ラングドック・ルーション | ソムリエ試験教本まとめ

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ラングドック・ルーション🔗地方の概要

フランス南部、地中海沿岸に位置するラングドック・ルーション地方は、プロヴァンスとローヌ川を境に接しています。主要な県はガール、エロー、オード、ピレネー・オリエンタル、ロゼールで構成され、この地域の方言はオック語です。また、ルーション地方では日常的にカタルーニャ🔗語が話されています。

この地方のワイン生産の大部分はI.G.P.ワインであり、A.O.C.ワインの生産が急増していますが、未だにI.G.P.ワインが70%以上を占めています。

歴史的背景

ラングドック地方は13世紀にアルビジョワ十字軍の後にフランス王国に編入され、ルーション地域は1689年のピレネー条約によってフランスに加わりました。ブドウ栽培は紀元前2世紀から行われており、歴史的なワイン生産地として知られています。I.G.P.ワインは80年代から品質の追求が行われ、フィトゥー、サン・シニアン🔗、ミネルヴォワ🔗、コルビエール🔗といった産地が次々とA.O.C.を取得しています。

重要な年号

• 13世紀：ラングドックがフランス王国に編入。
• 1659年：ルーションがフランスに割譲。
• 1997年：カルカッソンヌがユネスコ世界遺産に登録。

ブドウ栽培と主な産地

ラングドック・ルーション地方はフランス全体のワイン生産の約40%を占め、主要な品種としてカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネのほか、グルナッシュやシラーなどが挙げられます。ワイン生産地域としては、フィトゥーやサン・シニアンが有名です。

気候と土壌

この地方の気候は地中海性で、冬は温暖、夏は乾燥しています。トラモンタンと呼ばれる風によってブドウは適切な乾燥状態を保ち、病害のリスクが軽減されます。土壌は多様で、海に近い地域は砂質、石灰質、山側の地域はシストや泥灰岩などが見られます。

ワインの生産量

2018年度の統計によると、ラングドック・ルーション地方のワイン生産量は11,549,905hlであり、A.O.C.ワインは1,484,405hl、I.G.P.ワインは9,126,222hlに達しています。

• 白ワイン：20%
• 赤ワイン：60%
• ロゼワイン：20%

料理と食材

地域の名物料理には、ブランドード・ド・モリュ（塩鱈のペースト）、カスレ（白インゲン豆の煮込み）、タウレオ（カマルグ名物の雄牛の煮込み）があります。また、オリーブ・ド・ニームや、ペラードン（山羊乳のチーズ）も有名です。

文化的背景

ラングドック地方には古代ローマの遺跡が多数存在し、カルカッソンヌの城塞都市は有名です。また、ペルピニャンではカタルーニャの伝統的な祭りが催され、文化的な影響が色濃く残っています。

経済と観光

ワイン生産がこの地方の主要な産業であり、農業工学の研究機関も存在します。観光産業も重要であり、特に地中海沿岸には多くの観光客が訪れます。

主要なブドウ品種

この地方で栽培されるブドウ品種には、白ブドウがシャルドネ、マルサンヌ、クレレットなど、黒ブドウがグルナッシュ、シラー、カリニャンなどがあります。

アペラシオンとラングドック地域の概要

エロー、オード、ピレネー・オリエンタル県🔗の大部分とガール県の一部を含む、ラングドック・ルーション地方のA.O.C.は、1985年にA.O.C.を取得したCoteaux du Languedoc🔗が2007年に名称を変更したものです。2017年5月3日まで旧呼称が許可されていました。面積は約10,000haで、年産量は400,000hlに達し、ラングドック地方は特に多様な土壌と気候に恵まれ、質の高いワインが生産されています。

主要なブドウ品種

• 赤ワインとロゼ: ダルナッシュ、ルドネール・ペリュ、ムールヴェードル、シラー
• 白ワイン: ブールブーラン、クレレット、グルナッシュ・ブラン、マルサンヌ、ピックプール、ルーサンスヌ、トゥルバ、ヴェルメンティーノ

また、2019年12月の改正により、赤にはギリシャや南イタリアの品種であるアギオルギティコやカラブレーゼ（ネロ・ダーヴォラ）が温暖化対策として認められ、白ワインにはアシルティコも追加されることとなりました。

