 南緯25度、ラ・セレナまで。アタカマ砂漠は寒流の影響を受けた海岸砂漠で、乾燥の程度が特徴です。この地域では、非常に限られた条件で栽培されたブドウからユニークな風味のワインが生産されます。
- ステップ気候: 南緯25~32度、年間降水量は25~250mm。ここでは丈の低い草木の生えた乾燥帯が広がり、耕地化が行われています。この特徴的な環境が、特に注目のブドウ品種の栽培を可能にしています。
- 地中海性気候: 南緯32~37.5度、サンティアゴからコンセプシオンまで。冬は湿気が高く寒冷、夏は乾燥しながら暖かいです。降水量は北端で300mm、南端で1,200mmの差が見られ、これは地域ごとのブドウの成長に大きな影響を与えています。
- 温暖湿潤気候: 南緯37.5~50度、年間降水量は2,000mmを超えます。この地域は森林や湖沼地帯が広がり、ブドウ栽培に適した湿潤な環境を提供します。
主要な原産地呼称 D.O.
以下では、チリの原産地呼称 D.O. について紹介します。各地域には独自の気候と土壌が影響を与え、特に特定の品種に対する栽培が優位に行われています。
D.O.アタカマ Atacama
コピアポ・ヴァレーとウアスコ・ヴァレーが含まれ、モスカテル種が栽培されています。この地域は特にカクテルやフルーツスムージーなどの材料に使用されることが多いモスカテルから生産されます。また、海沿いにはフンボルト海流の影響で、比較的涼しい気候が保たれています。
D.O.コキンボ Coquimbo
エルキ・ヴァレー、リマリ・ヴァレー、チョアパ・ヴァレーを含むこの地域は、日照が強いが冷たい海風が吹きます。ここでもソーヴィニヨン・ブランやシャルドネ、ピノ・ノワール、シラーの栽培が盛んです。コキンボは特に香り高い白ワインを生み出すことで知られています。
D.O.アコンカグア Aconcagua
複数のサブリージョンを持ち、アコンカグア・ヴァレー、カサブランカ・ヴァレーなどが含まれます。穏やかな気候が多く、日照量の条件が整っています。主要品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやカルメネール、これらの品種は力強く、特徴的な果実味をもつことで評価されています。
D.O.セントラル・ヴァレー Central Valley
チリのブドウ栽培の中心地であり、多くの大規模なワイナリーが集まります。ここではパイスとボルドー品種が伝統的に栽培されています。年降水量は300mm未満と少なく、地中海性気候に適した温暖な気候が特徴です。
チリワインの気候とテロワール
チリのワインの品質に大きく影響を与える気候要因と土壌について触れます。各地域の環境が異なるため、ブドウから生み出されるワインも多様性に富んでいます。
気候の影響
アンデス山脈によって生み出される冷気と、多様な土壌がチリワインの特徴を決定づけます。この地形的要因が、高品質のブドウの生育を促すとともに、それぞれのアペラシオンにおけるワインのスタイルや風味に明確な違いをもたらしています。
持続可能性に関する規則
チリのワイン産業における持続可能性コードは、ブドウ栽培やワイン製造、脱炭素活動などに関する自主規則であり、79のワイナリーが参加しています。これにより、地元環境やコミュニティへの影響を最小限に抑え、持続可能な生産方法を実現することを目指しています。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。