教本まとめ

南西地方 | ソムリエ試験教本まとめ

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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。

シュッド・ウエストについての概要

シュッド・ウエスト(Sud-Ouest)とは、フランス南西部の広大な地域で、旧アキテーヌ地方とミディ・ピレネー地方を合わせたエリアです。ボルドー地方🔗を除き、オクシタニー地域圏およびメーヴェル・アキテーヌ地域圏の13県を含む、多様な土壌と気候が特徴です。この地域では約120に及ぶ土着品種が栽培されており、29のA.O.C.14のIGPが存在します。

ボルドー地方 写真
ボルドー地方 : 海洋性気候で、特にメルロとカベルネ・ソーヴィニオンが有名なワイン産地。 (参照元)

歴史的背景

ワイン栽培は古代ローマ時代から始まりました。8世紀にはムーア人やバイキングの襲撃があり、ワイン畑に被害を与えました。12世紀以降は、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路が整備され、ブドウ畑が拡大しました。特にカベルネ・フランやマルベックなどの品種が他地域に広がりました。

1241年、アキテーヌ公のヘンリー3世はボルドーワインの特権を与え、シュッド・ウエストのワインの港への持ち込みを禁止しました。この結果、シュッド・ウエストのワインは商業的成功を収めることができませんでした。

19世紀末のフィロキセラ🔗病による壊滅的な被害後、1956年の大凶作を機に、品質への転換が進み、1936年にはベルジュラック🔗ジュランソン🔗がA.O.C.を獲得しました。

ジュランソン 写真
ジュランソン🔗 グロ・マンサンとプティ・マンサンが主な品種の白ワインの産地。 (参照元)
プティ・マンサン 写真
プティ・マンサン : ジュランソン地域で使用される貴重な白ブドウ品種。 (参照元)
ベルジュラック 写真
ベルジュラック🔗 シュッド・ウエストで生産される赤・白ワインのA.O.C.。 (参照元)
マルベック 写真
マルベック : アルゼンチンで特に栽培が盛んなブドウ品種で、国際市場で高評価を得ている。 (参照元)

地理的特性と気候

シュッド・ウエストの西部は穏やかな海洋性気候で、春は雨が多く、秋は乾燥します。北西部では大陸性気候が顕著で、南へ下るにつれて地中海性気候が強くなります。ピレネー山脈の影響で特異な風がブドウ栽培に寄与し、ボトリティス・シネレアが発生することで貴腐ワインが生産されます。

ワイン生産と主要ブドウ品種

シュッド・ウエストのワイン生産量は3,633,650hl(2020年実績)で、A.O.C.ワインの生産量は1,122,564hlです。主要な白ブドウ品種としては、セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ミュスカデル、黒ブドウ品種にはカベルネ・フラン、マルベックが含まれます。

ミュスカデル 写真
ミュスカデル : フルーティーな香りを特徴とする白ワイン用の品種。 (参照元)

代表的なA.O.C.

  • ベルジュラック:米国を中心とした品種が栽培されています。
  • イルレギー🔗:1970年に認可、赤の生産が盛んです。
  • カオール:1971年に認可、主にマルベックが使用されます。
イルレギー 写真
イルレギー : 1970年に認可され、赤ワインの生産が盛んなA.O.C.。 (参照元)

地域料理と特産品

シュッド・ウエストでは、地元料理の多様性も特徴的で、鴨のコンフィやフォアグラなどが有名です。特に以下の料理が代表的です:

  • コンフィ・ド・カナール(鴨のコンフィ)
  • フォアグラ(ペリゴールの名物)
  • ジャンボン・ド・バイヨンヌ(バイヨンヌ産の生ハム、1998年にIGP取得)
鴨のコンフィ 写真
鴨のコンフィ : 鴨肉を低温で長時間調理したフランスの伝統料理。 (参照元)
コンフィ・ド・カナール 写真
コンフィ・ド・カナール : 鴨肉を塩漬けし、脂で煮た保存食 (参照元)
ジャンボン・ド・バイヨンヌ 写真
ジャンボン・ド・バイヨンヌ : バイヨンヌで作られる生ハムで、1998年にIGPを取得。 (参照元)
フォアグラ 写真
フォアグラ : 鴨やガチョウの肥大化した肝臓を使用した高級食材。 (参照元)

文化と観光名所

シュッド・ウエストには多くの文化的な場所があります。ラスコーの洞窟🔗は先史時代の遺跡としてユネスコの世界遺産に登録されています。また、アルビの司教都市🔗も世界遺産であり、13世紀の歴史を持ちます。

