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ジュラ・サヴォワ | ソムリエ試験教本まとめ

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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。

ジュラ・サヴォワ地方の概要

フランス東部、ジュラ山脈の西に位置するジュラ地方は、地質年代の呼称であるジュラ紀に由来しています。ワイン産地としては非常に小規模で、A.O.C.(原産地統制名称)ワインの栽培面積は約2,000haです。ジュラ地方独自のワインには酸化的に成熟させたヴァン・ジョーヌ🔗や、陰干ししたブドウから造られるヴァン・ド・パイユ🔗がありますが、近年は酸化的ワインの生産が減少傾向にあります。

ヴァン・ジョーヌ 写真
ヴァン・ジョーヌ🔗 酸化的に成熟させて造られる、ジュラ地方特産の白ワイン。 (参照元)
ヴァン・ド・パイユ 写真
ヴァン・ド・パイユ🔗 陰干ししたブドウから造られるジュラ地方のワイン。 (参照元)

歴史背景

ジュラでのブドウ栽培の始まりは不明ですが、紀元80年には小プリニウスが言及しています。また、10世紀にはアルボワ、16世紀にはシャトー・シャロン🔗にブドウ畑が存在していたことが確認されています。フランス大革命から19世紀にかけて、ジュラのブドウ栽培は広がりを見せ、一時は20,000haまで増加しましたが、フィロキセラ🔗によって減少。1936-37年にはアルボワ、シャトー・シャロン、レトワール、コート・デュ・ジュラの4つのA.O.C.が制定されました。

アルボワ 写真
アルボワ🔗 ジュラ地方のA.O.C.で赤、ロゼ、白などを産出。 (参照元)
シャトー・シャロン 写真
シャトー・シャロン🔗 ヴァン・ジョーヌ専用のA.O.C.で、サヴァニャンのみを使用。 (参照元)
プリニウス 写真
プリニウス : 古代ローマの博物学者で、ワインに関する記述がある (参照元)

地理と気候

ジュラ地域は半大陸性気候で、年間平均気温は11-13度。年間の降水量は平均1,150mmで、日照時間は1,700-1,900時間。ブドウ畑は主に南または南西の斜面にあり、土壌は灰色泥灰岩が多く、全ブドウ畑の60-65%を占めています。これにより、ワインの品質に大きく影響しています。

主要ブドウ品種

白ブドウ品種:

  • サヴァニャン: ジュラ地域の特産品種で、ヴァン・ジョーヌの原料となる。
  • シャルドネ: ジュラの耕作面積の約50%を占める。

黒ブドウ品種:

  • Poulsard (プールサール): ジュラ原産。
  • Trousseau (トゥルソー): 妥当な栽培地が限られる品種。
  • Pinot Noir: 15世紀頃にジュラに渡来した。
サヴァニャン 写真
サヴァニャン : ジュラ地方特有の白ぶどう品種で、Vin Jauneなどに使用される。 (参照元)
プールサール 写真
プールサール : アルボワ地区で主に栽培される黒ぶどう品種。 (参照元)

特産品と料理

ジュラ地方には多くの特産品と料理があります:

  • コンテ: A.O.P.チーズの中で最も生産量が多い。
  • Morbier: 中央に黒い線が特徴のA.O.P.チーズ。
  • Mont d'Or: 限定生産されるA.O.P.チーズ。
  • ヴァン・ジョーヌを使用したクリーミーな鶏料理
  • コンテとアルボワのワインを使ったチーズフォンデュ

ワインの種類とA.O.C.

A.O.C.の分類:

  • アルボワ🔗: 赤、ロゼ、白、ヴァン・ジョーヌなどが認められ生産量の70%を赤ワインが占めます。
  • シャトー・シャロン: ヴァン・ジョーヌ専用のA.O.C.で、サヴァニャンのみを使用。
  • L'Etoile🔗: 白ワインではサヴァニャンとシャルドネが80%以上で、酸化的ワインが多い。
  • Côtes du Jura🔗: 多様なワインが認められ、栽培面積、生産量は少ないですが、白が主流。
Côtes du Jura 写真
Côtes du Jura : 多様なワインが認められるジュラ地方のA.O.C.。 (参照元)
L'Etoile 写真
L'Etoile🔗 白ワインでサヴァニャンとシャルドネが80%以上を占めるA.O.C. (参照元)

