このページでは、WSETテキストの章ごとの内容を、WSETの出題形式に沿った練習問題の形式で復習します。
この章では、「ブルゴーニュ」について学習します。
問1
ブルゴーニュは春の気温差が大きい気候であり, 春の霜によりブドウが被害を受けることがある。春の霜を乗り越えるために生産者がとりうる対策を4つ特定し, それらがどのようにして春の霜からブドウを守るのかを説明しなさい。
6点
答え
解答
対策として挙げられるのは, 1つ目はヒーターを設置しヒーターの熱で大気を循環させブドウ畑の温度を上昇させるるというもの。2つ目は, 送風機を使用し大気を循環させブドウ畑の温度を上昇させるというもの。3つ目は, スプリンクラーを使用しブドウ畑に散水し, 水が氷るときに発せられる潜熱によりブドウを温めるというもの。4つ目は, ブドウ畑を設ける場所に配慮し, 斜面など冷気がとどまりにくい場所にブドウ畑を設置するというもの。いずれの対策も, ブドウが低温環境下に置かれることを防ぎ, ブドウの芽や新梢などを春の霜による凍結、枯死から守ることに繋がる。
採点基準
- 4つの対策として「ヒーター」「送風機」「スプリンクラー」「畑の設置場所への配慮」を挙げて1点。いずれか一つでも欠けた場合は加点しない。
- 「ヒーター」及び「送風機」は, 大気の循環を促し冷気を畑に留めないようにするという点に触れて各1点、合計2点
- 「スプリンクラー」は, 散水して水の潜熱を利用しブドウを温めるという点に触れて1点。
- 「畑の設置場所への配慮」は, 斜面などの冷気がとどまりにくい場所にブドウ畑を設置するという点に触れて1点。斜面、などの具体的な単語は不要。
- いずれの対策も, ブドウが低温環境下に置かれることを防ぎ, 春の霜による芽や新梢の凍結、枯死から守る, という点に触れて1点。
問2
Part 1
シャブリ地区では, 様々な品質のワインが造られる。上のワインA, Bに期待できる香りの特徴, 及び酸味のレベルを説明しなさい。
ワインA:
ワインB:
5点
答え
解答
ワインA:レモンやライム, 青りんごなどの緑系果実の第一アロマを持ち, 酸味は高い。
ワインB:グレープフルーツやネクタリンなど熟度の高い果実の第一アロマや, マーマレードやナッツなどの第三アロマを持ち, 酸味は高い。
採点基準
ワインA
- 「レモン」「ライム」「青りんご」などの第一アロマを答えて1点。「第一アロマ」とだけ書いて, 香りの用語を1つ以上挙げていなければ加点なし。
- 酸味を「高い」と答えて1点。
ワインB
- 「グレープフルーツ」「ネクタリン」などの第一アロマを答えて1点。「第一アロマ」とだけ書いて, 香りの用語を1つ以上挙げていなければ加点なし。また, ワインAに比べてアロマの表現に使用する果実の熟度が高いことを記載, または熟度の高い果実を例示していない場合は加点なし。
- 「マーマレード」「ナッツ」などの第三アロマを答えて1点。「第三アロマ」とだけ書いて, 香りの用語を1つ以上挙げていなければ加点なし。
- 酸味を「高い」と答えて1点。
Part 2
ワインBは, 優良な畑で収穫されたブドウから造られている。ワインAが造られるような畑に対し, ワインBが造られるような畑が持つ, 地理的に有利な特徴を特定し, それがなぜワインの品質に影響を与えるのか説明しなさい。
5点
答え
解答
ワインBが造られるような畑は, 南向きの斜面に位置している。斜面に位置していること, 南向きであることは, いずれも日照量を多くする要素であり, これらの要素により果実の成熟度が増し, ワインに凝縮感や完熟した果実の風味が加わる。
採点基準
- 「南向き」の「斜面」であると答えて2点。いずれか一方の要素が欠けるごとに1点減点。
- 「南向き」「斜面」いずれの要素も, ブドウへの「日照量が多くなる」ということに触れて1点。
- 「日照量が多くなる」と「ブドウの成熟が促される」ことに触れて1点。
- ブドウの成熟が促されると, ワインに「凝縮感」や「完熟した果実の風味」が加わり品質が向上するということに触れて1点。品質向上に繋がるものであれば, 多様な表現を許容する。
問3
Part 1
あるガメイ種から造られたワインは, タンニンは少なく, レッドベリーなどの果実風味に加え, キルシュやバナナ, シナモンなどの香りを持つことがある。
こうした特徴を達成するためにワイン醸造過程において使用できるかもしれない方法を特定し, それを描写しなさい。また, その方法がこのワインのスタイルにどのような特徴を与えるのかについて説明しなさい。
5点
答え
解答
これらの特徴を達成するための方法として挙げられるのは, 炭酸ガス浸漬法である。炭酸ガス浸漬法では, ブドウからタンニンがほとんど抽出されないため, ワインのタンニンは少なくなる。また, 炭酸ガス浸漬法によりブドウは細胞内発酵が進み, その副産物としてキルシュやバナナ, シナモンなどの独特の風味がワインに加わる。
採点基準
- 「炭酸ガス浸漬法」と答えて1点。「マセラシオン・カルボニック」も可。
- 「炭酸ガス浸漬法」では, タンニンがあまり抽出されないことに触れて1点。
- 上記の影響で, ワインに含まれるタンニンが少なくなることに触れて1点。
- 「炭酸ガス浸漬法」では, 「細胞内発酵」という通常の発酵プロセスでは経ない化学反応が生じることに触れて1点。
- 上記の影響で, ワインに「キルシュ」「バナナ」「シナモン」などの独特な風味を与えることに触れて1点。「独特な風味」などとだけ書いて, 香りの用語を1つ以上挙げていなければ加点なし。
Part 2
これらの特徴を持ったフランス産のガメイ・ワインを勧めて欲しいとお客様に頼まれた場合, どのワインを勧めるか?また, どのようなサービス温度でワインを給餌するか?
2点
答え
解答
ボージョレ・ヌーヴォーを勧め, 軽く冷やして提供する。
採点基準
- 「ボージョレ・ヌーヴォー」「ボージョレ」など, 炭酸ガス浸漬法を用いているであろうワインを例示して1点。「ボージョレ地方のワイン」などと, 原産地呼称ではなく地方名で答えている場合は加点しない。
- 「軽く冷やして」提供すると答えて1点。「13℃」と具体的な温度で解答しても可。
選択問題は対策していますか?
選択問題の対策していなかったら予期せず足を引っ張られる可能性もあります。また、選択問題演習を通じて章の理解が深まり、記述問題の対策にもなります。
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