経済と産業

この地域の経済は航空機産業が中心で、トゥールーズはエアバス社の拠点です。航空宇宙産業の他、観光や製紙業、温泉も重要な産業です。また、農業とワイン生産も地域経済に貢献しています。

ベルジュラック地区の概要

ベルジュラック地区は、ボルドー地方を流れるドルドーニュ川の上流に広がるワイン産地であり、この地域ではボルドーとほぼ同様のブドウ品種が栽培されています。しかし、豊かな土地のおかげで気温はやや低く、土壌の特性により作られる赤ワインは主にメルローを主体とした、非常に口当たりの優しいスタイルが特徴です。また、白ワインに関してはソーヴィニヨン・ブランや遅摘みのセミヨンが使用され、これにより豊かな風味を持つ辛口や甘口のワインが造られます。特に、貴腐化したセミヨンを用いた甘口ワインは、この地区特有の魅力の一つです。

土壌と気候

ベルジュラックの大半は粘土石灰質の土壌が主流で、一部には河川が運んできた丸石を含む土壌も見られます。南部の海洋性土壌や標高の上がるデュラスでは、様々な土壌のタイプが観察されます。気候は大西洋の影響を受け、冬は穏やかで過ごしやすく、夏は乾燥しやすいですが、地域によっては朝霧が発生し、特にモンバジヤックやソーシニャックでは貴腐が生じやすい条件が整います。これにより、貴腐ワインの生産も可能となります。

主要な赤ワインと白ワイン

  • 赤ワイン: メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョン、マルベック
  • 白ワイン: セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル

この地域の赤ワインは、メルローに加えて柔らかな tanninsを持つカベルネ・フランやマルベックが重要な役割を果たしています。白ワインには、しっかりとした酸味とアロマを持つソーヴィニヨン・ブランが選ばれ、この品種の影響でフレッシュな辛口や、やや甘口のワインが作り出されています。

ソーヴィニヨン・グリ 写真
ソーヴィニヨン・グリ : ベルジュラック地区で使われる白ワイン用ブドウ品種。独特な風味を持つ。 (参照元)

A.O.C.の規定と特性

ベルジュラック地区には、いくつかのA.O.C.(原産地呼称)が設定されており、それぞれが異なる規定と特徴を持っています。

ベルジュラック (赤、ロゼ、白)🔗

ベルジュラック市を中心とする90の市町村に与えられたA.O.C.です。赤ワインは最低アルコール度数が11.5%で、最大収量は赤で60hL/haとなっています。赤ワインには、主にメルローやカベルネ・フランが使用され、非常にスムーズな口当たりが特徴です。

コート・ド・ベルジュラック🔗 (赤、白)

このA.O.C.における赤ワインは、最低アルコール度数が12%で、厳しい収量規定が設けられており、白ワインは残糖が4g/L以上の甘口です。この地域でも、フルーティーでありながらコクのあるワインが多く評価されています。

コート・ド・ベルジュラック 写真
コート・ド・ベルジュラック : 赤と白のA.O.C.で、厳しい収量規定を持つワインを指す。 (参照元)

Pecharmant🔗 (赤)

特定の4市町村のみが申請できるA.O.C.で、力強い赤ワインが主であり、メルローやカベルネ・フランの割合が重要視されています。この地域の赤は通常、長期熟成に適しており、個性的な風味を持ちます。

Pecharmant 写真
Pecharmant : 特定の市町村で製造される、メルロやカベルネ・フランを使用した赤ワイン。 (参照元)

Montravel🔗 (白、甘口白)

モンラヴェルの西端に位置し、甘口白のワインが主要な生産物です。主要なブドウ品種にはセミヨンが含まれ、作付け比率に関する規定があり、高品質を維持しています。

Montravel 写真
Montravel🔗 甘口の白ワインを生産するA.O.C.で、主にセミヨンを使用。 (参照元)

Monbazillac🔗 (甘口白)

ドルドーニュ川の南岸に位置するモンバジヤック村では、貴腐ぶどうを多く使用した甘口白のA.O.C.が存在します。残糖は45g/L以上が条件であり、この地域特有の甘口ワインとして知られ、デザートワインとして人気があります。

Monbazillac 写真
Monbazillac🔗 貴腐ぶどうを使った甘口白ワインを生産する地域のA.O.C.。 (参照元)

