バランス(白)
バランスとは
バランスとは、ワインに含まれる味覚同士の強弱のことを示します。
ワインのテイスティングにおいては、ワインの味わいを味覚要素に分解して分析してゆきます。
ワインのバランスを表現するということは、甘味や酸味、苦味やタンニン、そしてアルコール度数などを一通り分析し終え、それらの強弱の情報をまとめて一つの抽象的な単語で表すという作業のことを指します。
このため、バランスの項目はワインの味覚の総評であるとも言えます。
ワインの紹介をしてもらう際、酸味や苦味などの味覚情報を長々と述べられるより、そのワインの味わいを一言でまとめられた方がわかりやすいですよね。しかし、ワインの特徴を一言で表現するのは難しい作業です。
ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験では、ワインの味わいのバランスを表すいくつかの用語を用意してくれています。これらの用語を使用すれば、ワインの味わいを端的に、そしてスマートに表現することが可能です。
バランスの表現
ソムリエ・ワインエキスパート試験において、白ワインのバランスを表現する単語として以下が挙げられています。
- スリムな
- スムースな
- 溌剌とした
- ドライな
- まろやかな
- ねっとりした
- コンパクトな
- フラットな
- 豊潤な
- 厚みのある
- ふくよかな
多いですよね。一つ一つ大雑把にどのように使われるのか見ていきましょう。
「スリムな」は、アルコール度数が低く口の中でのボリュームが控えめに感じる場合に使用します。
「スムースな」は、アルコール度数が比較的低く、口当たりがなめらかに感じられる場合に使用します。
「溌剌とした」は、酸味や果実感がフレッシュで活き活きと感じられる場合に使用します。
「ドライな」は、酸味はしっかりと感じられるが、果実の熟度はそこまで高くはなく甘味が控えめに感じられる場合に使用します。
「まろやかな」「厚みのある」は、果実の熟度がしっかりと感じられ、口の中で果実感の厚みをしっかりと感じられる場合に使用します。
「ふくよかな」「豊潤な」は、 アルコールのボリューム感も相まり、口の中でさらに果実の熟度がしっかりと感じられる場合に使用します。
「ねっとりとした」は、アルコール度数の高さなどにより、口の中でしっかりとした粘度を感じる場合に使用します。
「コンパクトな」「フラットな」は、酸味もアルコール度数も低く、味覚要素やボリューム感が極めて軽く感じる場合に使用します。
「ねっとりとした」「コンパクトな」「フラットな」といった表現が使用されるワインは、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験ではあまり出題されません。
まとめると以下のようになります。
コンパクトな、フラットな | 味覚要素やボリューム感が極めて軽く感じる |
スリムな | アルコール度数が低く口の中でのボリュームが控えめに感じる |
スムースな | アルコール度数が比較的低く、口当たりがなめらかに感じられる |
溌剌とした | 酸味や果実感がフレッシュで活き活きと感じられる |
ドライな | 酸味はしっかりと感じられるが、甘味は控えめに感じられる |
まろやかな、厚みのある | 熟度による厚みをしっかりと感じられる |
ふくよかな、豊潤な | アルコールや果実のボリューム感をしっかりと感じられる |
ねっとりとした | しっかりとした粘度を感じる |
言葉だけではやはり分かりづらいので、簡単な図にしてみましょう。
ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験において、白ワインのバランスを表すコメントは、例外も多々ありますが大雑把には以下のような関係で使用されることが多いです。
品種によって使われやすい用語は異なりますが、大雑把な傾向として低緯度の酸味の強くアルコールのボリューム感による甘味をほとんど感じないワインは「スリムな」「スムースな」、高緯度のアルコールのボリューム感を強く感じ酸味が穏やかに感じられるワインは「ふくよかな」「豊潤な」といったコメントが使われます。
甘味も感じるが甘味に比べ酸味を強く感じるワインには「溌剌とした」「ドライな」、酸味も感じるが酸味に比べアルコールに由来する甘味を強く感じるワインには「厚みのある」「まろやかな」などの表現が使われます。
Summerhouse Marlborough Sauvignon Blanc
ニュージーランド、マールボロのソーヴィニヨン・ブランです。ソーヴィニヨン・ブランは全体的に「溌剌とした」という表現がよく使われます。
外観はやや淡いライトイエローで、若々しさも感じますが若干の果実の熟度も感じます。香りは、パッションフルーツやパイナップル、マスカットなどのエキゾチックな果実の香りに溢れます。アスパラガスなどのグリーンノートやコリアンダーなども折り重なり、全体的に華やかな印象です。アタックはなめらかながらも、すぐに活き活きとした果実感に気づきます。クリスプな酸を骨格としたジューシーなマウスフィールです。まさに「溌剌とした」といった表現がぴったりなワインです。
[PR] ワインの知識をさらに深めたい方へ!無料体験講座のご案内
「ワインをもっと知りたい」「テイスティングのスキルを磨きたい」と思ったことはありませんか?
そんなあなたにおすすめなのが、老舗ワインスクール アカデミー・デュ・ヴァン の無料体験講座です。
プロから学ぶワインの基礎知識やテイスティング技術を、実際に体験できるチャンス。初心者の方から資格取得を目指す方まで、幅広いニーズに応える充実のプログラムが揃っています。
ワインの楽しみ方をもっと広げたい方は、ぜひ体験講座に参加してみてください。