重要な人名とイベント

また、ジュラ地方はルイ・パストゥールの地元でもあります。彼はアルボワで幼少期を過ごし、アルコール発酵の解明や低温殺菌法🔗のパイオニアです。

ルイ・パストゥール 写真
ルイ・パストゥール : アルボワ出身の科学者で、アルコール発酵の解明に貢献した。 (参照元)

ビオロジック栽培の実践

ジュラ地方では、全耕作面積の約15%がビオロジック栽培とされ、環境に配慮したブドウ生産が行われています。これはフランスで3番目に雨量が多い地域として注目されています。

アペラシオン名と生産地の概要

このセクションでは、ジュラ地方で栽培される主要なワインのアペラシオン名とその特徴について説明します。ジュラ地方は、フランスのワイン産地の中でも独自の特性を持つ地域で、特に白ワインやデザートワインの生産が有名です。

A.O.C.アルボワ🔗

ジュラ地方の北部、アルボワを中心にしたA.O.C.で、

  • 生産量の70%が赤ワインで占められており、主要品種はプールサールトゥルソーピノ・ノワールです。これらの赤ワインは、果実味と酸味のバランスが取れ、軽やかで飲みやすいのが特徴です。
  • 白ワインはシャルドネサヴァニャンが80%以上を占め、補助品種にプールサールトゥルソーピノ・ノワールが用いられます。これらの白ワインは、特にシャルドネがリッチで繊細な味わいを持つことで知られています。

特定の村から生産されるワインには地理的名称が付き、例としてArbois Pupillin🔗があります。アルボワの土壌は、石灰質のミネラルが豊富で、健全なブドウの成長を促進します。

Arbois Pupillin 写真
Arbois Pupillin : アルボワ地区から生産されるワインに地理的名称が付けられた例。 (参照元)

A.O.C.シャトー・シャロン🔗

シャトー・シャロンで生産されるヴァン・ジョーヌ専門のA.O.C.で、

  • 認定品種はサヴァニャンのみで、これが独自の風味を醸し出します。
  • 最低収穫糖度は204g/lで、他のアペラシオンと比較しても高めで、この甘さが影響して独特の濃厚な味わいを形成します。
  • 特徴的なフレーバーを持つ上品な味わいがあり、長期熟成によって複雑さが増します。

製法とワインの特徴

このセクションでは、製法や各ワインの特徴について詳しく見ていきます。

Vin Jaune🔗の製法

サヴァニャンから長期熟成した白ワインで、しばしば「ジュラの黄金」とも称され、特にシャトー・シャロンで発展したと考えられています。

  • 色調が黄色に近く、リッチな風味と高い酸度を持ち、料理との相性も良いです。
  • 長期熟成により、アーモンドやキャラメルなど複雑なフレーバーが生まれ、その風味は時とともにさらに深みを増します。
Vin Jaune 写真
Vin Jaune🔗 サヴァニャンから長期熟成された黄色い白ワイン。 (参照元)

Vin de Paille🔗の特徴

陰干ししたぶどうから造られる甘口ワインで、特に賛美されます。

  • 認められた品種はサヴァニャンシャルドネプールサールトゥルソーで、これらの品種はワインに深い甘みと芳香を与えます。
  • 収穫時の糖度は320g/l以上、420g/l未満でなければなりません。これにより、非常に濃厚かつバランスの取れた甘味が実現されます。
Vin de Paille 写真
Vin de Paille🔗 陰干ししたぶどうから造られる甘口ワイン。 (参照元)

特殊なワインの分類

次に、ジュラ地方の特殊なワインの種類について解説します。

Cremant du Jura🔗

発泡性ワインで、主要なアペラシオンと同様の地域から収穫されたブドウを使用します。

Cremant du Jura 写真
Cremant du Jura🔗 ジュラ地方の発泡性ワイン。 (参照元)
ピノ・グリ 写真
ピノ・グリ : 白ワイン用のブドウ品種で、豊かな果実味と酸味が特徴的。 (参照元)

Macvin du Jura🔗

赤、ロゼ、白で構成されるヴァン・ド・リキュール🔗で、

  • オー・ド・ヴィを添加し、熟成させる必要があります。この特徴により、甘美でエレガントな風味が生まれます。
Macvin du Jura 写真
Macvin du Jura : オー・ド・ヴィを添加して熟成させたリキュールワイン。 (参照元)

