ポルトガル – 概要 – マデイラ | ソムリエ試験教本まとめ
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プロフィール
ポルトガルはユネスコの世界遺産が14件、自然遺産が1件あり、オリーブ、スモモ、ワイン、コルクなどの農業が主要産業です。特にコルクはポルトガルの主要な輸出製品であり、世界のコルクの約半分がここで生産されています。アモリン社 (Amorim) は世界最大のコルクメーカーであり、技術革新を通じて高品質なコルクを提供しています。
ポルトガルはスペインと国境を接し、93,000km²の国土には250種以上の固有品種と異なるテロワールが存在し、様々な個性豊かなワインを生産しています。特に、ポルトとマデイラは歴史的に名声のある酒精強化ワインの産地とされ、世界三大酒精強化ワインとして評価されています。
2018年の国民1人当たりのワイン消費量は626リットルで、世界で最も多いとされています。また、ポルトガルのワイン生産量は合計で6,418,030hlで、白が33.8%、ロゼが6.6%、赤が59.6%を占めています。
歴史
ポルトガルワインの歴史は紀元前600-500年頃に遡り、最初はフェニキア人により始まり、ローマ帝国の属国として広まりますが、8世紀から11世紀にはイスラムの支配を受けて一時停滞しました。
12304年、ポルトガル王国が誕生し、ポルトガルワインはイギリスに輸出され始めます。1297年にはカスティーリャ王国との境界が定められ、国境の確立が進みます。1730年にイギリスとの通商条約であるメシュエン条約が締結され、ポルトガルのワインは世界的に評価されるようになりました。
1974年のカーネーション革命と共にワイン産業が再興し、その後1986年にEUに加盟してからは急速な品質向上が見られます。そして2000年代に入って、若い世代の生産者たちが世界的に評価されるワインを生み出しています。
気候風土
ポルトガルは南北に560km、東西に160kmの国土を持ち、多様な気候と土壌を有します。北西部は海の影響を受け降雨量が多く、北東部は乾燥しています。南西部は温暖で、南東部は内陸部の乾燥した地域となります。
年間平均気温は北部で約10℃、南部では17.5℃を超え、夏には35℃を超えることもあります。土壌は北部と内陸部で花崗岩、片岩、粘板岩が主流であり、南部は石灰質や砂、粘土が主流です。
主要なブドウ品種
- 白ブドウ:
- Fernao Pires: フローラルなアロマを持ち、早く収穫されます。
- Alvarinho: リッチでミネラル感があり、主に単一品種で使用されます。
- Loureiro: シトラスや桃のアロマあり、さわやかなスタイル。
- 黒ブドウ:
- Touriga Nacional: 濃厚で凝縮した果実とタンニンを持つ。
- Touriga Franca: ブレンド品種で、色調とアロマの豊かさがあります。
- Baga: 若いうちはフルーティなワインで、熟成により複雑なアロマが発展します。
ワイン法と品質分類
ポルトガルでは1756年に世界初の原産地呼称管理法が制定され、1986年にEU加盟を機にワイン法が整備されました。現在は原産地呼称保護D.O.P(Denominação de Origem Protegida)として区分されています。
ワイン法に基づく分類としては、最もシンプルな「Vinho」から、地理的表示保護「Vinho Regional」、原産地呼称「D.O.C.」まで存在します。特にD.O.C.には厳しい規制があり、品質の高いワインを確保する仕組みが整っています。
テラス・マデイレンセスの概要
テラス・マデイレンセスは、ポルトガルのマデイラ諸島で生産されるワインの一つで、特に酒精強化ワインはD.O.C.(原産地呼称)マデイラとして知られ、厳しい品質基準をクリアしています。この地域は、リスボンから南西に約1,000kmに位置する大西洋上のリゾート地で、豊かな自然と独自の文化を誇ります。
地理と文化
マデイラ島は、約4,000万年前に形成された原生林を有し、その中でも広がるマデイラの常緑樹林はユネスコの世界遺産に登録されています。また、世界的に有名なサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウドの故郷としても知られます。19世紀からは、イギリスに紹介されたマデイラ刺繍が高い評価を受け、独特の技術が受け継がれています。
ワイン生産量
