スペイン – 概要・カバ | ソムリエ試験教本まとめ
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目次
スペインの地理とワインの概要
スペインはイベリア半島の大半を占める国で、総面積は約50.5万km²、人口は約4,762万人です。2014年にフェリペ6世が新国王に即位し、17の自治州及び2つの自治都市を有しています。スペインはワイン用ブドウの栽培面積で世界第1位(約937,781ha)を誇り、全EUの約30%を占めています。ワイン生産量は約35.20万hlで世界第3位です。特にカスティーリャ・ラ・マンチャ州は栽培面積の約48%と生産量の約53%を占めています。
原産地呼称(D.O.P)について
スペインのD.O.P.は、ワインの品質や出所を保証するための制度です。現在101のD.O.P.が存在し、スティル・ワインはリオハやリベラ・デル・ドゥエロ、カバはカタルーニャ州、シェリーはアンダルシア州ヘレスで有名です。各生産地で独自の特性を持ったワインが造られており、品質が高まっています。
ワインの製法と生産プロセス
スペインでは、ワイン製造には主に赤、白、ロゼ、スパークリング、酒精強化ワインの5つのタイプがあり、それぞれ異なる製法が採用されています。赤ワインの一部はテンプラニーリョやガルナッチャといった固有品種を使用しており、特にガルナッチャは気候変動に強い品種として知られています。スパークリングワイン(カバ)は、カタルーニャの代表的な製品で、主にマカベオ、パロミノなどが用いられます。
重要な人名と歴史的な出来事
スペインのワイン史は多様な民族の影響を受けており、紀元前1100年頃にはフェニキア人がブドウ栽培を紹介しました。紀元前200年頃にはローマ人が本格的なワイン生産を行い、711年にはイスラム教徒のムーア人が支配しました。その後、1492年にレコンキスタが完了し、世界へのワイン輸出が盛んになりました。
ワイン産業の現状と経済的影響
スペインには約4,000のワイナリーが存在し、大部分は中小規模の家族経営です。特に観光農業は経済的に重要で、毎年約83,700万人が訪れます。ワイン輸出は2022年において、コロナから回復しつつあり、輸出総額は前年より大幅に増加しましたが、輸出量は減少しました。
気候と風土の影響
スペインの気候は多様で、北部のガリシアは湿潤な気候、内陸部は乾燥した気候です。気候条件はワインの味わいに影響を与えており、基盤土壌も様々です。特にカスティーリャ・ラ・マンチャの赤い土壌や、アンダルシアの石灰質土壌が有名です。
スペインの主要なブドウ品種
- テンプラニーリョ - スペインで最も広く栽培される黒ブドウ品種。リオハでの高品質な赤ワインの主要品種。
- ガルナッチャ - フランス名グルナッシュ。アラゴン地方が原産で、スペイン各地で栽培されています。
- アイレン - スペインで最も栽培面積が広い白ブドウ品種。カスティーリャ・ラ・マンチャ州に多く見られます。
- マカベオ - カバの主要品種で、ジョッカな白ワインにも使用されます。
- アルバリーニョ - ガリシア州で注目されている白ブドウ品種です。
ワイン法と品質の分類
スペインのワイン法は、1700年代に始まり、1926年にリオハで最初の原産地名保護が設立されました。1932年に「ワイン法」(Vino)が制定され、現在はD.O.P.、I.G.P.などのカテゴリーに分類されています。D.O.ワインは68種類存在し、高級ワインのカテゴリーとして重要です。
ワイン法に基づく熟成規定には、クリアンサ、レセルバ、グラン・レセルバなどがあり、熟成期間に応じてワインの品質が表示されています。また、オーガニックワインの栽培面積も世界最大で、約14万haです。
カバD.O.の概要
カバはスペインのスパークリングワインで、主にカタルーニャ州で生産されるD.O.(原産地呼称)です。名称はカタルーニャ語で「洞窟」を意味し、伝統的な二次発酵法で作られます。カバは広域に生産地域が広がっており、特定の州に限定されず、リオハD.O.など異なる州をまたぐこともあります。
カバの歴史的背景
カバの起源は、1872年にカタルーニャの生産者Josep Raventós Fatjóがフランスのシャンパーニュ地方で学んだ二次発酵法を基に生産を始めたことに遡ります。その後、1959年にカバの名称がスペインのワイン法に初めて記載され、1972年にはカバをスパークリングワインの名称として正式に承認しました。1986年には、スペインが欧州経済共同体に加盟する際に、カバの生産地域が規定されました。
最新の生産と規制
2020年にカバD.O.委員会は、認定生産地域のゾーンおよびサブゾーンの分類を導入し、トレーサビリティを強化しました。カバは38,152haの総栽培面積で、1,516,172hLの生産量を誇ります。
主要ブドウ品種とその特性
カバで使用される主要ブドウ品種には、以下があります:
- マカベオ - フルーティな味わいとコクを持つ。
- チャレッロ - 酸味が特徴で、近年は100%使用のカバも増加。
- パレリャーダ - 花のような香りを持つ。
- その他の認定品種:シャルドネ、ガルナッチャ・ティンタ、モナストレル、トレパット、ピノ・ノワールなどがある。
カバの形成と分類
カバは、種類に応じて以下のように分類されます:
- ブルット・ナトゥーレ - 糖分が全く含まれない。
- エクストラ・ブルット - 少量の糖分を含む。
- ブルット - 標準的な甘辛の度合い。
年齢による分類では、最低熟成期間が異なり、以下のように詳細に定められています:
- Reserva - 最低18ヵ月。
- Gran Reserva - 最低30ヵ月。
- Cava de Paraje Calificado - 最低36ヵ月の熟成が必要。
認定生産地域とその詳細
カバD.O.には多くの認定生産地域があります。具体的な例としては、以下の地域が含まれます:
- カタルーニャ州 - バルセロナ県、タラゴナ県、ヘローナ県、レリダ県。
- アラゴン州 - サラゴサ県。
- ナバーラ州、リオハ州、バスク州、エクストレマドゥーラ州など。
特に、カタルーニャ州のSan Sadurni d'Anoiaがカバ生産の85%を担っています。
カバの今後の展望
カバD.O.はトレーサビリティを強化し、サステナビリティを重視した生産方法にシフトしています。2025年には、オーガニック栽培を用いたカバが求められる予定です。商品のラベルも刷新され、消費者に透明性が向上します。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。