アルコール度数
アルコール
ワインは酒類なので、ワインには必ずアルコールが含まれています。アルコールは水分の次にワインに多く含まれている物質ですので、アルコール無しではワインを語ることはできません。
アルコールは、飲む人を酔わせ朗らかな気持ちにさせてくれるという素晴らしい効果を持ちます。他にもアルコールは種々の微生物による汚染からワインを守ったり、ワインの味わいに甘味や苦味を与えてくれたりと、様々な役割を担っているのです。
アルコールはワインにとってとても重要な要素であるため、テイスティングを行う際はそのワインにどの程度のアルコールが含まれているかを見極めることはとても重要です。
さて、このアルコールですが、どのような過程で生じるのでしょうか。
ワインに含まれるアルコールは、ぶどうに含まれる糖類を酵母が代謝することにより生成されます。ぶどうを破砕しタンクに入れておくと、ぶどうにもともと付着していた(人工的に加える場合もある)酵母が活動を始め、糖をアルコールへと変換してゆきぶどうに含まれる糖を食い尽くしてゆきます。
ぶどうの糖度が高いほどより多くのアルコールが生成されるので、温暖な地域の熟したぶどうからはアルコール度数の高いワインが作られることが多いです。
二次試験でのアルコール度数の表現
ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験では、ワインのアルコール度数を推量する試験項目が存在します。ソムリエ・ワインエキスパート試験において、アルコール度数を表現する単語として以下が挙げられています。
- 軽め
- やや軽め
- 中程度
- やや強め
- 強め
- 熱さを感じる
ソムリエ・ワインエキスパート試験においては、これらのアルコール度数を表す単語は具体的なアルコール度数に対応しており、おおよそ以下のような対応関係にあると考えられます。
軽め | ~12 % |
やや軽め | 12 % ~12.5 % |
中程度 | 12.5 % ~13 % |
やや強め | 13 % ~13.5 % |
強め | 13.5 % ~14 % |
熱さを感じる | 14 % ~ |
アルコール度数は、テイスティングの数を重ねることによってどんどん近づけられるようになります。テイスティングの際は、アルコール度数を気にかけることを習慣化してみてください。
たまにワインのアルコール度数をぴったり当てようとする方がいますが、これはあまり意味がありません。ワインのアルコール度数の表示は、誤差が認められているからです。
各国の法律によって異なりますが、全体的な傾向としておおよそ0.5%ほどのアルコール度数には誤差が認められています。
つまりラベルに書いているアルコール度数と本当のアルコール度数には大きくて0.5%ほどの不確かさがあるため、0.1%単位でアルコール度数を当てても意味がないのです。アルコール度数は、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験で問われるような、約0.5%刻みで当てられれば十分なのです。
アルコールを飲むとなぜ熱さを感じるの?
ソムリエ・ワインエキスパート試験コメントの中で気にかかるのが、強弱の中に一つだけ存在する「熱さを感じる」という表現です。
みなさんもアルコール度数の高いお酒を飲んだときに、口や喉が熱く感じた経験があると思います。これは正しい感覚なのですが、アルコール度数の高いお酒は決して温度が高いわけではありません。
さて、アルコール度数の高い飲料はなぜ熱さを感じるのでしょうか。
アルコール度数の高いお酒を飲むと、人は口や喉で「熱い」という感覚が生じます。これは決して、アルコール自体が熱を持っているからではありません。アルコールには熱に敏感にさせる機能を持っているのです。
人は、熱さを熱受容体から感知します。熱受容体は自己を高温の物体から防衛するため皮膚全体に広がっており、それは口や喉も例外ではありません。アルコールはその熱受容体にはたらきかけ、受容体の活性化温度閾値を低下させると考えられています。
つまりアルコールのはたらきかけによって、口や喉の熱受容体は、より低い温度、例えば人の体温程度の温度でも「熱い」と感じてしまうようになるのです。これが、アルコールを飲むと熱さを感じる原因です。
辛いものを食べたときも同様の現象が起きると考えられています。つまり、辛味成分が熱受容体にはたらきかけ、より低い温度で熱さを感じるようにしてしまうのです。
実際に熱いものに触れていないのに、アルコール度数の高い飲料を飲んだときに「熱さ」を感じるのは、こういった理由からなのです。
Josh Cellars Zinfandel Lodi
アメリカ、カリフォルニアのジンファンデルです。ジンファンデルは早熟でアルコール度数の高いワインになりやすく、このワインはアルコール度数がなんと15%もあります。
外観は引き込まれるような深いルビーです。香りは、ブルーベリーのジャムや熟したプラムなどの濃厚な果実に、シナモンなどのスイートスパイス、そしてチョコレートや葉巻のニュアンスもあり濃厚で甘やかです。十分に熟したぶどうであることが伺えます。ファーストタッチはインパクトがあり、その後に果実感があふれます。タンニンはさらさらとして心地よいです。そしてやはり印象的なのは、「熱さ」を伴ったアルコールのボリューム感です。熱を帯びたアルコールが果実感を膨らませ、ボリューミーで肉厚な印象に仕立て上げています。
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