教本まとめ

日本 – 産地 | ソムリエ試験教本まとめ

※本サイトには記事内にプロモーションが含まれています。視覚的に学習しやすくするよう商品名やワイン名にamazonリンクを貼っています。
このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。

北海道のワイン産業の概要

北海道は、日本のワイン造りにおいて重要な地域であり、長野県と並ぶ活気のある土地です。本州に比べて広大な土地と低廉な価格が特徴で、2000年以降に急増したワイナリーは現在で53軒に達し、2008年以降も毎年新たなワイナリーが設立されています。この流れは今後も続くと予想され、背景には本州に比べてまとまった土地が格段に安く入手しやすいことがあると指摘されています。特に空知地方や後志地方でのワイナリー設立が活発で、最近では異業種からの参入も見られます。

長野県 写真
長野県🔗 日本のワイン産地で、内陸性気候がワイン栽培に適している。 (参照元)

ワイナリーの特徴

  • 小規模経営:多くのワイナリーは年間生産量100kℓ以下の家族経営が多く、地域に根差した運営が行われています。
  • 自社畑率:北海道のワイナリーは自社畑のブドウを使用する割合が高く、フランスの「ドメーヌ」型ワイナリーが多く見られるのが特徴です。自社で栽培したブドウのみを使用したワイン造りが行われ、品質の管理や地域特性を生かした生産が期待されています。
  • 異業種参入:広告会社や珈琲販売会社など、異業種からのワイナリー設立も増えており、これにより新たな視点や技術がワイン造りに持ち込まれることが期待されています。

ワインの原産地呼称制度

2018年、国税庁は「北海道」を地理的表示🔗として正式に指定しました。この制度の導入により、地域の特性を強調した北海道産ワインが評価される機会が増え、消費者の認識が高まることが期待されています。これは地域のブドウ栽培技術やワイン造りの重要性を再認識させる一助となっています。

北海道のワインは主に欧・中東系品種(ヴィティス・ヴィニフェラ🔗種)が多く、生産されており、冷涼な気候に適したドイツ系品種の栽培が盛んです。特に、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランといった白ワイン用のブドウが注目されており、赤ワイン用としてはピノ・ノワールやキャンベル・アーリーが主要な品種です。また、北海道特有の赤ワイン用ブドウ品種には、「山幸」(やまさち)や「詩召」(ししょう)があり、急速にその栽培面積が増加しています。

山幸 写真
山幸 : 北海道特有の赤ワイン用ブドウ品種で、栽培面積が増加中。 (参照元)

歴史的な背景

北海道のワイン造りは1876年に始まり、開拓使が重要な役割を果たしてきました。札幌に設立された「開拓使御茶酒醸造所」での初醸造から始まり、その後1915年までの間に様々な品種のワインが製造されていました。その後の半世紀間は沈黙の時代が続きますが、1960年代から再びワイン造りが活発化し、1979年には本格的なワイン生産が再開されました。

歴史的な年号

  • 1876年:北海道で初めてワイン製造が始まった年であり、開拓使の支援があった。
  • 1963年:十勝地方での山ブドウを用いたワイン造りが再開されたことが記録されています。
  • 1979年:本格的なワイン生産が再開された年であり、これにより地域のワイン文化が再生しました。

気候と地理的特徴

北海道の広大な面積は、東京都の約39.7倍であり、さまざまな気候条件を持つブドウ栽培地が存在しています。冷涼な気候が特徴であり、西側の山地と東側の平野部では異なる気候がワイン生産に影響を与えています。

主要なブドウ品種

  • ナイアガラ:生食用として栽培されており、最も生産量が多い品種です。
  • キャンベル・アーリー:北海道での主要な赤ワイン用ブドウであり、独自の風味を持っている。
  • ピノ・ノワール:急速に栽培面積が広がっている品種で、北海道特有の気候に適応していることが期待されています。
ナイアガラ 写真
ナイアガラ : 白ワイン用品種で第2位。中甘口やスパークリングに使用される。 (参照元)

重要な生産地

北海道のワイン用ブドウ栽培の中心地には以下があります。

  • 空知地方:100haを超える最大のブドウ園が存在し、ワイナリーの設立が続々と行われています。この地域は多様なブドウ品種が栽培されており、特にワイン用ブドウの生産が盛んです。
  • 後志地方:余市町などがあり、ここでは欧・中東系品種のブドウの栽培が本格的に進められています。特に、余市町は冷涼な気候がワインの品質向上に寄与しているとされています。

