ニュージーランド | ソムリエ試験教本まとめ
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目次
ニュージーランドの概要
ニュージーランドは、南太平洋に浮かぶ北島と南島の2つの主要な島から構成されています。全体の距離は南北1,600kmに及び、国土面積は268,680km²で日本の約7割の大きさです。総人口は513万人で、これは北海道全体の人口に満たない数です。首都は北島の南端に位置するウェリントンで、最大都市は北島のオークランドです。主要産業である牧羊は減少傾向にあるものの、羊の頭数は約3,000万頭に達し、人間よりも圧倒的に多いです。
ニュージーランドのワイン産地
ニュージーランドのワイン産地は、気候の多様性によって、北部のノースランドから南島最南部のセントラル・オタゴまで南北1,100kmに分布しています。南緯35度から45度の間に位置するこの地域の気候は、ワイン生産に適しています。2017年には地理的表示登録法(G.I.法)が施行され、最大で18のワイン生産地域が登録されました。この法律により、ニュージーランドワインの地理的名称が国際的に保護され、ブランドの認知度が高まりました。
主要なワインの品種
- ソーヴィニヨン・ブラン - 1980年代後半から評価が高まり、南島のマールボロで主に栽培されています。
- ピノ・ノワール - 1990年代から注目され、特にセントラル・オタゴでの生産が著名です。
生産量と市場動向
2022年のニュージーランドのワイン総生産量は383万hlで、これは世界のワイン生産量の約1%に過ぎませんが、マールボロ産のソーヴィニヨン・ブランの人気の高さから、プレミアムワイン生産国としての地位を確立しています。ニュージーランドでのワイナリー数は744に増え、その内621社が小規模生産者で構成されています。
主要なワイン産地と特徴
- マールボロ - ソーヴィニヨン・ブランの生産量が高く、2022年の栽培面積は29,415haで、全体の70%を占めます。
- セントラル・オタゴ - ピノ・ノワールが主に生産され、評価が高まっています。
歴史的背景
ニュージーランドで初めてワイン用ブドウが植えられたのは1819年で、Samuel Marsdenの指導によるものでした。その後、1836年にはスコットランド人のJames Busbyが初めてワインを製造しました。この頃は国内消費主体の小さな産業でしたが、1980年代後半にソーヴィニヨン・ブランが登場し、ワインの生産が本格化しました。
主要な歴史イベント
- 1986年 - 政府が「抜根政策」を打ち出し、安売りの原因となっていたミュラー・トゥルガウなどの栽培を減少させました。
- 1947年 - ニュージーランドは正式に独立国となりました。
今後の展望と課題
現在、ニュージーランドのワイン生産者はインフレや生産コストの上昇、人員不足に直面しています。しかし、2022年に英国との自由貿易協定が施行されたことで、海外市場での競争力が向上する見込みです。労働市場の確保や人材育成も重要な課題とされています。
マオリ文化との融合
近年、ニュージーランド政府はマオリ文化との融合を進めており、ワイン造りにおいても「テロワール」と重なるマオリ語の概念「Turangawaewae」が重要視されています。これは人間と土地のつながりを意味し、ワインがどのように生まれるかに対する新しい視点を与えています。
気候風土
ニュージーランドは南北に長い日本列島のような地形を持つ。亜熱帯の気候を持つ北島のノースランドやオークランド、昼夜の寒暖差が激しいマーティンボロー、乾燥したセントラル・オタゴなど、多様な気候条件が存在する。
サザンアルプス山脈が中央を走り、西側の悪天候を遮るが、タスマン湾近くのネルソンは多雨。一般的に、産地間の生育環境は多様であり、海から130km以上離れた産地はない。ブドウ畑が海に近いことがニュージーランドワインに大きな影響を与えている。
夏の穏やかで晴れた気候と昼夜の温度差により、ブドウはゆっくりと熟成し、純粋で強い風味が発展する。これはエレガントで力強い、高品質なワインの生産に寄与している。
食文化
ニュージーランドは移民国家であり、多様な食文化が見られる。英国の影響を受けたポテト料理「フィッシュアンドチップス」や、ラム肉や牛肉のバーベキュー、さらにはイタリア、タイ、中華、和食などが共存している。
先住民マオリ族の「Hangi料理」やポリネシア料理も現代的にアレンジされ、存在感を持つ。Pavlovaはニュージーランド伝統のデザートで、メレンゲとフルーツが人気。
