花の香り(赤)
赤ワインの花の香りの表現
ソムリエ・ワインエキスパート試験において、赤ワインの花の香りを表現する単語として例えば以下が挙げられています。
- ゼラニウム
- 牡丹
- すみれ
- バラ
ソムリエ・ワインエキスパートの試験において、白ワインでは花の香りが選択されないワインもありました。しかし赤ワインの場合、近年出題されたすべてのワインで、これらの花の選択肢から少なくとも一つ以上使用されています。
香り物質(の前駆体)は、基本的にぶどうの果皮に蓄積されます。赤ワインは果皮と一緒に発酵をさせるため、白ワインより第一アロマや花の香りがしっかりと感じるためだと考えられます。
赤ワインにおいて、テイスティングコメントに列挙されている花は、色相に相関して使用されることが多いです。明るい赤ワインの場合は鮮やかな赤色の花で、濃い色の赤ワインの場合は深い紫色の花で表現されることが多いです。
赤ワインの場合は、これら花の香りの中から少なくとも一つ選ぶことを推奨します。
一つずつ解説していきます。
ゼラニウム
ゼラニウムは、下の写真のように赤やピンクの鮮やかな色を見せる花です。
日本ではマイナーかも知れませんが、ヨーロッパでは虫よけのために窓辺に飾られたりとポピュラーな花です。そのため、ワインのテイスティングコメントでもよく用いられてきました。
「ゼラニウム」は、赤系果実のアロマが感じられるワインに使用されることが多いです。赤系果実とともに、フローラルでエキゾチックな花のアロマを感じた際に使用されます。
ピノ・ノワールなどの品種でよく使用されます。
牡丹
「牡丹」は、下の写真の通り花びらを幾重にも重ねた大輪の花で、鮮やかなピンクや赤、紫など様々な種類があります。ゼラニウムとは打って変わって、日本人に馴染みのある花です。
古来から美しい花を咲かすと知られており観賞用として親しまれてきました。その雅さゆえ「王者の風格」という大壮な花言葉もありますが、テイスティングコメントではデイリーワインにも広く使用されます。
牡丹は様々な花の色がありますが、テイスティングコメントで使用されるときの牡丹は赤や紫色のものを指すことが多いと思われます。
「牡丹」は、赤系果実と黒系果実双方のアロマが感じられる場合がに使用されることが多いです。ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験でも、様々なワインで広く使用されてきました。
すみれ
「すみれ」は、色の名前にもなる通り深い紫色の小さな花です。
すみれは、世界中でポピュラーな花であり、石鹸や香水などのフレーバーに使用されるほか、食用として使用されることもあります。ワインのテイスティングコメントとしても広く使用されています。
「すみれ」は、黒系果実のアロマが感じられるワインに使用されることが多いです。黒系果実とともに、ほろ苦さや深みを伴った花のアロマを感じた際に使用されます。
シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種でよく使用されます。
バラ
「バラ」は、花びらが幾重にも重なった大輪の花であり、赤色から白、黄色まで様々な種類が存在します。
主に観賞用として栽培されることが多いですが、上品で華やかな香りを放つため、高貴な香水などにも使用されます。
バラはマリー・アントワネットが愛用したとも言われており、古くから世界中で人気だった花です。そのため、華やかなワインを象徴する言葉として、ワインのテイスティングコメントとしてもよく用いられています。
しかし、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験では、この「バラ」の使われ方は少し難解です。あまり使用実績はなく、一見一貫性のない使用のされ方をされています。
若々しく華やか、しかしゼラニウムのように刺激的ではなくやや深みのある花のアロマを感じた際に使用されると考えられますが、このような場合は無難に「牡丹」という単語を選択したほうがよいです。
まとめると以下の通りです。
ゼラニウム | フローラルでエキゾチックな、赤系果実を思わせる花のアロマが感じられる |
牡丹 | 赤系果実と黒系果実を思わせる花のアロマが感じられる |
すみれ | ほろ苦さや深みを伴った、黒系果実を思わせる花のアロマが感じられる |
Patrice Rion Bourgogne Pinot Noir 2017
ブルゴーニュのピノ・ノワールです。このワインはステンレスタンク及び古樽熟成のため、ぶどう本来のフルーティーでフローラルな第一アロマが際立ちます。
外観はやや明るい燃えるようなルビーで、若々しさと成熟感を感じます。香りは華やかで、第一アロマが際立っています。チェリーやラズベリーなどの赤系果実の香りに折り重なるのは、ゼラニウムなどのエキゾチックな、そして赤バラのような深く上品な花の香りです。深みも感じさせる華やかでエレガントな印象です。ファーストタッチはしなやかで、すぐにフルーティーで芳醇な風味が広がります。爽やかな酸味は全体の骨格を支え、長くエレガントな余韻を残します。
コート ド ニュイ ヴィラージュ[2016]パトリス リオン(赤ワイン ブルゴーニュ)
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