プロヴァンス・コルス | ソムリエ試験教本まとめ
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目次
プロヴァンス地方・コルシカ島の概要
プロヴァンス地方はフランス南東部に位置し、地中海沿岸に広がるワイン産地です。この地域は主にブーシュ・デュ・ローヌ、ヴァール、アルプ・マリティーム、アルプ・ド・オート・プロヴァンスの4県で構成されています。地元での消費が主流で特にロゼワインが有名で、生産量の89%を占めています。
歴史的背景
プロヴァンス地方の歴史は非常に古く、紀元前600年頃、ギリシャの民族フォカイアが植民地を作り、ブドウを持ち込んだとされています。フランス最古のA.O.C.認定は1936年のマルセイユ近郊のカシスで、他にも1941年のバンドール、1948年のパレットといった小規模なA.O.C.が続きました。最大のワイン産地であるコート・ド・プロヴァンスは、1977年にV.D.Q.S.からA.O.C.へ昇格しました。
地域文化
プロヴァンスという名称は古代ローマのプロヴィンキアに由来します。マルセイユはフランス最大の港湾都市であり、人口約85万人を抱え、国内でパリに次ぐ大都市です。また、明星の画家たちが活動した地でもあり、特にセザンヌはサント・ヴィクトワール山を描いたことで有名です。
経済的背景
プロヴァンス地方はフランスのGDPの7%を占める重要な経済地域で、造船や食品加工、精油産業が盛んです。また、観光業も発展しており、特にコート・ダジュールは訪れる観光客によって消費されるワインの主要市場となっています。2016年のワイン輸出量は2001年比で約4倍に増加しています。
気候風土
プロヴァンス地方は典型的な地中海性気候で、夏は乾燥し、冬に降雨が多いです。ミストラルと呼ばれる風が暑さを和らげ、乾燥した気候のためカビ病が少ないため、有機農法が注目されています。土壌は地域によって異なり、西部は石灰質、中部は粘土石灰質、東部は結晶化した岩石が分布しています。
ワイン生産の特徴
プロヴァンス地方のワイン生産量は約1,986,953hlで、そのうちA.O.C.ワインは1,319,059hlです。ワインの内訳は白が4.5%、赤が6.5%、ロゼが89%を占めています。ブドウ栽培面積は39,653haで、A.O.C.ワイン用は29,569haです。主要なブドウ品種には、白ブドウのクレレットやグルナッシュ・ブラン、黒ブドウのシラーやグルナッシュなどがあります。
地方料理と食材
プロヴァンス地方にはリゾート地としての特徴だけでなく、ユニークな料理もあります。例えば、ニース風サラダ(Salade Niçoise)、マルセイユ名物の魚介類の寄せ鍋(Bouillabaisse)、夏野菜の煮込み(Ratatouille)、仔羊のパイ包み(Gigot en Croûte)、山羊乳のチーズ(Banon)などがあり、地域の特性が反映されています。
圏主要なA.O.C.ワイン
フランス南部のプロヴァンス地方では、多種多様なワインが生産されており、特にA.O.C.(原産地呼称)には地域ごとに特有の特徴があります。これらのワインは地理的、気候的要因によってそのスタイルや味わいに違いがあり、使用されるブドウ品種や醸造法もそれぞれ異なります。以下に、プロヴァンス地方の主要なA.O.C.ワインについてご紹介します。
Côtes de Provence (赤、ロゼ、白)
- 面積:約20,000ha、年産:約924,000hl。
- ロゼワインが89%を占めており、赤と白は少数派となっています。
- 1977年にV.D.Q.S.から昇格し、A.O.C.となりました。
- 対象地域は、ヴァール県の68ヵ村、プーシュ・デュ・ローヌ県の15ヵ村、アルプ・マリティーム県の特定村で構成されています。
- 品種構成は多様で、2021年に認定された新たな品種にはアギオルギティコ、カラブレーゼ、モスコフィレロ、ヴェルデホ、クシノマヴロが含まれています。
- 作付け及び醸造に制限があり、作付けは5%以下、醸造は10%以下です。
Côtes de Provence Sainte-Victoire (赤、ロゼ)
- 2005年に認められた地理的名称付きA.O.C.であり、コート・ド・プロヴァンスの一部です。
- サント・ヴィクトワール山のふもとに位置し、プーシュ・デュ・ローヌ県とヴァール県の9ヵ村から成ります。