オークランドやウェリントンのレストランはオーストラリアの流行と共鳴する一方で、ホスピタリティ産業は発展途上である。コロナの影響で多くのレストランやワインバーが閉店し、業界は困難に直面。
家庭でのバーベキューが普及しており、新鮮な魚介類も豊富。特に「Green Mussels」はマールボロの特産物、また「Bluff Oyster」はニュージーランドで最高級とされる。春にはワイパラでトリュフが収穫され、レストランでも重宝される。
人口1人当たりのワイン消費量は17.56L、うちニュージーランドワインは8.36L。ソーヴィニヨン・ブランがオーストラリアに大量輸出される一方、ボルドー系品種やシラーズなどの赤ワインが好まれている。2022年の量では、友州産が373万ケースで最も多かった。
主なブドウ品種
主なブドウ品種には、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワール、シャルドネがあり、特にソーヴィニヨン・ブランの栽培面積が圧倒的に大きい。赤ワインはピノ・ノワールが最多であり、マールボロに集中する傾向が強い。
以下の2022年データによると、ソーヴィニヨン・ブランは26,559ha、生産量は393,956tであり、他の品種も以下の通り。
- ピノ・ノワール: 5,807ha, 34,569t
- シャルドネ: 3,187ha, 29,762t
- ピノ・グリ: 2,809ha, 30,465t
- メルロ: 1,077ha, 7,535t
- リースリング: 619ha, 5,024t
近年ではアルバリーニョ、グリューナー・ヴェルトリーナー、ガメイも注目を集めている。
ワイン法と品質分類
ニュージーランドのワイン生産は、Food Safety Authority (NZFSA) により、1981年制定の食品法や2003年の改訂ワイン法に基づいている。ラベルに関しては、2007年ヴィンテージから「85% ルール」が適用され、単一品種・収穫年・産地名を表記する場合、各85%を満たさねばならない。
また、添加物の表示やアレルギーへの配慮も義務付けられている。輸出ワインには輸出適格審査が必要で、ワイン業界全体の振興はNew Zealand Winegrowersが担っている。2002年に正式に設立された。
サステイナビリティの取り組み
ニュージーランドは1995年に「Sustainable Winegrowing New Zealand(SWNZ)」を確立し、現在96%のブドウ畑が認証を取得している。オーガニック栽培も進行中で、約10%のワイナリーがオーガニック認証を持つ。
ニュージーランドワイン業界のサステイナビリティの重点項目は以下の6つである。
- 気候変動:2050年カーボンニュートラル達成
- 廃棄物:2050年に廃棄物埋立ゼロを目指す
- 水資源:効率利用と水質保全
- 土壌:健全性を高める
- 植生保護:病害虫の影響を理解し低減する
- 人材:労働者に選ばれる業界を目指す
これらの目標達成に向けて様々なサポートが行われている。
ワインの産地と特徴
ニュージーランドの主な産地別の栽培面積と生産量は以下のようになっている。
- マールボロ: 29,415ha, 生産量 414,649L
- ホークス・ベイ: 4,786ha, 40,172L
- セントラル・オタゴ: 2,055ha, 12,575L
- ノース・カンタベリー: 1,497ha, 9,779L
- ギズボーン: 1,245ha, 19,334L
合計で41,603ha、生産量は532,000Lになる。
ニュージーランドワインの主要な産地
ニュージーランドのワイン産地には、特有の気候条件や土壌によって特徴づけられるいくつかの地域が存在しています。これらの地域を理解することは、ワインのテイスティングや生産において非常に重要であり、各地域ごとの個性を味わうことができるため、愛好者にとっては楽しみの一つでもあります。
ノースランド (Northland G.I.)
1819年、ケリケリでニュージーランド初のワイン用ブドウが植えられ、ワイタンギは初めてワインが造られた場所です。この地域は温暖な気候で、年間平均降水量は1,518mm、日照時間は2,037時間です。2022年の栽培面積は76haで、シャルドネ(19ha)、シラー(14ha)、ピノ・グリ(11ha)などが栽培されていますが、生産量は全体の1%未満です。ノースランドは、主に軽やかな白ワインの生産が見られます。
オークランド (Auckland G.I.)