これらの地域では、特に白ワインが多く生産される傾向があります。また、北海道特有の赤ワイン用ブドウ品種として、山幸(やまさち)や詩召(ししょう)があり、急速にその栽培面積が増加しています。これにより、北海道のワイン産業はさらなる多様性を持つようになっています。

岩手県のワイン産業の概要

岩手県は日本の北東部に位置し、冷涼な気候が特徴です。この地域の気象条件は、特に沿岸部の宮古以北では「やませ」という冷涼な風の影響を受け、果樹栽培が盛んだったとは言い難いですが、ブドウ栽培は古くから行われていました。近代的なワイン造りは1960年代から始まりましたが、特に2011年の東日本大震災以降、ワイン産業が急速に活性化し、現在では約15のワイナリーが存在しています。岩手県のワインには、特にヤマブドウを使用したものが多く見られ、独自の風味が評価されています。

岩手県の歴史的背景

  • 明治以前からの栽培: 明治以前から野山に自生しているヤマブドウが発酵酒として利用され、地域の酒文化の一部として根付いていました。
  • 1877年: 第1回内国勧業博覧会で岩手県から衛菊酒が出品され、県内のワインの素地が広がりました。
  • 1947年: 北上川流域でのブドウ栽培が本格的に推奨され、ワイン原料の供給源として重要性が増しました。
  • 1986年: 葛巻町でヤマブドウを原料としたワイン造りが始まり、地域の特色を生かした新たな試みがなされました。
  • 2011年: 東日本大震災を契機に、ワイン産業の活性化が加速し、多くの新たなワイナリー設立が見られています。

製法と主要なブドウ品種

岩手県ではヤマブドウを用いたワイン造りが中心となっていますが、新たに欧州系品種の栽培にも取り組んでいます。特にリースリング・リオンが県内での生産量の約16.4%を占め、日本での生産も75%を誇ります。この品種は、冷涼な気候を生かした酸味が特徴的で、ワインの品質向上に寄与しています。他の主要なブドウ品種にはキャンベル・アーリー、ナイアガラ、マスカット・ベーリーAがあり、それぞれ異なるスタイルのワインが生産されています。

マスカット・ベーリーA 写真
マスカット・ベーリーA : 日本で開発された赤ワイン用ブドウ品種。果実味豊かで華やかな香りを持つ。 (参照元)
リースリング・リオン 写真
リースリング・リオン : 白ワイン用のブドウ品種で、岩手県内での生産量が多い。 (参照元)

山形県のワイン産業の概要

山形県は果樹栽培が盛んな地域で、ブドウ栽培も古くから行われています。しかし、1973年以降には大手が撤退するなど苦しい時期もありました。近年では、ワイン用ブドウ栽培が再活況を呈しています。現在、国税庁のデータによると、19のワイナリーが存在し、それぞれ独自の特色を持ったワインを生産しています。

山形県の歴史的背景

  • 1873年: 明治中期にワイン醸造が始まり、ブドウ栽培の基礎が築かれました。
  • 1953年から1970年: 大手メーカーが果実酒の原材料供給地として注目し、工場が増えました。
  • 1973年以降: 市場の変化により大手の撤退が進み、ワイナリー数が減少しました。
  • 2016年: 上山市と南陽市が「ワイン特区」に指定され、農業が活発化し、新たなワイナリー設立が促進されました。

主要なブドウ品種と産地

山形県ではデラウェアやマスカット・ベーリーAが主要な品種であり、特にデラウェアは全国的に有名です。この品種は甘みがあり、フルーティーな香りが特徴で、ワインの原料として最も多く使用され、実際の生産量は539tに達します。また、主要なワイン産地としては、上山市、南陽市、朝日町が挙げられます。これらの地域は、気候や土壌がワイン用ブドウ栽培に適しており、高品質なワインの生産に寄与しています。

デラウェア 写真
デラウェア : ヴィティス種の交雑により生まれたブドウ品種。甘味が特徴。 (参照元)

東北その他の県の概要

他の東北地方の県、青森、秋田、宮城、福島などでもワイン産業が注目されています。青森県では2017年以降に急速にワイナリーが設立され、地場の特色を生かしたバラエティ豊かなワインが生産されています。これにより、東北全体がワインの生産地として認識されるようになっています。

具体的なワイナリーの例

  • 岩手県: 花巻市の各ワイナリーが著名で、新しいスタイルのワインを生み出しています。
  • 山形県: 賞を受賞しているタケダワイナリーが有名で、県内産ブドウを使用した高品質なワインを提供しています。
  • 青森県: 藤田衛菊園が歴史的に重要な役割を果たし、地元のブドウを生かしたワインを醸造しています。
タケダワイナリー 写真
タケダワイナリー🔗 山形県に位置し、賞を受賞している著名なワイナリー。 (参照元)