- 土壌は主に石灰質または粘土混じりの砂岩質で、ワインに特徴的なミネラル感が与えられます。
- 主要品種はサンソー、グルナッシュ、シラーが使用され、補助品種にはカベルネ・ソーヴィニョン、カリニャン、クレレットなども含まれています。
Côtes de Provence Fréjus (赤、ロゼ)
- 同様に2005年に認められた地理的名称付きA.O.C.です。
- フレジュス市とその周辺の8ヵ村が対象とされています。
- この地域では赤とロゼのみが認められ、主要品種はグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーで構成されています。
- 土壌は赤い火山性の土や砂を伴い、湿度と日照時間のバランスが取れています。
Côtes de Provence La Londe (赤、ロゼ、白)
- 2008年に認められた地理的名称付きA.O.C.です。
- モール山塊の南西に位置し、典型的な地中海性気候で、収穫に適した条件が整っています。
- 主要品種にはグルナッシュ、ムールヴェードル、シラーが使用され、白ワインではヴェルメンティーノが50%以上の割合で使用されています。
Côtes de Provence Pierrefeu (赤、ロゼ)
- 2013年に認められた地理的名称付きA.O.C.です。
- 対象地域はヴァール県の12ヵ村に広がります。
- 赤の最大収穫量は45hl/haと、他地域より厳しい基準が設けられています。
- 主要品種はシラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを使い、ロゼにはサンソー、シラー、グルナッシュが使用されます。
Côtes de Provence No Notre-Dame des Anges (赤、ロゼ)
- 2019年に認められた地理的名称付きA.O.C.です。
- 南側にはモール山塊があり、北側には石灰岩丘陵が広がる地域です。
- 主要品種にはサンソー、グルナッシュ、シラーがあり、補助品種にはカベルネ・ソーヴィニョンやクレレットなどが含まれています。
Cotaux Varois en Provence (赤、ロゼ、白)
- 1993年にA.O.C.として認定され、2005年に現名称に改称されました。
- 面積は約2,500haとなり、比較的小規模で多様なワインが生産されています。
- 赤、ロゼの主要品種はサンソー、グルナッシュ、ムールヴェードル、シラーであり、白ではヴェルメンティーノが用いられることが多いです。
Coteaux d'Aix-en-Provence (赤、ロゼ、白)
- 1985年に認定されたA.O.C.です。
- 面積は約4,000haで、良好な自然条件に恵まれています。
- 主要品種はサンソー、グルナッシュ、シラーで、白ワインにはヴェルメンティーノが使用されます。
- この地域でもただ1つの」という点で水準が高い目立つ存在感があります。
Les Baux de Provence (赤、ロゼ、白)
- プロヴァンス地方の最西部に位置するA.O.C.です。
- 244haのブドウ畑があり、赤ワインが48%、ロゼが45%、白はわずか7%にとどまっています。
- 有機農法が実施されている生産者が多く、環境への配慮もなされています。
Bandol (赤、ロゼ、白)
- 1941年に設立されたA.O.C.で、面積は約1,480haです。
- ムールヴェードルを主体としたワインが多く、特に赤ワインは長期熟成が可能です。
- 赤とロゼが全体の73%を占め、白ワインも生産されています。
Cassis (赤、ロゼ、白)
- 1936年に認定されたA.O.C.で、カシスの町のみに限られています。
- 面積は約215haで、特に白ワインの比率が高いのが特徴です。
- 白ワインは全体の67%を占めており、ロゼが30%、赤はわずか3%に過ぎません。
Palette (赤、ロゼ、白)
- 1948年に設立され、面積は非常に小さく、わずか51haです。
- 生産者は4軒のみで、高品質なワインが生産されています。
Bellet (赤、ロゼ、白)
- 1941年設立で、面積は51haと小さなA.O.C.です。
- 主要品種はプラケとフェラ・ネラで、これらの合計が全体の60%以上を占めなければなりません。
Pierrevert (赤、ロゼ、白)
- 1998年に昇格し、面積は300haに満たない小さなA.O.C.です。