A.O.C.の地理的名称

以下の地理的名称がラングドック・A.O.C.に認められています。

• Languedoc Cabrieres🔗: エロー県のカプブリエール村にのみ与えられた地理的名称で、ここでは特にグルナッシュとシラーが主要品種として使われています。
• Languedoc Gres de Montpellier🔗: モンペリエ市周辺で、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。この地域は良質な赤ワインを生産することで知られています。
• Languedoc La Mejanelle🔗: モンペリエ地域に対象で、主要品種にはグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーが含まれます。土壌は玉砂利混じりの赤い粘土が特徴です。
• Languedoc Montpeyroux🔗: エロー県のモンペイルーとアルボラスで栽培され、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーが中心です。
• Languedoc Pezenas🔗: エロー県の15村で構成され、多様な土壌に基づく赤ワインの生産が行われており、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。
• Languedoc Quatourze🔗: オード県にある小字であり、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラー。特にこの地域では、土壌の石英と砂岩からの影響が強いです。
• Languedoc Saint-Christol🔗: エロー県のサン・クリストル村で栽培され、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。
• Languedoc Saint-Drezery🔗: サン・ドレゼリー村にあり、主要品種にはグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーが含まれています。
• Languedoc Saint-Georges-d'Orques🔗: エロー県の5村から成り、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。
• Languedoc Saint-Saturnin🔗: エロー県の4村に広がり、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。
• Languedoc Sommieres🔗: ガール県の一部で、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーです。これらの品種はテロワールに適したワインを生む基盤となっています。

A.O.C.としての定義と改正

A.O.C.としての基準には、各地理的名称において少なくとも2つ以上の主要品種を使用し、その合計が全体の50%以上を占めることが求められます。また1品種のみで全体の80%を超えることは禁止されています。赤とロゼにおいては「Primeur」または「Nouveau」の表示が評価されています。

エロー県の代表的A.O.C.

Pic-Saint-Loup🔗（赤、ロゼ）は、2017年に独立したA.O.C.で、モンペリエ北部のエロー県15村とガール県2村に認められています。土壌は石灰岩や泥灰岩が含まれ、主要な赤ワインの品種はシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルです。この地域のワインは特に深みと複雑さで知られています。

その他の重要なA.O.C.

• Terrasses du Larzac🔗: 2014年に地理的名称付きのA.O.C.から独立したもので、特徴的な地形と土壌から高品質なワインが生産されています。
• Clairette du Languedoc🔗: クレレットのみを使用した辛口の生産で、フレッシュでアロマティックな白ワインが特徴です。
• Picpoul de Pinet🔗: ピックプール100%から造られる辛口白のA.O.C.で、海の近くのブドウ畑で育てられ、独特のミネラル感があります。
• Faugeres🔗: 1982年にA.O.C.昇格し、非常に質の高い赤ワインを生産しています。
• Saint-Chinian🔗: 赤、ロゼ、白の多様なスタイルが特徴で、それぞれにユニークな個性があります。

歴史的背景と生産者

1985年にA.O.C.に昇格した地方も多く、特にミネルヴォワ、ラ・リヴィニエールなどが認知されています。これらの地域は、さまざまな土壌を背景に高品質なワイン生産を行っており、特にラングドック地方は多様性に富み、地元の生産者たちが独自のスタイルを追求しています。

オード県のA.O.C.

オード県にはさまざまなA.O.C.（原産地呼称）が存在し、各地域の特性に応じた独自のワインが生産されています。ここでは、代表的なA.O.C.について詳細に説明します。

La Clape🔗 (赤、白)

2015年にA.O.C.ラングドック・ラ・クラープから独立したA.O.C.で、ナルボンヌの東の海岸線に位置し、ナルボンメを含むオード県の6市町村に認められています。土壌は非常に多様で、角の失った平たい石、酸化鉄を含む赤土、灰色泥灰岩や黄色泥灰岩、赤い砂岩や緑の砂岩などが見られ、地域のテロワールによりワインの個性が形成されています。