I.G.P.フランシュ・コンテ

ジュラ地方以外の地域を含むI.G.P.で、

  • 赤、ロゼ、白など多様なワインが造られ、2015年以降アルボワのA.O.C.地域から除外されています。

地域ごとの地理的名称も用いられ、特定のワインに特徴的な価値を付与します。地域の多様性は、さまざまなスタイルや風味のワインを生み出す土壌と気候に源を持っています。

サヴォワ地方の概要

サヴォワ地方はフランスの東部に位置し、スイスやイタリアと国境を接しています。アルプス山脈のふもとに広がるこの地域は、レマン湖からローヌ川に沿った約2,200haのブドウ畑があります。ここでは、全体の70%が白ワイン、20%が赤、6%がロゼ、4%が発泡性ワインで占められています。A.O.C.は3つだけですが、地理的名称は165あり、ブドウの品種やワインのタイプによって異なります。

サヴォワの歴史

紀元前1世紀にはサヴォワ地方にブドウ畑があったとされ、中世には修道士による栽培が行われました。1860年にサヴォワがフランスに併合されると、南フランスのワインとの競争が始まり、フィロキセラ病が影響を与えました。重要な建物としては、16世紀から改修が続いたサン・ピエール・ド・レマン教会があり、起源は6世紀にさかのぼります。

サヴォワ地方の文化

サヴォワ県とオート・サヴォワ県は、古くはサヴォワ伯国およびサヴォワ公国の一部でした。1720年にはサルデーニャ王国の一部となり、1860年にフランスに併合されました。観光業が地域経済の中心となり、ワインが地域消費を促進しています。

気候と地形

サヴォワ地方は、標高250~500mにある斜面にブドウ畑が広がっています。気候は海洋性が強く、年間降水量は1,000mm、年間日照時間は1,600時間です。さまざまな土壌が存在し、土壌タイプは氷河期の堆積物、泥灰岩土壌、石灰質土壌が含まれています。

ワイン生産量と主要ブドウ品種

サヴォワ地方の年間ワイン生産量は122,356hlで、そのうち98,724hlがA.O.C.ワインです。主要なブドウ品種は以下の通りです。

  • 白ブドウ:
    • ジャケール (Jacquère): サヴォワ地方で最も広く栽培され、約50%を占める。
    • アルテス (Altesse): キプロスから由来する品種。
    • シャスラ (Chasselas): オート・サヴォワ県でのみ栽培。
  • 黒ブドウ:
    • モンドゥーズ (Mondeuse): サヴォワを代表する黒ブドウ。
    • ガメイ (Gamay)、ピノ・ノワール (Pinot Noir) も栽培されています。
ジャケール 写真
ジャケール : サヴォワ地方で最も広く栽培されている白ブドウ品種。 (参照元)
シャスラ 写真
シャスラ : スイスで主に栽培される白ブドウ品種 (参照元)
モンドゥーズ 写真
モンドゥーズ : サヴォワを代表する黒ブドウ品種。 (参照元)

地方料理と食材

サヴォワ地方の特色ある料理には、以下のようなものがあります。

  • フォンドュ・サヴォヤルド: ポモフォールやエメンタールを使ったチーズフォンデュ。
  • タルト・フレット: ジャガイモとタマネギのグラタン。
  • アボンダンス: A.O.P.チーズ。
アボンダンス 写真
アボンダンス : フランス・サヴォワ地方のA.O.P.チーズ。 (参照元)

主要なA.O.C.ワイン

サヴォワ地方の主要なA.O.C.には、以下のものがあります。

  • Vin de Savoie🔗: このA.O.C.には赤、ロゼ、白、発泡ワインがあります。
  • Roussette de Savoie🔗: アルテス(ルーセット)から作られる白ワイン。
  • Seyssel: 白と発泡白、ローヌ川沿いに位置し、アルテス、モレットが含まれています。
Vin de Savoie 写真
Vin de Savoie🔗 サヴォワ地方のA.O.C.に認定された赤、ロゼ、白、発泡ワイン。 (参照元)
Roussette de Savoie 写真
Roussette de Savoie : アルテス(ルーセット)から作られる白ワイン。 (参照元)

A.O.C.に関する法律

サヴォワ地方の原産地呼称(A.O.C.)には、具体的に認められた地理的名称や品種の規制があります。例えば、Vin de Savoieの場合、赤、ロゼはガメイ、モンドゥーズ、ピノ・ノワールが90%以上含まれる必要があります。白ワインはジャケール、アルテス、シャルドネなどが認められており、特に条件に従ったブレンドが求められます。

ワイン生産のからくり

サヴォワ地方のワイン生産には、ブドウ畑、土壌、および気候が密接に関係しています。生産者は、使用される品種や製造方法に注意を払い、品質を高めるための取り組みを行っています。

記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。

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