ポルトガル – その他産地 | ソムリエ試験教本まとめ
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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
目次
ミーニョ地域の概要
ミーニョはポルトガル北西部に位置し、スペインとの国境に接した美しい自然が広がるブドウ産地であり、ポルトガルのブドウ収穫量の14%を占めております。この地域は「緑の地」と呼ばれ、ヴィーニョ・ヴェルデの名の由来でもある、豊かな自然環境が特徴です。1886年に設立されたCVRVV(ヴィーニョ・ヴェルデ地域生産委員会)はこの地域のワインの生産とマーケティングを統制しており、現在約2000のワインブランドが展開されています。近年では、輸出量も約2.5倍に増加しており、国際的な評価を得ています。
歴史的背景
この地域は2200年の歴史があり、最古のワインについてはローマ時代の作家セネカやプリニウスに記述があります。1908年にはポルトガル最初の輸出ワインとしてヴィーニョ・ヴェルデが登場し、この地から誕生したワインは、隣国スペインのワインとも競い合っています。アマランテというサブリージョンは紀元前4世紀にローマ人が居住していたことから、その名がつけられています。
文化的側面
ミーニョ地方は世界遺産にも登録されているギマラインスがあり、初代ポルトガル国王アフォンソ1世生誕の地でもあります。ブラガ市はかつてミーニョ地方の首都であり、数多くの教会や歴史的建造物があります。また、伝説の駿馬を持つバルセロスもこの地方に位置しており、ポルトガルの魅力を象徴する地域とされています。
気候と風土
ミーニョは西側が大西洋の影響を受け、海洋性気候ですが、北と東は標高1000m級の山々で囲まれており、より大陸的な気候となります。年間降水量は1600mmに達することもあり、比較的暖かい冬を迎えます。特にモンサォン・イ・メルガッソ地域では、アルヴァリーニョ種がここで特に適していて、フルボディでエレガントな優れたワインが生産されています。
サブリージョンについて
ミーニョは、モンサォン・イ・メルガッソを含む9つのサブリージョンで構成されており、それぞれ特有の気候や土壌条件があります。アマランテやバイアォンの内陸部では、アヴェッソやアリントなどからミネラル感あふれるワインが生産されています。また、リマ、カヴァド、アーヴなどの地域ではフレッシュな酸味とフラワリーなアロマが特徴のワインが多く生産されています。
ワイン生産量と主要品種
ミーニョ地方の総生産量は848,311ヘクタールで、D.O.P.(原産地呼称)ワインは818,669ヘクタールを誇ります。主要ブドウ品種には白ブドウのアルヴァリーニョ、アリント、ロウレイロ、黒ブドウのアマレロ、トウリガ・ナショナルがあります。特にアルヴァリーニョは単一で使用されることも多く、その質の高さからも注目されています。
地方の料理と食材
ミーニョ地方の主な料理には以下があります:
- Caldo Verde(刻んだケールのスープ)
- Lampreia(ヤツメウナギ;リゾットやフライにして食されることもあります)
- Cabrito(仔山羊のロースト)
- Sarrabulho(血のソースを使った料理)
- Arroz de Sarrabulho(米を使った類似料理)
- Arroz de Pato(鴨を使ったご飯)
- Arroz de Cabidela(鶏肉を使ったリゾット)
トランスモンターノ地域の概要
トランスモンターノはミーニョ地方の東に広がる独特なワイン生産地区で、名は「山の後ろ」を意味します。温泉地としても有名なこの地域は、主に片岩と花崗岩を土壌とし、標高は350mから700mの間です。
気候と気候条件
トランスモンターノの気候は厳しい大陸性気候で、長い夏の後に氷点下の冬が訪れます。これにより、特定のブドウ品種が栽培に適しています。
ワイン生産量と主要品種
トランスモンターノの総生産量は94,425ヘクタール、D.O.P.ワインは16,125ヘクタールです。主なブドウ品種には、白ブドウのフェルナン・ピリス、ゴウヴェイロ、黒ブドウのトウリガ・ナショナルなどがあります。
地方の料理と食材
トランスモンターノ地方での代表的な料理は以下です:
- Porco Bísaro(豚の希少品種を使用した料理)