新潟県の状況

新潟県は細長い地形を持ち、ワイン造りの歴史は明治20年代に始まりました。現在10のワイナリーが存在し、特に新潟ワインコーストとのブランド化が進んでいます。新潟県では、地元の気候を生かした多様な品種のワインが生産されており、各ワイナリーが独自の特徴を打ち出しています。

北陸地方のワイン産業

北陸地方(新潟を含む)では、ワイン造りの歴史が深く、近年注目されているワイナリーも増えています。新潟県でのワイン生産量は407k6、750m6換算で約54.3万本とされており、各ワイナリーが発展を遂げています。特に、洋梨や桃を使ったスパークリングワイン🔗など、独自の製品が消費者に支持されています。

関東地方のワイナリーと生産状況

関東地方には7つの都県にワイナリーが存在しており、特に栃木県が最も多く、9軒で生産量186klに達しています。これを750ml換算すると約24.8万本となり、全国では生産順位9位に位置しています。栃木県で生産されるワインの主要な色は赤ワインと白ワインで、特に生産されるブドウの品種にはシャルドネ、マスカット・ベーリーA、カベルネ・ソーヴィニヨン、甲州があり、各品種の特徴を活かした多様なワインが製造されています。さらに、栃木県のワイナリーは自社農園で育てたリースリング・リオンを使用したスパークリングワインを製造しており、このワインは沖縄サミットで提供されるなど、県外にもその評価が広がっています。以下は関東地方各県のワイナリー状況に関する詳細です:

  • 栃木県: 自社農園で育てたリースリング・リオンのスパークリングワインは沖縄サミットで使用された。
  • 埼玉県: 4軒のワイナリーが存在し、昭和初期から続く歴史あるワイナリーもあります。
  • 東京都: 2014年以降、街中ワイナリーが増え、現在のワイナリー数は9軒です。原料ブドウは都外のものを使っているものの、近年には練馬区や多摩地区でのブドウを使ったワイン醸造の動きも見られます。
  • 千葉県: 10軒のワイナリーが存在し、生産量は少ないものの、ブドウ栽培からワイン醸造まで一貫した製作を実践するワイナリーもあります。
甲州 写真
甲州 : 日本独自の白ワイン用ブドウ品種で、山梨県を中心に栽培されている。 (参照元)
山梨県 写真
山梨県🔗 日本の主要なワイン産地の一つで、さまざまなワインが生産されている。 (参照元)

長野県のワイン産業の発展

長野県は日本のワイン造りで最も活気のある県として知られ、2021年度には65軒のワイナリーが存在しました。2000年以降、小規模ワイナリーが特に増加しており、これは信州ワインバレー構想🔗(2013年)の一因でもあります。この構想により、地域内でのワイン造りを推進し、高品質なワインを生産する目標が掲げられています。近年では、2003年以降、新規就農者が増え、特に都市部からの移住者がワイン用ブドウの栽培に取り組む姿勢が顕著です。

  • 長野県では、特に赤ワインの生産が盛んで、メルロ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった品種が栽培されています。

長野県の歴史的背景

長野県のワイン造りの歴史は明治初年まで遡ります。1872年には百瀬二郎が日本初のワインの醸造に関する願書を提出し、これが日本のワイン産業の始まりとされています。1902年には理喜司が「信濃殖産会社」を設立し、本格的なワイン造りが始まります。長野県で生産される赤ワインは、メルロやシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなど多様なスタイルが楽しめることが特徴です。

原産地呼称管理制度

長野県は2002年に味の原産地呼称管理制度を設立し、2021年には「G.L長野プレミアム」へ移行しました。これは高品質な農産物や農産加工品を提供し、生産者情報を開示することで消費者の信頼を得る目的があります。これに貢献する形で、地元の農家やワイナリーはより良い生産方法を模索しています。

主要なブドウ品種

長野県のワイン生産は特に赤ワインに力を入れており、過去にはメルロ(640t)、シャルドネ(327t)が多く栽培され、その中でも特にメルロの品質の高さが評価されています。また、近年では少量のブドウで高品質なワインを生み出す取り組みも注目されています。

山梨県のワイン生産と歴史

山梨県は日本のワイン生産の中心地であり、ワイナリー数は94軒に達します。明治初年からワイン造りが始まり、1877年には県立の衛菊酒醸造所が設立されました。山梨県では甲州やマスカット・ベーリーAを使用したワインが特に多く、生産されるワインの色は白ワインや赤ワインが主流です。甲州は、特に国内外で評価される代表的な品種となっています。

