色調(白)
色調とは
ワインは、白や黄色、ピンクや赤などと多彩な色を呈しており、その美しい色合いで見る人を楽しませてくれます。
そしてひとえに白と言っても、その白色の程度はワインごとによって千差万別です。黄色がかっていたりグリーンのトーンがかかっていたりと、ワインは様々な色調を呈しています。
色調とは、ワインの色合いを漠然と表す指標です。
色調は本来、明度と彩度によって分けられる色の系統を言うのですが、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験の色調の項目では、明度と彩度に加え色相も考慮に入れた色全体の具合のことを指します。
ワインの色調は、そのワインの熟成度合いなど私達に様々なワインの背景を紐解くヒントを与えてくれます。そのため、ワインの色調をきちんと評価するのはテイスティングにおいては重要なことなのです。
白ワインの色調
さて、白ワインの色調は何を物語るのでしょうか。
白ワインの色調は、そのワインの酸化熟成の歴史を物語ります。
一般的に白ワインは、若いときはグリーンがかったレモンイエローの外観を呈し、酸化熟成が進むにつれ黄金色に変化していきます。数十年とかなり長い期間熟成されたワインでは酸化熟成が更に進み、マホガニー色などの褐色を呈すものも出てきます。
若い=グリーン
若い白ワインは淡いレモンイエローにグリーンのトーンが見えることが多いです。
グリーンのトーンと言われてもあまりぴんとこない方は、麦わら色を想像してください。ワインが淡いわらのような色の場合、グリーンのトーンが見えると表現されます。
この緑色の外観は、じっさいにはっきりと緑色が見えているわけではなく、黄色が薄く相対的に緑色が浮き上がっているように感じるものですので、グリーンのトーン、と控えめさをもって表現されることが多いです。つまり、ワインが透明で色が淡い(=黄色が薄い)場合は常に「グリーンがかった」と表現されます。
この若い白ワインに見られる緑色の由来は、ぶどうの茎や葉に含まれているクロロフィル、およびクロロフィルから誘導された化合物であると考えられています。しかし、白ワインのグリーンのトーンの由来はまだ詳しくはわかっていないそうです。
熟成の進んだ=黄金色
白ワインは、熟成が進むにつれ黄金色へと変化してゆきます。
これは、白ワインに含まれるポリフェノールなどの成分が酸化によって黄金色~褐色を示す化合物に変化していくことが原因です。
この色の変化に伴いグリーンのトーンは目立たなくなってしまいます。そのため一般的に古いヴィンテージの白ワインにはグリーンのトーンは見えません。
また、色調は品種によっても異なってきます。ソーヴィニヨン・ブランやグリューナー・フェルトリーナーからは色の薄いレモンイエロー色の白ワインが作られることが多いです。これについては濃淡の項で詳しく紹介します。
色調の表現
ソムリエ・ワインエキスパート試験において、白ワインの色調を表現する単語として以下が挙げられています。
- グリーンがかった
- レモンイエロー
- イエロー
- 黄金色がかった
- 黄金色
- トパーズ
- アンバー(琥珀色)
近年のソムリエ・ワインエキスパート試験においては、ほとんどの白ワインにおいて「グリーンがかった」と「レモンイエロー」が模範解答として選ばれています。
これは、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験において、課題となるワインがすべて若いヴィンテージのワインであることを意味しています。試験に黄金色を呈す高級なバックヴィンテージのワインが出されるとは考えづらいですので、この「グリーンがかった」「レモンイエロー」のワインが出題される傾向は続いていくと考えられます。
また、濃い色を呈すワインでは「イエロー」という表現も模範解答として選ばれています。例えば、成熟度の高いシャルドネなどには「イエロー」という表現が使用されているのをよく見かけます。
「トパーズ」や「アンバー(琥珀色)」などは、黄金色よりさらに酸化熟成が進み褐色がかって見える際に使用します。かなり熟成されたワインであったり、酸化による劣化を受けたワインに使用されますが、二次試験においてこのようなワインが出されることはまずありません。
William Fevre Chablis
みなさんおなじみシャブリです。ウィリアム・フェーブルは、シャブリの中でも最高峰の生産者として有名です。
外観は、一般的な白ワインの中では淡めな印象。また、白地に透かしてみると仄かにグリーンのトーンが感じられます。「グリーンがかった」「レモンイエロー」という表現がぴったりな色調で、若々しさを感じさせます。
香りは、ライムや青りんごのフレッシュで若々しさを感じさせる果実のアロマに、焼け石のような深みのあるミネラルを感じます。花の蜜やヨードなどの還元的なキャラクターが、香りを複雑化させます。アタックは優しくボリューミー、しかしキレのある酸が味わいをしっかり引き締め、全体を端正に凛々しくまとめあげています。