スイス | ソムリエ試験教本まとめ
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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
スイスの基本情報
スイスは中央ヨーロッパの南部に位置し、27の州からなる多文化国家です。ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つの言語が話され、独自の農業政策で持続可能な生産を実践しています。この国は、国土の70%をアルプス山脈とジュラ山脈が占め、約1,500の湖が点在しています。2022年には、乾燥した天候を経て良好な条件のもとでブドウが成長し、収穫量は昨年より63%増加し、992,325hlとなりました。
スイスワインの歴史
スイスにおけるブドウ栽培は、紀元前58年、ジュリアス・シーザーによって広まりました。先住民族であるヘルウェティ族は既にワイン造りを行っていたとされていますが、詳細は不明です。812年にはカール大帝が農業振興政策を推進し、ワイン技術は進歩しました。その後、ワイン交易が盛んになり、18世紀には海外でもスイスワインが知られるようになりました。特に19世紀後半には鉄道の整備が進み、ブドウ品種がスイス全土へ広がりましたが、フィロキセラやウドンコ病による被害もありました。20世紀には新品種開発や環境に配慮したワイン造りが進み、質の高いワイン産地として注目されています。
気候と風土
スイスでのブドウ栽培エリアは、北緯45°〜47°、標高375m〜1,100mです。アルプス山脈によって守られたこの地域では、様々な気候がブドウの多様性を生み出しています。土壌はジュラ紀・白亜紀の地層が中心で、豊かな水源がブドウの品質を向上させています。
主なブドウ品種とその特徴
スイスでは約250品種のブドウが栽培されていますが、ワイン生産においては約90品種が主要です。主な白ブドウ品種には以下があります:
- シャスラ (Chasselas): 栽培面積3,539ha
- ミュラー・トゥルガウ (Muller-Thurgau): 栽培面積424ha
- シャルドネ (Chardonnay): 栽培面積408ha
黒ブドウ品種には以下があります:
- ピノ・ノワール (Pinot Noir): 栽培面積3,757ha
- メルロ (Merlot): 栽培面積1,235ha
- ガメイ (Gamay): 栽培面積1,077ha
ワイン法と品質分類
スイスにおけるワイン法は、連邦農業法(1996年制定)、ブドウ栽培とワインに関する連邦令(1998年制定)、食品法(1992年制定)によって整備されています。これらの法律は生産や栽培に関して厳しい規制を設けており、各州がその運用を担当しています。
A.O.C. (Vins d'Appellation d'Origine Contrôlée)はフランス語圏の分類で、スイス全土で62のA.O.C.が存在します。
また、Vin de PaysやVin de Tableというカテゴリー分けも行われており、それぞれに最低必要糖度と収穫量が定められています。
スイスのワイン産地の概要
スイスのワイン産地は主にフランス語圏(スイス・ロマンド)、ドイツ語圏(ドイチュシュヴァイツ)、イタリア語圏(シュヴィツェーラ・イタリアーナ)に分かれています。各地域は独自の気候や土壌条件を持ち、特有のワインを生み出しています。スイスは美しいアルプスの風景とともに、多様なワイン生産が行われており、各エリアのワインはその地域の自然と文化を色濃く反映しています。
スイス・ロマンド
スイス・ロマンド(Suisse Romande)は、フランス語を公用語とする地域で、主にローヌ川沿いのヴァレー州、ジュネーヴ州、ヴォー州、ヌシャテル州が含まれています。これらの地域では、独自の地理的特徴や気候の影響を受けたワインが生産されています。
重要な産地
- ヴァレー州(Valais): スイス最大のワイン産地であり、標高が650~1150mに及びます。この地域では、主要なブドウ品種はFendant(Chasselas)とJohannisberg(Sylvaner)、さらにはPinot NoirやSyrahなども生産されています。
- ヴォー州(Vaud): シャスラがその約60%を占め、特にユネスコの世界文化遺産に指定されたラヴォー地区が有名です。この地区では急峻な斜面にブドウ畑が広がり、独自のワインが生まれています。
- ジュネーヴ州(Genève): 日照時間が約2000時間に達するこの州では、主にシャスラとガメイを使用したワインが生産されています。特に赤ワインは、ジュネーヴの豊かな風味を映し出しています。
- ヌシャテル州(Neuchâtel): 中世からのワイン生産の歴史があり、特にシャスラが生産されることで知られています。
気候と風土
各地域はアルプス山脈やジュラ山脈の影響を受けており、多様な土壌条件と気候が魅力的なワインを生産する要因となっています。例えば、ヴァレー州は年間の日照時間が2500時間、降水量が650mmあり、乾燥した気候が多様なブドウ品種を育む基盤となっています。この地域のワインは、豊かなフルーティさと複雑さを持つものが多く、その品質の高さは国内外で評価されています。
主要ブドウ品種
- 白ブドウ: Chasselas、Chardonnay、Sylvanerなど。これらのブドウからは、鮮やかでフレッシュな辛口白ワインが生まれます。
- 赤ブドウ: Pinot Noir、Gamay、Syrahなど。これらの赤ブドウは、深みと豊かな風味を持つ赤ワインを生み出します。
A.O.C.ワイン
地域の特性を生かしたA.O.C.ワインが多く生産されています。具体例として、ヴァレー州のFendant(Chasselas)、Johannisberg(Sylvaner)、ヴォー州のDorin(Chasselas)などがあり、これらはそれぞれ地域の食文化との相性も抜群です。
ドイチュシュヴァイツ
ドイチュシュヴァイツ(Deutschschweiz)は、スイスのドイツ語圏のワイン産地を指し、主要な州にはアールガウ、バーゼル、チューリヒなどがあります。この地域では特に白ワインが多く生産される傾向にあります。
特徴
ドイツ語圏は約2600haのブドウ栽培面積を持ち、主にミュラー・トゥルガウやブラウブルグンダーを使用したワインが生産されています。特にミュラー・トゥルガウは、フレッシュでフルーティな香りを持つワインとして人気があります。
A.O.C.ワインの例
- Blauburgunder(Pinot Noir): 主な赤ワイン品種で、この地域の特徴的なブドウです。
- Rauschling: 地域を代表する白ワインの品種で、軽快で飲みやすい味わいが特徴です。
シュヴィツェーラ・イタリアーナ
シュヴィツェーラ・イタリアーナ(Svizzera Italiana)は、イタリア語圏のワイン産地を指し、主にティチーノ州とグラウビュンデン州のメソルチーナが含まれます。
特徴と気候
地中海性気候を活かし、年間日照時間は2200時間、降水量は1600mmという豊かな自然環境が整っています。この地域では主にメルロが栽培される一方、Bondolaなどの伝統的なブドウ品種も存在し、地域色豊かなワインが生産されています。
主要D.O.C.ワイン
- Rosso del Ticino: 赤ワインで、特にメルロを主体としたしっかりとした味わいが特徴です。
- Bianco del Ticino: 白ワインで、爽やかな香りとクリーンな味わいが楽しめます。
- Rosato del Ticino: ロゼワインで、果実味と酸味のバランスが秀逸です。
地方料理と食材
- Osso buco: 仔羊のすね肉を使用したトマトソース煮込みで、ワインと合わせると絶品です。
- Polenta: トウモロコシ粉を使ったイタリアの伝統的な料理で、豊かな風味のワインとの相性が良いです。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。