- Posta Mirandesa(肉の塊のステーキ)
- Alheira(腸詰め)
- Cabrito Assado(仔山羊のロースト)
ドウロ地方のプロフィール
ドウロ地方はポルトガルで最も美しいワイン産地として知られており、特に酒精強化されたポートワインを生産しています。ドウロ川流域は、その距離は約100kmに及び、既存のワインブランドとしても評価されています。
気候と風土
ドウロでは、夏は高温で乾燥し、冬は非常に寒く、標高によって異なる多様な環境が形成されています。この地域特有の気候条件がワイン生産に寄与しています。
主要なワインスタイル
ドウロ地方のワインには酒精強化されたポートワインと酒精強化されていないワインがあり、代表的な品種として、トウリガ・ナショナル、ティンタ・ロリスなどが挙げられます。ポートワインはそのクリーミーな口当たりと複雑なアロマが特徴で、世界中で高く評価されています。
代表的料理と食材
ドウロ地方の料理には以下が含まれます:
- Papas de Milho(トウモロコシ粉のおじや)
- Francesinha(サンドイッチの一種;豚肉やソーセージを重ねた料理)
ポルトワインの種類と製法
ポルトワインはルビータイプとトウニータイプに分けられ、それぞれのスタイルで異なる製法が取られます。ルビー・リザーブ・ポルトやトウニー・ポルトでは熟成年数の表示が必要です。また、一般的なワインよりも発酵が短時間で進められるため独特な風味が生まれ、特にデザートワインとしても人気があります。
テラス・デ・システル
テラス・デ・システルは「シトー派の地」という意味で、シトー派の修道士たちがタヴォラ・ヴァローザ地域でワインを造ったことに由来しています。この場所は、シトー派修道院の影響を受けた歴史あるワイン産地であり、地域の住民は主にブドウやトウモロコシ、ジャガイモ、リンゴなどの農業で生計を立てています。特に、このエリアで生産されるワインは、D.O.C.(原産地呼称)タヴォラ・ヴァローザとして知られており、品質の高さが評価されています。
気候と土壌
- 冬は寒く、夏は乾燥した大陸性気候。
- 土壌は花岡岩と上刻岩で、標高は平均550m。
- 夜間の気温が下がることで、果実味と酸を保つブドウが育ち、特にスパークリングワインに適した条件を提供します。
ワイン生産量と主要品種
ワインの総生産量は37,744hl、D.O.P.ワインは18,480hlです。主要なブドウ品種には、白ブドウのルヴァジア・フィナやモルシアル、黒ブドウのアラゴネス、トウリガ・ナショナルなどがあります。伝統的にはマルヴァジア・フィナが多く植えられていましたが、近年ではシャルドネやピノ・ノワールも増えてきています。これにより、様々なスタイルのワインが生まれています。
伝統料理
- ロジョインス(豚バラの炒め物)
- トレズモス(カリカリに揚げた脂肪付きの豚皮)
- ヴィーニャ・ダーリョス(赤ワインとニンニクでマリネした肉)
- ポーラス(生ハム、イワシ、干し鮨を使ったスナック)
- バスラック(臓物とハーブを使った料理)
テラス・ド・ダン
テラス・ド・ダンは、ダンの北部とラフォインスの東に位置し、D.O.C.ダンおよびD.O.C.ラフォインスを含む地域です。この地域は、伝統的なブドウ栽培地として世界遺産に登録されており、その価値を保護する努力が続けられています。
気候と地勢
- 冬は寒く、夏は晴れや乾燥した気候。
- 標高は200〜700mで、ドウロ川の南側に広がっています。
- 土壌は花尚岩と片岩が主成分です。
歴史
ダンは1908年に公式のワイン産地として認識されましたが、1940年代には政府の介入があり品質が低下する時期を迎えました。その後、品質回復の取り組みが進められ、現在では高品質なワインを生産する地域として知られています。
ワイン生産量と主要品種
総生産量は189,197hl、D.O.P.ワインは170,683hlです。主要品種は、白ブドウのリガ・ナショナル、ビピカル、黒ブドウのトウリガ・ナショナル、アルフロシェイロなどがあり、多様なワインスタイルが楽しめます。
地域料理
- アロズ・デ・パト(米と鴨肉料理)
- モルセラ(豚の血を使ったソーセージ)
- ケイジョ・ダ・モーラ(D.O.P.チーズ)
バイラーダ・アトランティコ
