テイスティング | ソムリエ試験教本まとめ
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このサイトでは、ソムリエ・ワインエキスパートの一次試験対策のまとめをしています。最新のソムリエ教本の要点をまとめていますので、問題集と合わせてご活用ください。
目次
テイスティングの目的
テイスティングはワインの品質を評価するための重要なプロセスです。目的には、購入前提のテイスティング、トレーニング、他者への伝達が含まれます。テイスティングの対象者によって目的やアプローチが異なり、生産者、バイヤー、ソムリエなどの立場によって、そのやり方やコメントも変わります。
- 自分の味覚能力を知り、経験を積んで向上させる。
- ワインのバリエーションを知る。
- ワインを分析し、記憶する。
- 個性と特性を知る。
- 感覚を言葉で表現する能力を身に付ける。
テイスティングは先入観を持たず、グラスの中のワインに率直に向き合うことが重要です。このプロセスを通じて、ワインの過去、現在、未来を知り、ワインのプロファイリングを行います。
テイスティングの標準
共通の環境、用具、用語を設定することは、複数人でのテイスティングを行う際に重要です。
- 環境: 室温 18〜22℃、湿度 60〜70%、静寂で無臭な明るい照明。
- グラス: チューリップ型で、模様のないISO規格グラスを推奨。
- ワインの温度: 白ワイン、スパークリングは 10〜12℃、赤ワインは 16〜18℃。
- 飲食: 飲酒や喫煙は避ける。
- 参加者: 化粧品や香水は控える。
テイスティングの方法(フォーム)
テイスティングでは、見た目、香り、味わい、余韻、総合評価の5つの要素を分析します。
外観
- 濃淡: ブドウの成熟度と関連。
- 色調: 若いワインは鮮やかな色。
- 輝き: 酸度の高さと関連。
- 清澄度: 透明度を測る。
- 粘性: アルコール度数やグリセリン量による。
香り
- 第1アロマ: 健全なラディオ由来の香り(果実、花など)。
- 第2アロマ: 発酵段階で生まれる香り(バターや食パンなど)。
- 第3アロマ: 熟成による香り(ナッツ、紅茶、ジビエなど)。
味わい
- 甘味: 残糖分や熟度から感じる。
- 酸味: ワインの特性を表す重要要素。
- アルコール: 味わいに刺激を与える。
- 渋み: タンニン分による味わい。
結論
テイスティング後、ワインの状態や価格と品質のバランスを評価します。状態には「若い」、「成熟」といった段階があります。ワインのタイプやスタイル、生産者の特性を簡潔に表現することが求められます。
テイスティングガイド
A.S.I.国際ソムリエ協会によるテイスティングの際のガイドラインについて説明します。清澄度や輝き、香りの特徴など、具体的な項目で評価します。ここでは、健全度合いやボディの特徴、香りの影響などを考慮しながら、ワインを評価することが大切です。
アロマ化合物の感受性の違い
ワインに含まれる香りをテイスティングする際、各人の香り成分への感受性は異なります。例えば、カベルネ・フランの赤ワインに含まれる香り成分2-イソンブチル-3-メトキシピラジン(IBMP)について、感受性が高い人は「ピーマンの香りが強い」と感じる一方、感受性が低い人は「果実感あふれる赤ワイン」と表現することがあります。香り成分が数千種類もあるため、個々の感受性は多様です。
感じない香りの存在
全く感じない、またはほとんど感じない香りが存在し、これは健康な人でも生まれつき持っています。例えば、スミレの香りとして知られる-イオノンは、約25%から50%の人が感知できないという研究結果があります。このような香りを基にテイスティングする場合、他者に理解されないことを意識することが重要です。
アロマ化合物と欠陥臭について
アロマ化合物の中には、香りが支配的な成分がいくつか存在しますが、特定の香りに対する認識は人によって異なります。たとえば、TCA(2.4.6-Trichloroanisole)は極めて低濃度であっても検知されるコルク臭を引き起こします。この化合物は、約1ナノグラムで感知可能です。
ワイン中の香りの分類
ワインの香りは大きく品種由来、b)酵母およびバクテリア由来、c)熟成由来に分類されます。
- 品種由来:ブドウに元々含まれる香り成分が、発酵や貯蔵を通じてアロマ化合物に変化します。