- 内陸型の地中海性気候で、夏は非常に暑く、冬は寒暖差が大きい特徴があります。
プロヴァンス地方の主要なI.G.P.ワイン
プロヴァンス地方には、地域ごとの特性を活かした多様なI.G.P.(地理的表示保護)ワインが生産されています。これらのI.G.P.は各地域の風土に根ざしており、素晴らしい品質のワインが楽しめます。
- ディテラネ (赤、ロゼ、白、発泡)
- Bouches du Rhône (赤、ロゼ、白)
- Var (赤、ロゼ、白)
- Alpes Maritimes (赤、ロゼ、白)
- Alpes de Haute Provence (赤、ロゼ、白)
- Alpilles (赤、ロゼ、白)
- Maures (赤、ロゼ、白、発泡)
- Mont Caume (赤、ロゼ、白、発泡)
コルシカ島について
コルシカ島は地中海に浮かぶフランス領の島で、シチリア島、サルデーニャ島、キプロス島に次いで地中海で4番目に大きい。1768年にフランス領となったが、以前はビサやジェノヴァなどイタリアの都市国家に支配されていた。
歴史的背景
コルシカでのブドウ栽培とワイン醸造の歴史は古く、紀元前600年頃に古代ギリシャ人がこの地に到達し広めた。中世にはキリスト教の教会によってブドウ畑が広がりました。 19世紀末にはフィロキセラによって壊滅的な損害を受けたが、1960年代に復興を遂げた。しかし、安価な大量生産ワインの供給地として復興し、90年代以降には品質向上に向けた動きが見られるようになった。A.O.C.は1968年のパトリモニオを皮切りに、1971年のアジャクシオ、1976年のヴァン・ド・コルス、1997年のミュスカ・デュ・カップ・コルスが認定された。
コルシカの文化
コルシカではフランス語が日常的に使われているが、イタリア・トスカーナ地方の俗語を基にしたコルシカ語も話されている。民族音楽はコルシカのポリフォニーが有名で、2009年にユネスコの無形文化遺産に登録された伝統的な多声合唱も存在する。
経済
かつては農業と牧畜が主な経済活動であったが、現在は観光業に力が注がれるようになった。コルシカ島は工業化が遅れ、島民1人当たりのGDPはフランス全国の平均よりも10%以上低い。ワインは主に観光客によって消費されるが、全生産量の約29%がヨーロッパや他国に輸出されている。
地理と気候
コルシカは南北に184km、東西に83kmの面積を持つ島で、地中海性気候を有している。特に、北端のカップ・コルス地域では降雨量が多く、ブドウ畑は主に標高400m以下の土地に広がっている。年間の日照時間は2460から2885時間に達する。
主要ブドウ品種
コルシカ島ではさまざまなブドウ品種が栽培されている。主な白ブドウ品種にはヴェルメンティーノ、クレレット、グルナッシュ・ブランなどがあり、黒ブドウ品種にはニエルッチョ、グレナッシュ、シラーが含まれる。ニエルッチョはイタリアのサンジョヴェーゼと遺伝子レベルで同一である。
料理と食材
コルシカの料理にはアジミヌ(コルシカ風プイヤベース)、イノシシの煮込み(Ger de Sanglier)、ブロッチュ(羊乳主体のチーズ)などがある。また、A.O.P.認定のハムや豚肉加工品も有名で、特にジャンポボン・セモック・ド・コルスが知られている。
主要なA.O.C.ワイン
コルシカ島には複数のA.O.C.ワインがある。代表的なものは以下の通り:
- パトリモニオ(赤、ロゼ、白) - 1968年にA.O.C.を取得。主にニエルッチョを使用。
- アジャクシオ(赤、ロゼ、白) - 1971年に認定され、アジャクシオ周辺の36の市町村が対象。
- ヴァン・ド・コルス(赤、ロゼ、白) - 1972年に認定された地域名A.O.C.。
- ミュスカ・デュ・カップ・コルス(V.D.N.白) - 1997年に認定された天然甘口ワイン。
コルシカでは地理的名称付きのA.O.C.もあり、それぞれに特有のブドウ品種が使用されている。例えば、カップ・コルス地域ではシスト土壌が特徴であり、主要品種は背景に基づく特有の風味を持つ。
主要なI.G.P.ワイン
コルシカ島はI.G.P.ワインも生産しており、赤、ロゼ、白の多様なワインがある。特にディテラネやイル・ド・ボーテはコルシカ全域を対象にしたI.G.P.である。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。