香り

スパイスの香り

スパイスの香りの表現

多くのワイン、特に赤ワインからスパイスの香りを感じ取ることができます。

このワインから感じられるスパイスの香りは、第三アロマに分類される事が多いです

ソムリエ・ワインエキスパート試験において、赤ワインのスパイスの香りを表現する単語として例えば以下が挙げられています。

  • クローブ
  • ナツメグ
  • シナモン
  • 甘草

ソムリエ・ワインエキスパートの試験においては、近年出題されたすべての赤ワインで、これらのスパイスの選択肢から少なくとも一つ以上使用されています。

赤ワインの場合は、これらスパイスの香りの中から少なくとも一つ選ぶことを推奨します。

一つずつ解説していきます。

クローブ(丁字)

クローブとは、別名「丁字」とも呼ばれるチョウジノキの花の蕾を乾燥させて作られる香辛料です。

クローブ

この特徴的で強いスパイシーな香りは、古来から世界中で珍重されてきました。

実際に嗅いだことがない方は、クローブの精油などを嗅いでみてください。

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このクローブの特徴的な香りの正体は、オイゲノールという化学物質です。

クローブにはどのスパイスよりも多量のオイゲノールが含まれているため、オイゲノールの香りはクローブの香りとして表現されます。

このオイゲノール、ぶどうには元々ほとんど含まれていない物質です。

なぜワインからクローブの香りがするかと言うと、このオイゲノールはオーク樽に多く含まれてるからです。ワインが木樽で熟成されている段階で樽からワインにオイゲノールが溶け込み、特徴的なクローブの香りを放ちます。

また樽のトーストが強いほどその含有量は増えると言われています。そのため、ヘビートーストされた樽で熟成されたワインからよく感じることができます。

また、甲州は果実の中に多くのオイゲノールを含んでいることが知られています。そのため、甲州から作られたワインからもクローブの香りを感じることがあります。

シナモン

シナモンとは、ニッケイ属の樹木の樹皮から採られる香辛料です。古代エジプト時代から香辛料として重宝されてきました。

シナモン

シナモンはその独特の甘く温かい香りから、洋菓子などの風味付けのよく使用されます。また、砂糖にシナモンパウダーを混ぜることにより、砂糖の甘味が一層引き立ちます(シナモンシュガー)。

ワインからも、シナモンの香りを感じ取ることができます。これは、シナモンに含まれているエステル類、特に桂皮酸エチルがワインにも含まれているからです。桂皮酸エチルはワインの醸造中や熟成中に生成されると考えられています。

ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験において、シナモンは多くのワインで模範解答として使用されています。樽香が主張し過ぎない、甘辛く心地よいスパイス香を感じる幅広いワインに使用されます

ナツメグ

ナツメグとは、ニクズクと呼ばれる熱帯性常緑樹の果実の種子を挽いて粉末化した香辛料です。インドネシアのモルッカ諸島原産のスパイスです。

ナツメグ

ナツメグは甘苦い香りを放ち、肉料理や乳製品を使った料理の風味づけによく使用されます。実際に嗅いだことのない方は嗅いで見るとよいです。

マスコット ナツメグ(パウダー)

ナツメグのウッディーな香りは、ミリスチシンと呼ばれる化学物質に由来すると考えられています。このミリスチシンは、ナツメグの精油成分の数%しか締めていませんが、ナツメグの香りに大きく寄与しています。

しかし、ワインには通常ナツメグの香りに寄与しているミリスチシンは含まれていません。

特徴的な甘苦い香りを放つナツメグですが、二次試験のワインのテイスティングコメントに使用されることはやや少なく、使用のされ方も難解です。ここで紹介した4つのスパイスの中で、一番使い方に困るテイスティングコメントと行っても過言ではありません。

大まかな傾向としては、ワインから甘さ、苦さ、双方を思わせる香りを感じた際に使用されます。例えば、果実の熟度からくる甘さを感じる香りに、ほろ苦い樽香の乗ったオーストラリア、シラーズなどに使用されています。

甘草

甘草は、別名「リコリス」とも呼ばれるマメ科の多年草で、その根を乾燥させ生薬やスパイスなどに使用されます。

甘草

甘草は、甘く、仄かに苦く、漢方を想起させるような香りが特徴的です。

甘草の香りを嗅いだことがない方は実際に嗅いでみると良いです。

リコリスパウダー 粉末 カンゾウ 甘草 カンゾウ トウホクカンゾウ 東北甘草 ウラルカンゾウ ウラル甘草

甘草の根に含まれるグリチルリチンは、なんと砂糖の50倍もの甘さを持つと言われています。砂糖の甘さとは質的に異なるものの、甘草も甘味料に使用されることがあります。

このグリチルリチンは、アニスなどから感じられるアネトールなどと似たような香りを放ちます。しかしワイン中にはグリチルリチンやアネトールなどは含まれていません。

甘草は、ワインから砂糖を連想させない甘い香りを感じた際によく比喩表現として使用されます。ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験においても、多くのワインで使用されています。

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