バイラーダ・アトランティコは、ポルト市の南からフィゲイラ・ダ・フォスまで広がる海沿いのエリアで、D.O.C.バイラーダが存在する地域として知られています。ここでは、海の影響を受けたワインが生産されています。
気候と地理
- 海洋性気候で湿度が高く、降水量も多い。
- 土壌は粘土質や石灰質が多く、ブドウ栽培に適した環境です。
- 年間降水量は約1,000mmで、特に秋から冬に多く降ります。
ワイン生産量と主要品種
総生産量は174,391hl、D.O.P.ワインは79,553hlです。白ブドウにはアリントやセーリシャル、黒ブドウにはバガやトウリガ・ナショナルが生産されており、芳香と酸を兼ね備えたエレガントなスタイルのワインが特徴です。
地域料理
- レイタオ(子豚のロースト)
- チャンファナ(山羊または羊を使った料理)
- ケイアダス・デ・テンテガル(チーズタルト)
テラス・ダ・ベイラ
テラス・ダ・ベイラは、ポルトガル本土で最も高いエストレーラ山脈の影響を受けた地域で、独特の気候と地理的条件がワイン生産に貢献しています。
気候と地理
- 大陸性気候で、昼間は高温だが夜間は寒くなる温度差があります。
- 標高は700mに達する地域もあり、特に花岡岩が主体となっている土壌がブドウ栽培に影響を与えています。
ワイン生産量と主要品種
総生産量は219,298hl、D.O.P.ワインは97,052hlです。主要ブドウ品種には白ブドウのダルバシア、黒ブドウのトウリガ・ナショナルなどがあります。これらのブドウは豊かな香りと風味を持ったワインを生み出しており、地域特有のスタイルを形成しています。
地域料理
- カルド・デ・グラ(ヒヨコ豆を使ったスープ)
- ファリニェイラ(小麦粉の腸詰め)
- ケイジョ・ダ・セラ・ダ・エストレラ(羊乳のチーズ)
リスボン地方の概要
リスボン地方はポルトガルの大西洋沿岸に広がる広大なワイン産地で、ポルトガルでも特に重要なエリアの一つです。2008年ヴィンテージまではエストレマドゥーラ地方またはオエスチ(西の意)として知られていましたが、現在はリスボン地方として広く認知されています。この地域はポルトガルで最も多くの D.O.C. を有し、種類豊富なワインを生産しています。個人のワイナリーが増加しているものの、依然として多くの小規模生産者はブドウを協同組合に搬入し、大部分のワインは V.R.リスボン として販売されています。さらに、日常消費ワインである Vinho も大量に生産され、地元の食文化に深く根付いています。
歴史と文化
かつて「ヨーロッパ孔一の美しき」と称えられたリスボンは、 1755年 の大地震によって壊滅的な打撃を受けました。その後、パリを模した新しい街が造られる中で、中世の街並みが残るアルファマ地区は観光スポットとして有名です。 V.R.リスボン エリアには4つの世界遺産が存在します。例えば、バターリャ修道院 は、ポルトガルがスペインに対する独立を守る戦いに勝利したことを記念して建設された壮大な建物で、ポルトガルのゴシック・マヌエル様式を代表します。また、ジェロニモス修道院 はポルトガルの黄金期を象徴する建物であり、大航海時代の栄華を今に伝えています。シントラは、詩人バイロンが「この世のエデン」と称した美しい場所であり、王宮や貴族の別荘が多数残る歴史的なエリアです。
気候と土壌
リスボン地方は温暖な海洋性気候に恵まれ、土壌は主に石灰岩や粘土質で形成されています。年間の降水量はおおよそ 600〜700mm で、特にモンテジュンド山脈側では海風による影響でブドウが健やかに成長します。さらに、標高500mに達するブドウ畑も存在し、フレッシュでミネラル感のあるワインの生産に適した条件が整っています。この地域で生産されるワインには、主に白ワイン、赤ワイン、ロゼワインがあり、それぞれに特有のアペラシオンが存在します。
ワイン生産量
- 総生産量: 1,253,303 hl
- 非強化D.O.P.ワイン: 44,057 hl
- 強化D.O.P.ワイン: 467 hl
地方料理と食材
リスボン地方の代表的な料理には以下のようなものがあります:
- Caldeirada Rica de Peixe(豊かな魚のスープ)
- Frango à Piri-Piri(オリーブオイルとピリ辛ソースでマリネしたチキン)
- Pera Rocha(ジューシーで香り高い梨)
- Pastéis de Belém(ポルトガルのエッグタルト)
リスボンの主なD.O.C.