  • 桂二郎はワイン造りの指導的立場にあり、県内の多くの農家を指導しました。
  • 1898年に設立された甲州衛荷酒株式会社🔗が国内最大規模の醸造所でありました。また、戦後の復興以降、ワイン産業は急激に成長を遂げ、現在も多くのワイナリーが存在しています。

山梨県のワインの現状

1990年代以降、山梨県のワイン産業は大きな転機を迎え、特に1973年からのワイン消費拡大が顕著です。現在、山梨県のワイン生産量は583tで、日本全体の32.2%を占めています。近年では、国際コンクールでの受賞を通じて、メルロや甲州などの評価が高まり、海外市場への進出も見られています。

関東地方と長野県、山梨県のワイン産業の動向や歴史をまとめました。この情報は、ワインに対する理解を深めるために非常に重要です。

東海地方のワイン文化

東海地方では、特に静岡県でのワイン生産が盛んです。1697年の『本朝食鑑🔗』では、静岡が日本でも著名な茶の産地として知られていますが、実際にはワインの生産も古くから行われてきました。1906年には静岡市清水区に農商務省が農事試験場を設置し、ここでは欧・中東系ブドウが試験栽培されるようになりました。この試験場は、静岡県におけるワイン生産の礎を築くものでした。静岡県では主に白ワインが生産されており、特に甲州などのブドウ品種が使用され、地元の気候風土に適応したユニークな特性を持つワインが醸造されています。

静岡県のワイナリー

  • 愛知県: 障害者自立支援ワイナリーやドメーヌ型ワイナリーを含む7軒。
  • 三重県: 廃校を利用した「ワインづくりプロジェクト」が進行中。
  • 岐阜県: 1933年からミサ用ワインを製造している修道院を含む2軒のワイナリー。

静岡県には9軒のワイナリーが存在し、降水量が1,000mmを超える気候条件の中で日本ワインの生産が行われています。静岡県のワイン生産量は185klであり、白ワインの生産が主流ですが、ワインのスタイルに応じて様々なアペラシオン(原産地呼称)が存在します。特に甲州ワインは、この地域を代表する存在で、その特性はフレッシュでクリーンな酸味と香りに特徴づけられます。

近畿地方のワイン歴史

近畿地方、特に大阪府は江戸時代からブドウ栽培が行われており、商業ベースではなくてもブドウ酒が名産でした。1930年代にはワイナリー数が110軒を超えましたが、その後は数が減少し、近年では地元ワイナリーの活性化に向けた動きが見られます。

大阪府のワイン文化

  • 明治時代: 新宿御苑から甲州の苗木が伝来し、堅下村で栽培が盛んになりました。
  • 大正時代: 本格的なワイン造りが始まり、1914年に初のワイナリーが設立されました。
  • 1935年: ブドウ畑は800haを超え、119軒のワイナリーが存在しました。

1959年の伊勢湾台風等の影響によりブドウ栽培が急減し、現在は8軒のワイナリーが残っていますが、近年では新たな技術や品種改良により、品質の高いワインが期待されています。

中国・四国地方のワイン生産

四国では1895年に愛媛県でブドウ栽培が始まり、1900年にはワイン醸造が開始されました。その後、岡山県では1911年に吉備衛荷酒醸造所が設立され、地域のワイン文化が広がりました。これらの地域では、主要なブドウ品種として甲州やメルローが栽培され、地域の特性を反映したワインが造られています。

地域別ワイナリーの概要

  • 岡山県: 年間生産量348kl、大手ワインメーカーが存在し、質の高いワインが生産されています。
  • 島根県: 約90tの甲州ワインを生産し、地域の特色を活かした醸造が行われています。
  • 香川県、徳島県、愛媛県、高知県: 各県に多様なワイナリーが存在し、それぞれが独自のスタイルでワインを造っています。

九州・沖縄におけるワイン制作の歴史

九州では江戸時代からワイン生産があり、2020年には27軒のワイナリーが存在しました。大分県では60年代に改良事業が始まり、特にデラウェアを中心としたワイン栽培が進み、フルーティーな味わいを持つワインが生産されています。

九州のワイン文化のポイント

  • 熊本県: シャルドネが主力となり、エレガントで香り高いワインが生産されています。
  • 宮崎県: キャンベル・アーリーが主に栽培され、甘口のワインが人気です。
  • 大分県: 自社農園の拡大が進み、地域の気候に合った多様な品種を用いた蔵出しワインが注目されています。

近年では、椰子やバナナを使った果実酒が注目される一方で、日本ワインはより一層の品質向上を目指している状況にあります。

記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です