- 酵母およびバクテリア由来:発酵過程で生成されるアルコールやエステルの香りです。
- 熟成由来:樽香など、熟成過程で新たに発生する香りです。
オフフレーバーの判断基準
オフフレーバー(欠陥臭)とされる化合物は濃度によってニュアンスが変わり、少量であればワインに複雑さを与えます。ソムリエやエキスパートは、欠陥と判断するのではなく、ワインの味わいに対する複雑さや、料理との相性を重視する必要があります。自分の感度を把握し、お客様のコメントを観察することが重要です。
代表的なアロマ化合物とその特徴
以下に、代表的なアロマ化合物とその関連品種を示します:
- リナロール:マスカット香が特徴で、主にRieslingに含まれます。
- スミレ(-イオノン):BarberaやZweigeltなどで感知され、25-50%の人が無感知。
- ログタンドン:シラーに多く含まれ、黒胡椒の香りを持つ。
- TCA:コルク香の原因となる悪臭のひとつ。
- ダイアセチル:乳製品的なバター香を呈し、バターやヨーグルトに見られる。
香りを持つ化合物の概要
ワインの香りを構成する化合物にはさまざまな種類があり、その中にはブドウ品種特有の香りを生み出す成分もあります。ここでは、主に「品種香」と「微生物由来の香り成分」について詳しく説明します。
品種香(第二アロマ)の要素
1. チオール化合物(Thiol compounds)
- 3MH(3-メルカプトヘキサノール):グレープフルーツの香りを持つ。
- 3MHA(3-メルカプトヘキシルアセテート):パッションフルーツのニュアンスを生じる。
- 4MMP(メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン):香りの強い成分で、濃度によって変わる。
これらは酸化に弱く、ワインの製造時には酸素に触れないようにする必要があります。また、日本の品種である甲州も3MHを含むことが知られています。
2. テルペン類(Terpenes)
3. フラネオール(Furaneol)
ヴィティス・ラブルスカに多く含まれ、イチゴの香りを持つ。この成分は日本ではマスカット・ベーリーAに多く見られ、その香りの元となる。
4. ロタンドン(Rotundone)
シラーに含まれ、胡椒の香りを生む。特に冷涼な気候下ではその濃度が高くなることが知られています。
5. IBMP(Isobutyl methoxypyrazine)
青臭い香りの成分で、熟すにつれて減少します。主にボルドー原産のブドウ品種で多く含まれており、特にカベルネ・ソーヴィニョンに顕著です。
微生物由来の香り成分(第二アロマ)
1. 馬小屋臭(Sweaty horse)
赤ワインの発酵中に発生する動物的な匂いで、主にBrettanomycesという酵母によって生じる。主成分には4-Ethyl phenolや4-Ethyl guiacolなどがあり、これらは高温時に増殖しやすい。
2. 酢酸イソアミル(Isoamyl Acetate)
発酵の過程で生成される香りで、バナナのようなフルーティな香りを生じる。ボージョレ生産過程などで特に顕著に現れる。
3. 揮発酸(Volatile Acid)
常温で揮発する有機酸の総称で、主に酢酸が含まれる。発酵過程で一定量生成され、不快な匂いになることもある。適切に管理しないと増殖する微生物によって香りが変わることがあるため、亜硫酸の管理や貯蔵環境の整備が大切です。
香りの分類と特徴
1. 外観(Appearance)
ワインの透明度や色調は評価の際の重要なポイントです。光沢、澄明度、色合いといった特徴があり、具体的には以下のような表現が使われます。
- Brillant:光沢のある、
- Clair:澄みきった、
- Jaune pale:淡い黄色。
2. 香り(Aroma)
果実香やフローラル香、スパイス香など多岐にわたる香りの分類があります。この部分は、様々な香りの要素がワインの複雑さを生み出します。
- Fruits:イチゴやチェリー、
- Spices:バジルやシナモン。
3. 味わい(Palate)
ワインの味わいには厚み、甘さ、酸味などの要素が含まれます。口当たりや構成の評価も重要です。
- Epais:厚みのある、
- Douceur:甘み、
- Acidite:酸味。
記憶が新鮮なうちに、練習問題を解きましょう。覚えてアウトプットをしての繰り返しで記憶は定着してゆきます。