バランス(赤)
赤ワインと白ワインの味わいの違い
赤ワインと白ワインの違いは何でしょうか。
それは、主にぶどうを果皮や種子と一緒に発酵させているか否かにまとめられると思います。
白ワインは果実を絞った果汁で発酵させているのに対し、赤ワインは果皮や種子と一緒に醸しポリフェノールなどの成分を液中に溶け込ませています。そのため、赤ワインには果皮に由来するアントシアニンにより鮮やかな赤色を呈しますし、果皮や種子に由来するタンニンがワインの味わいに影響を与えます。
このことから、白ワインと赤ワインの味わいには大きな違いがあることがわかります。
赤ワインには、果皮や種子に由来するタンニンが豊富に含まれており、それがワインのストラクチャーに大きな影響を与えています。タンニンは渋みや苦味を与えるだけではなく、口の中で酸味や甘味などとも影響し合います(詳しくは渋味の章で)。
そのため、赤ワインの味わいのバランスを表現する際には、アルコールのボリュームや酸味と同時にタンニンの量も考慮に入れなければなりません。
赤ワインのバランスの表現
ソムリエ・ワインエキスパート試験において、赤ワインのバランスを表現する単語として以下が挙げられています。
- スマートな
- 骨格のしっかりした
- 固い
- 痩せた、渇いた
- 豊潤な
- 肉厚な
- 力強い
- 流れるような
- ふくよかな
こちらも多いですよね。一つ一つ大雑把にどのように使われるのか見ていきましょう。
「スマートな」は、タンニンが軽く酸味や甘味も穏やかで、口当たりが軽く感じる場合に使用します。
「流れるような」は、タンニンが軽く口当たりが優しくなめらかな場合に使用します。
「骨格のしっかりとした」は、タンニンと酸味が主体的に感じられる場合に使用されます。
「豊潤な」「肉厚な」は、酸味が穏やかに感じられ、タンニンや甘味のボリュームが強く感じられる場合に使用します。
「ふくよかな」は、アルコールのボリューム感が主体的に感じられる場合に使用します。
「力強い」は、酸味もタンニンもアルコールのボリューム感も強く感じられる場合に使用します。
「固い」「痩せた、渇いた」は、甘味がほとんどなくタンニンが主体になっている場合に使用します。これらの表現は一般的にはネガティブな表現になってしまいますので、あまり使用しないほうがよいです。
したがって、このような「固い」「痩せた、渇いた」ワインはソムリエ・ワインエキスパートの二次試験ではあまり出題されません。
まとめると以下のようになります。
固い、痩せた、渇いた | 甘みがほとんどなく、タンニンが主体的 |
スマートな | タンニンや酸味が少なく口当たりがやさしい |
流れるような | タンニンが軽く口当たりが優しくなめらか |
骨格のしっかりとした | タンニンと酸味が主体的 |
豊潤な、肉厚な | タンニンや甘味のボリュームが強い |
ふくよかな | アルコールのボリューム感が主体的 |
力強い | タンニンや酸味、アルコールのボリューム感どれもが強い |
赤ワインのバランスは、ソムリエ教本にも記載されているように、よく三角チャートで表現されることが多いです。
しかし三角チャートは、アルコールの甘味、酸味、タンニンの三要素の相対的なバランスは表せても、絶対的な強弱の差を表すのには不向きです。ワインのバランスを見極める際は、三つの味覚要素の比とそれらを含めた全体の強弱を考えないといけません。
自分は、よく以下のような基準でバランスを表現していました。
酸味、タンニン、甘味、いずれも控えめに感じられるものは「スマートな」、タンニンや甘味が控えめに感じられるが酸味はしっかりと感じられるものは「流れるような」、甘味は控えめに感じられるが酸味とタンニンはしっかりと感じられるものは「骨格のしっかりとした」、酸味は控えめに感じられるがタンニンやアルコール由来の甘味はしっかりと感じられるものは「豊潤な」「肉厚な」、酸味やタンニンは控えめに感じられるがアルコール由来の甘味はしっかりと感じられるものは「ふくよかな」、酸味やタンニンもしっかりと感じられアルコールのボリューム感もしっかりと感じられるものは「力強い」、などといった使い分けです。
三角チャートとの矛盾もほとんどありませんので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
Songes de Bacchus Bourgogne Pinot Noir
フランス、ブルゴーニュのピノ・ノワールです。ピノ・ノワールはタンニンが少なく酸味をよく感じる品種です。
外観はやや明るが深みを感じさせるルビー。香りは、摘みたてのチェリーやラズベリーの果実に、ラベンダーやゼラニウム、そしてミントのアクセントが重なります。フレッシュで活き活きとした印象です。アタックはスムースで、しっかりと酸味に導かれフレッシュ果実感が口に溢れます。タンニンはさらさらときれいな印象で、果実の熟度やアルコールのボリューム感も主張しすぎず抑えられています。味わいの印象をまとめると、まさに「流れるような」という表現がぴったりです。
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