味覚
味わい

味覚

味覚とは

ワインを飲む時、私たちはまずワインの外観を見ます。そしてグラスを鼻に近づけ、ワインの香りを楽しみます。そして最後にそのワインを口に含み味わいます。

このように私たちは、視覚、嗅覚、そして味覚(舌の上でワインを転がし、触覚を楽しむ場合もありますね)と様々な感覚を用いてワインを楽しんでいます。

ここでは、ワインを楽しむ最後のフェーズである味覚について解説していきます。

味覚とは、舌の上に存在する味覚受容体がある種の化学物質を感知することにより引き起こされる感覚です。糖類を味覚受容体がキャッチしたら"甘い"という感覚を引き起こしますし、酢の主成分である酢酸を味覚受容体がキャッチしたら"酸っぱい"という感覚を引き起こします。

味覚には、甘み、酸味、塩味、苦味、旨味の5種類があることが知られています(近年新たに第六の味覚として脂肪の味というものが提唱されています)。

一見味覚と勘違いされがちですが、辛味や渋味は味覚の定義には当てはまらない、つまり味覚受容体で受容する感覚ではないので、辛味と渋味は厳密には味覚ではありません。

正確には辛味は舌を刺激するため痛覚に、渋味は(諸説ありますが)触覚に分類されます(渋味についてはこちらを御覧ください)

基本五種の味覚
基本五種の味覚

私たちはその下で基本五味を感じることができますが、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験で問われるワインの味覚は、甘味酸味苦味の3つです。

味覚地図は間違っていた!

以下のような、 舌の部分によって感じる味覚が違うということを示す味覚地図(味覚分布図)をご存じの方は多いと思います。

舌先では甘みを、舌の側面では酸味を、舌の奥では苦味を感じる、というものです。この図をもとに味覚の捉え方を教えられたりテイスティングの勉強をした人は、少なくないのではないでしょうか。

味覚分布図(誤り)
味覚分布図(誤り)

しかしこの味覚分布図は

間違いです

この舌の味覚分布図は、20世紀初頭にドイツで行われた研究をもとに作られたものです。この研究は、舌の各部分によって味覚の感じ方がわずかに異なるというものでしたが、1940年代に英語に翻訳された際に解釈ミスが生じてしまい、その結果このような舌の部分によって感じる味覚が違うという誤った図ができあがってしまったのです。

様々な研究の結果、現在では味覚を感じる受容体は舌全体にほぼ均等に広がっていることがわかっています。

小林三智子さんの論文(小林三智子 2010)が、味覚は局在化しているという反論に用いられることが多々ありますが、この論文は味覚を引き起こす最も低い刺激濃度を測定しているものであり、彼女自身も閾値が低い部位ほど味を強く感じるわけでもないと述べています。

つまり、ワインをテイスティングする際には、舌の部位による味の感じ方の差はほぼないといっても過言ではないのです。

味覚の正しい捉え方

さて、今まで舌の局所的な部分で味覚を感じるトレーニングをしていた方にとっては少し困惑してしまったかもしれません。では、舌の部位による味の感じ方の差はほとんどないとしたとき、私たちはそれぞれの味覚をどのように舌で捉えてゆけばよいのでしょうか。その答えは、

自由です

味覚の捉え方は経験によるものが大きいため、自分のスタイルでそれぞれの味覚を捉えていくことこそが重要です。

舌の側面で酸味を捉えられている方はそのまま舌の側面で酸味を捉えればよいですし、舌の側面で酸味を捉えるのが苦手な人は舌の他の場所で酸味を見極めればよいのです。

自分の場合は、舌の側面で酸味を捉えるのが苦手であったため舌の上部で酸味の強弱を判断していますし、実際その方法で十分判断することができています。

自分に合わないスタイルは早めに切り替え、別のテイスティングスタイルを試すことが重要です。

ソムリエ・ワインエキスパート二次試験のテイスティングの勉強の際に重要なのは、色んな味覚のとり方を試し、早めに自分のテイスティングスタイルを確立することです。

ぜひいろんな視点からワインを味わってみてください。そうすることによって新たなワインの一面を発見できるかもしれません。そしてこのサイトでは、そのテイスティングのヒントを紹介してゆこうと思いますので、ぜひ御覧ください。

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