ニュージーランド最大の都市で、3つのサブプリージョン(マタカナ、クメウ、ワイヘケ・アイランド)が存在します。これらの地域は温暖で海洋性気候ですが、特にマタカナは穏やかな気候が特徴です。年間平均降水量は1,240mm、日照時間は2,040時間。2022年の栽培面積は285haで、シャルドネ(71ha)、シラー(47ha)などが栽培され、全体の生産量は1%未満です。オークランドでは、特にリッチでフルボディな赤ワインが人気です。
ギズボーン (Gisborne G.I.)
ニュージーランドで最初に朝日が見える最東端の産地で、キャプテン・クックが上陸した場所でもあります。年間平均降水量は1,051mm、日照時間は2,180時間。2022年の栽培面積は1,245haで、シャルドネ(582ha)が約半分を占めています。また、ギズボーンではピノ・ノワールやセミヨンも栽培されています。生産量は全体の約4%です。1960年代にミュラートゥルガウが植えられましたが、1986年以降ほぼ姿を消しました。
ホークス・ベイ (Hawke's Bay G.I.)
1851年に初めてブドウが植えられ、歴史的なMission Estate Wineryの所在地です。2022年の栽培面積は4,786haで、シャルドネ(1,060ha)、ソーヴィニヨン・ブラン(1,011ha)が主要品種です。ホークス・ベイは、ボルドー系赤ワインの生産においても知られており、特にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロが重要な位置を占めています。生産量は全体の約8%です。ギムレット・グラヴェルズ地区は1981年に初めて植栽され、スパイシーでタンニンの豊かな赤ワインが特徴です。
ギムレット・グラヴェルズ地区
約800haの栽培があり、2001年に「Gimblett Gravels Winegrowers Association」が設立されました。現在28社が加盟し、加盟条件は95%以上がヘレタウンガ平原の土壌に分類されることです。この地域は特に渋みがあり、凝縮感のある赤ワインが生産されています。
ワイララパ (Wairarapa G.I.)
マーティンボローとグラッドストーンがあり、「ワイララパ」はマオリ語で「輝く水」を意味します。この地域は冷涼な気候で、1883年に初めてブドウが植えられましたが、1905年の禁酒運動で一時期衰退しました。2022年には1,090haが栽培されており、ピノ・ノワール(527ha)が主力品種です。ワイララパのワインは、特にエレガントでフルーティなスタイルが際立っています。
マールボロ (Marlborough G.I.)
ニュージーランド最大のワイン産地で、全体の約70%の栽培面積を占めます。穏やかな海洋性気候と十分な日照、少ない雨量が特徴のこの地域では、特にフレッシュでアロマティックなソーヴィニヨン・ブランが世界的に有名です。ソーヴィニヨン・ブラン(23,834ha)が主力で、2022年の栽培面積は29,415haです。特に、マールボロ・ソーヴィニヨン・ブランは果実味が豊かで、草のような香りと柑橘系のフレーバーが特徴として知られています。
サブリージョンについて
マールボロは、コーレンスが特徴的なワイラウ・ヴァレー、粘土が多いサザン・ヴァレー、冷涼で乾燥したアワテレ・ヴァレーなどに分かれています。これにより、様々なスタイルの生産が可能で、それぞれのサブリージョンが独自のワインの個性を持っています。
セントラル・オタゴ (Central Otago G.I.)
世界最南端のワイン産地であり、昼夜の寒暖差が激しいため、芳醇な香りとエレガンスを持つ高品質なワインが生産されています。2022年の栽培面積は2,055haで、85%がピノ・ノワールです。特に、Felton Roadは世界的に有名で、多くの投資を呼び込んでおり、魅力的なワインを生み出しています。
主要生産者と歴史
セントラル・オタゴのワインは、1964年にフランスのジャン・デザイア・フェローによって始まり、その後多くの生産者が集まり、発展してきました。この地域の生産者は、ピノ・ノワールに情熱を注ぎ、独自のスタイルを追求していることで知られています。
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