総生産量は37,246hlであり、その中で酒精強化しないD.O.P.(保護原産地名称)ワインが1,153hl、D.O.C.酒精強化ワインが35,103hlを占めています。マデイラワインはその特有の風味と長い保存性から人気があります。
主要ブドウ品種
- 白ブドウ: Verdello、Sercial、Terrantez、Boal、Malvasia、Rieslingなど
- 黒ブドウ: Bastardo、Touriga Francesa、Touriga Nacional、Tinta Negraなど
地方料理と食材
テラス・マデイレンセスの料理には以下のような特色ある品々があります。
- Bolo do Caco: サツマイモを練りこんだ素朴なパン
- Espetadas: 新鮮な魚や野菜を串に刺し、炭火で焼いた料理
- Carne Vinha d'Alhos: ワイン、酢、ローリエ、オリーブオイル、香辛料、ニンニクでマリネした豚肉
- Milho Frito: トウモロコシ粉を使った揚げ物で、香草を効かせている
- Bolo de Mel: 伝統的なクリスマスケーキで、ドライフルーツやクルミを使用し、サトウキビの糖で甘みを加えた
- 新鮮なマグロ: マデイラの近海で捕れる魚の中でも特に人気が高い
- タチウオ: マデイラ周辺でよく食べられる一般的な魚
歴史的背景
マデイラワインの生産は、1419年に開拓者たちがこの地に定住し始めて以来行われています。17世紀には、アメリカ新大陸との航路上で、独自の風味が評価されるようになりました。特に、ワインが赤道を越える長い航海を経て酸化が進むことが、マデイラワインの特徴的なフレーヴァーを生む要因とされました。18世紀には、ジブラルタル海峡の紛争による航路の変化に伴い、酒精強化技術が発展し、現在のマデイラワインが形成されるきっかけとなりました。
気候と風土
マデイラは温暖で湿度の高い亜熱帯性気候に恵まれており、年間平均気温は19度です。また、降水量は標高によって異なり、高地では3,000mm、海面付近では500mmに達することもあるため、様々な気候条件がワインの質に寄与しています。
主要ブドウ品種について
マデイラで栽培される主要なブドウ品種には以下があります。
- Sercial: 冷涼な地域で育つ白ブドウで、酸味が引き立った辛口ワインに仕上げられます。
- Verdelho: 中辛口タイプの豊かな風味の白ブドウです。
- Boal: 中甘口で芳醇なフレーバーを持つ白ブドウです。
- Malvasia: 甘口でリッチな味わいの白ブドウで、開拓初期にクレタ島から持ち込まれたとされています。
- Tinta Negra: 島のほぼ全域で栽培される黒ブドウで、辛口から甘口まで多岐にわたるスタイルが作られます。
- Terrantez: 非常に少ない生産量で、中辛口や中甘口のワインを造ることができます。
- Bastardo: かつて栽培されていた黒ブドウ品種ですが、現在はほとんど見かけません。
生産方法と熟成
マデイラのブドウは、急斜面に形成された段々畑で栽培され、樹間の密度は1haあたり4,000本から5,000本です。収穫後には発酵が行われ、発酵の進行に応じて酒精強化のタイミングを決定します。使用されるグレープスピリッツのアルコール度数は96度で、最終的なワインのアルコール度数は17度から22度に調整されます。
加熱熟成の技術
マデイラワインは、特有の温かい気候を利用した加熱熟成技術を用いており、その工程は以下の通りです。
- Canteiro方式: 太陽熱を利用した高温環境で樽を熟成させる方法で、長い年月をかけて深い味わいに仕上げます。
- Estufagem方式: タンク内でグレープスピリッツを用いて加熱される方法で、比較的短期間で熟成が行われます。
法律と規定
マデイラワインは、最低3年の熟成が義務付けられ、年数に応じた規格が設けられています。単一品種のヴィンテージワインは最低20年の熟成が必要です。また、ワインの品質保証や法令の遵守を行うため、政府機関が設立され、すべてのワインに対する規制があります。
D.O.P.ワインの種類
D.O.P.ワインには以下のような区分が存在します。
- Colheita: 収穫の翌年から5年以上熟成されたワインです。
- FraSqueira: 単一の収穫年で作られたヴィンテージワインで、最低20年の熟成が必要です。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。