ガロンヌ有川流域のワイン

ガロンヌ川流域には、ボルドー系の主要ブドウ品種に加え、地域特有のブドウ品種も存在します。地域により、気候は西側は海洋性、東側は地中海性気候の影響を受けます。

Côtes du Marmandais🔗

赤、ロゼ、白のA.O.C.で、合計22の村から構成されています。主要品種はカベルネ・フラン、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョンで、フルーティーでバランスの取れたワインが特徴です。

Côtes du Marmandais 写真
Côtes du Marmandais : 赤、ロゼ、白が生産される地域特有のA.O.C。 (参照元)

Buzet🔗

ガロンヌ川の沖積平野で、フルーティな赤、ロゼ、白が造られます。赤ワインの主要品種はメルローで、シルキーな舌触りを備えています。

Buzet 写真
Buzet🔗 フルーティな赤、ロゼ、白ワインが生産されるガロンヌ川の沖積平野。 (参照元)

Brulhois🔗

ガロンヌ川の左岸に位置し、タナとシラーが主体で、3つの異なる土壌の特性を活かしたワインが生産されています。特に、個性的な味わいが評価されています。

Brulhois 写真
Brulhois : タナとシラーを主体とする赤ワインを生産するA.O.C.。 (参照元)

Saint-Sardos🔗

地中海と大西洋の気候が交じり合う地域で、タナやシラーから成るユニークなブレンドがあります。これにより、独特な風味のワインが生まれ、消費者に愛されています。

Saint-Sardos 写真
Saint-Sardos : タナやシラーを使ったユニークなブレンドを生み出す地域。 (参照元)

ロット川流域のワイン

カオールを中心に広がるワイン産地で、特にマルベック主体のワインが特徴です。独自の製法と地域の気候変化は、個性的なワインをもたらしています。

Cahors🔗 (赤)

歴史的な街、カオール市が中心の産地で、主な品種はマルベックです。この地域の赤ワインは、濃厚でスパイシーなキャラクターが楽しめます。

Cahors 写真
Cahors🔗 マルベック主体の赤ワインが特徴の歴史的な街の産地。 (参照元)

Coteaux du Quercy🔗

赤とロゼが生産されるこの地域では、カベルネ・フランを主体とした規定があります。フルボディのワインが多く、新たな才能が目立つ場所です。

Coteaux du Quercy 写真
Coteaux du Quercy : 赤とロゼが生産され、カベルネ・フラン主体のワインが規定されている。 (参照元)

Entraygues-Le Fel🔗

赤、ロゼ、白のワインが造られ、フェール・セルヴァドゥを主体とした特徴的なワインが特長です。地元の食文化と非常に相性が良いです。

Entraygues-Le Fel 写真
Entraygues-Le Fel : フェール・セルヴァドゥを主体とした赤、ロゼ、白ワインが造られる地域。 (参照元)

Estaing🔗

アヴェイロン県ではシュナン・ブランを主体とし、気候と土壌が多様な背景を持っています。そのため、バラエティに富んだ味わいのワインを提供しています。

Estaing 写真
Estaing : シュナン・ブランを主とし、多様な気候と土壌を持つワイン生産地域。 (参照元)

Marcillac

マルシヤック・ヴァロン村の土壌には粘土石灰質があり、フェール・セルヴァドゥの単独ワインが特徴です。しっかりとした体格を持つこのワインは一部のワイン愛好者の間で人気があります。

タルン川流域の概観

タルン川はアヴェイロン川に合流し、その後ガロンス川と合流します。この流域にはシュッド・ウエストの主要なA.O.C.であるガイヤックが広がっており、上流にはコート・ド・ミヨーという小さな産地があります。タルン川流域は、ワイン生産に向けた地理的要因と独特の気候が調和し、優れたワインを生み出しています。多様な土壌や気候条件が、さまざまなスタイルのワインを可能にしています。

ガイヤックの特徴

ガイヤックは地中海性気候と海洋性気候の影響を受け、湿度も高い地域です。特に夏は乾燥したオータンと呼ばれる風がブドウの生育を強力にサポートし、良質なワインの生産を促進させます。この地域の土壌は多様であるため、異なるタイプのワインが生産されています。ガイヤックのワインは、その香りや味わいの深みで評価されています。