• 主要品種: グルナッシュ、ムールヴェードル、シラー。これらの品種は、フルボディで果実味豊かであり、複雑な香りを持っています。
• 補助品種: カリニャン、サンソー。これらの補助品種は、ワインに良いバランスを加え、風味をさらに豊かにします。
• 醸造では、少なくとも2つの主要品種を使用し、主要品種が全体の50%を占める必要があります。また、1品種が全体の70%を超えてはなりません。

Corbières🔗 (赤、ロゼ、白)

1985年にオード県の87ヵ村に認められたA.O.C.で、栽培面積が10,000haを超えており、その広大な面積は生産されるワインの多様性を反映しています。

• 主要品種: カリニャン、グルナッシュ、シラー、ルドネール・ペリュなどが広く使用されます。
• 補助品種: サンソー、ダルナッシュ・グリ、ピックプール・ツワール、テレ・ノワールなど多岐にわたります。
• 赤ワインは2品種以上使用し、主要品種の合計が40%未満であることが求められます。また、ロゼは個別に醸造された白品種を除き、少なくとも2品種以上を使用し、主要品種の合計が40%を超えてはなりません。

Boutenac🔗 (ポ)

2005年にコルビエールから独立し、2022年に改称されたA.O.C.で、オード県の10ヵ村が対象となっています。この地域は赤ワイン専門のA.O.C.として知られています。

• 赤の主要品種: カリニャン、グルナッシュ、ムールヴェードル、シラー。
• 特にカリニャンの比率が30%以上の比率と規定されており、醸造においてもカリニャンがこのA.O.C.の大きな特徴を形成しています。

Fitou🔗 (赤)

1948年にA.O.C.取得した歴史あるワイン産地で、オード県の9ヵ村に認められています。興味深いことに、この地域はコルビエールA.O.C.の一部を挟み、沿岸部と内陸部の2つに地域が分かれています。

• 主要品種: カリニャン、グルナッシュ。
• 2つ以上の品種を使用し、1品種が全体の80%を超えないようにする必要があり、テロワールの多様性が反映されたワインが生まれます。

Cabardès🔗 (赤、ロゼ)

1999年に認められたA.O.C.で、ボルドー系と南仏系品種が融合した特異なワインが特徴です。大西洋からの風と地中海からの風の交差点に位置しています。

• 主要品種: カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、グルナッシュ、メルロ。
• まさにボルドー系と南仏系の良さを融合したワインで、主要3品種で40%以上を占める必要があります。

Malepère🔗 (赤、ロゼ)

2007年に昇格してA.O.C.となり、オード県の39ヵ村を対象としています。地中海と大西洋双方の影響を受けた地域です。

• 赤の主要品種: メルロ。
• 補助品種の合計または単独で20%以上必要です。土壌の多様性が赤とロゼにおける個性を形成します。

Limoux🔗 (赤、白、発泡白)

1938年に成立し、後に変更が加えられたA.O.C.で、特に発泡性ワインが有名です。赤ワインが2004年に規定されたことで、そのバリエーションは広がりました。

• 赤の主要品種: メルロ。
• 白の主要品種: シャルドネ、シュナン・ブラン、モーザック。
• ワインは少なくとも3品種をブレンドし、メルロが45%以上を占める必要があります。

ピレネー・オリエンタル県とコート・デュ・ルション

広域A.O.C.で、1977年に認可された地域での生産は、様々な土壌の種類が影響しています。

• 赤の主要品種: カリニャン、グルナッシュ、ムールヴェードル。
• 赤とロゼでは2品種以上を用い、最も高い比率の品種は主要品種の一つとして認められています。

Côtes du Roussillon Villages🔗 (赤)

1977年に設定されたこのA.O.C.は、規定が非常に厳しく、品質の高いワインを生産することが求められています。

• 主要品種: カリニャン、グルナッシュ、シラー。
• 醸造は少なくとも2品種使用することが義務付けられています。

Banyuls🔗 (V.D.N.🔗)

1936年に認定された天然甘口ワインの産地で、最も古いタイプのデザートワインとして知られています。

• 主要品種: グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ。
• 発酵前に果皮と果汁を引き離す技法が用いられ、豊かな香りと深い甘さを持つ独特なワインが生まれます。

重要な数値と従うべき基準

各A.O.C.には厳密な規定があり、主要品種、補助品種の比率、土壌、製法について具体的な基準が定められています。これらの基準に従うことが、ワインの品質を確保するために重要です。

記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。