リスボン地方には以下のD.O.C.が存在します:
- アレンケール(Alenquer) - 大西洋の強風から守られ、フルボディの赤ワインが生産されています。
- アルーダ(Arruda) - 主に黒ブドウが栽培されており、国際品種やポルトガル独自の品種も使用されています。
- ブセーラス(Bucelas) - ドライでミネラル感のある白ワインが主に生産されています。アリント種を75%以上使用することが義務付けられています。
- カルカヴェロス(Carcavelos) - 甘口の酒精強化ワインが名産で、ナッツのような香りが特徴です。
- コラーレス(Colares) - 特に希少なラミスコ種を使った赤ワインが生産され、フィロキセラから守られたブドウが育っています。
- エンコスタス・ダイレ(Encostas d'Aire) - フレッシュで軽やかな赤ワインが造られています。
- ロウリニャン(Lourinha) - アグアルデンテというプランデーが有名です。
- オビドス(Obidos) - フレッシュで軽やかなワインが生産されています。
- トーレス・ヴェドラス(Torres Vedras) - ヴィーニョ・レーヴで知られる低アルコールのワインや軽やかなワインが生産されています。
テージョ地方の概要
テージョ地方は 2009年 まで リバテージョ と呼ばれ、テージョ川流域に広がる重要なワイン産地です。この地域はポルトガル式競走馬の生産地としても有名で、地域独自の文化と歴史があります。
歴史と文化
1147年、テンプル騎士団がサンタレンをイスラム教徒から奪還し、その周辺に修道院が建てられました。これが現在のトマールのキリスト修道院の始まりです。
ワイン生産量
- 総生産量: 644,153 hl
- 非強化D.O.P.ワイン: 119,526 hl
- 強化D.O.P.ワイン: 710 hl
料理と食材
テージョ地方には以下の伝統料理があります:
- Sopa da Pedra(石のスープ)
- Favas com Chourico(ソラ豆とスモークソーセージの煮込み)
- Arroz de Marisco(シーフードリゾット)
ペニンスラ・デ・セトゥーバルの概要
セトゥーバル半島はリスボンの対岸に位置する人気の観光地です。この地域は温暖な地中海性気候で、降水量は 400〜500mm となっています。
主なD.O.P.ワイン
セトゥーバルでの主要なワインは モスカテル・デ・セトゥーバル で、 2009年 にD.O.C.に指定され、特定のブドウ品種の使用が義務付けられています。この甘口ワインは特にデザートとの相性が良いことで知られています。
アレンテージョ地方の概要
アレンテージョ地方はポルトガル南部を占める重要なワイン産地であり、 1989年 にPDO(原産地呼称)とPGI(地理的表示) が設立され、厳格に管理されています。この地域では多様なワインが生産されています。
主なD.O.C.
アレンテージョでは以下のサブリージョンがあります:
アルガルヴェ地方の概要
アルガルヴェ地方は近年、リゾート地域として急速に発展し、 D.O.C. が設立されました。ここでは品質を重視したプライベートのワイナリーが多数存在し、地元の食材と共に楽しむためのセレクションが豊富です。
主要なD.O.C.ワイン
- Lagos
- Portimao
- Lagoa
- Tavira
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。