主要ブドウ品種

  • 赤ブドウ: フェール・モルヴァドゥ、ディトレス、シラー、ガメイ、デュラス、プリュヌラール
  • 白ブドウ: レン・ド・テル、シュナン、ミュスカデル

ガイヤックの主なA.O.C.ワイン

ガイヤックでは様々なタイプのワインが生産されており、以下が代表的です。

  • 赤ワイン、ロゼワイン、辛口白ワイン、発泡白ワイン: それぞれの特徴に応じて製造されています。これらのワインは豊かな風味と独特なキャラクターを有し、特に赤ワインはスパイシーでフルボディ、白ワインはフローラルで爽やかです。
  • Méthode Ancestrale: 伝統的な製法による発泡性白ワインで、フレッシュな果実感が特長です。
  • Doux: 甘口発泡白ワインで、Méthode Ancestraleに基づいて製造されています。
  • Vendanges Tardives🔗: 遅摘みの甘口白ワイン。これらは特に高い残糖を持ち、評価されています。
Vendanges Tardives 写真
Vendanges Tardives🔗 手摘みで収穫された遅摘みのワインを指す。 (参照元)

土壌とブドウ栽培の条件

栽培面積は約3,000haにもおよび、タルン川の両岸は異なる土壌が広がっています。左岸では砂利や砂の多い沖積土が見られ、しなやかで余韻の長い辛口白ワインやスパイシーな赤ワインが作られています。一方、右岸は粘土石灰質土壌が主で、香り高く風味豊かな赤ワインやフローラルな白ワインが特徴です。特に、北部の台地である石灰岩の区域から生まれるワインは、芳香豊かでフルーティーな特性を持ちます。

コート・ド・ミヨー

コート・ド・ミヨーは2010年にA.O.C.を取得した比較的新しい産地です。この地域は、厳しい冬の気候がブドウの生育に影響を与える可能性があり、慎重な栽培技術が求められます。ワインの質を高めるための努力が続けられ、この地独自の特性を活かしたワイン作りが進行中です。

バスク地区の特徴

バスク地区はピレネー山脈のふもとに位置し、海洋性気候の影響を受けています。この地域ではタナやプティ・マンサンといった地品種が使われ、独自の個性を持ったワインが生まれています。これらのブドウ品種は、それぞれの土壌や気候に適応し、個性的なフレーバーを持つワインを作り出します。

マディラン🔗パシュラン・デュ・ヴィク・ビル🔗

これらの産地は、ジェール、オート・ピレネー、ビピレネー・アトランティックの3県にまたがるA.O.C.です。マディランでは、タナが50%以上使用されることで知られ、このブドウ品種が主導する豊かなフレーバーが楽しめます。また、パシュラン・デュ・ヴィク・ビルでは、甘口と辛口の双方が楽しめ、食事とのペアリングにも適したワインが多くあります。

パシュラン・デュ・ヴィク・ビル 写真
パシュラン・デュ・ヴィク・ビル🔗 甘口と辛口が楽しめるフランス南西部のA.O.C.ワイン。 (参照元)
マディラン 写真
マディラン : タナが50%以上使用されるフランス・南西部のA.O.C.ワイン。 (参照元)

ジュランソン

ジュランソンは主に白ワインの産地で、グロ・マンサンとプティ・マンサンが主要な品種です。残糖レベルによってさまざまなスタイルのワインが生産され、特に「Vendanges Tardives」の表示がある甘口ワインが高い評価を受けています。これらのワインは、美しい甘さと酸味のバランスが特徴で、デザートワインとしても非常に人気があります。

コレーズ地区

この地区では、カベルネ・フランとメルロを使用した赤ワインが生産されており、特にA.O.C.コレーズではカベルネ・フランが主要品種となります。この地域で生産される赤ワインは、そのフルーティーさとスパイシーさが楽しみで、また自然な糖度の上昇によって甘口ワインがも生産され、ワインの多様性に貢献しています。

コレーズ 写真
コレーズ🔗 カベルネ・フランを主体とした赤ワインのA.O.C.。 (参照元)

リムーザン🔗地区

リムーザン地区はかつてフィロキセラやウドン粉病の影響で栄えたものの、現在はわずかなブドウ畑が残る状況です。A.O.C.コレーズに昇格したワインは、地域の特性を生かした生産が行われ、独自の風味を楽しむことができます。この地域も魅力的なワインの個性を維持するために、新しい生産技術が導入されています。

リムーザン 写真
リムーザン : フランス南西部の歴史的なワイン産地。 (参照元)

その他のI.G.P.

シュッド・ウエストでは、コート・デュ・タルン🔗やコタン・デ・モンなど、特定の地域で生産されるワインがI.G.P.として指定されています。それぞれの地域特性を反映したワインが多様に展開され、地域ごとの個別のアプローチでワイン作りが実施されています。これにより、各地域の伝統や風味を感じられるユニークなワインが楽しめます。

コート・デュ・タルン 写真
コート・デュ・タルン : 特定地域で生産されるI.G.P.指定のワイン。 (参照元)

記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。

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